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電圧レギュレータのサイズを縮小すること自体は、それほど大きな問題ではありません。しかし、プリント基板上で利用可能な面積以上に部品を詰め込みたいことがしばしば生じます。限られた実装面積に、より多くの特長や機能を搭載しなければなりません。これまでは、集積レベルの向上と、ムーアの法則が、一部のデバイスの縮小に有効でしたが、DC/DCコンバータの小型化にはあまり効果がありませんでした。電源コンバータは、システム全体のサイズの30~50パーセントを占めることがあります。このボトルネックをどうやって克服しましょう?

明確な答えの一つは、動作周波数を上げることです。大多数のPOL(ポイント・オブ・ロード)電圧レギュレータは、降圧型トポロジを使ったスイッチング・コンバータです。スイッチング周波数を上げることで、その回路の設計仕様に適合するために必要なインダクタンスと容量を減少させることができます。図1(a)に示すように、通常、インダクタとコンデンサはDC/DCコンバータの実装面積のほとんどを占めるため、スイッチング周波数を上げることはかなり効果的です。でも、この方法はそう簡単ではありません。どのような問題があるのでしょう。

     
      (a)                                                                                             (b)
1: 入力電圧12V、出力電流10Aの降圧型コンバータの実装面積の比較。(a) スイッチング周波数500kHz、1フェーズのコンバータ、(b) 2MHz、2フェーズ動作のコンバータ

単にスイッチング周波数を上げるだけでは、電力損失が増加します。スイッチング動作をするごとにエネルギーの損失が発生するため、損失はスイッチング周波数に比例して増加し、変換効率が低下し、発熱が大きな問題となってきます。現在の大多数のコンバータ回路では、スイッチング周波数の上限は数100kHzです。1MHzを超えるスイッチング周波数のコンバータは、通常、5V以下の低電圧、1A未満の低出力電流で使用されます。

ここで、降圧型以外のトポロジを考えてみましょう。降圧型コンバータは、この業界で数十年に渡って役立って来ましたが、前述のような基本的な制約を持っています。ここに、高い電圧変換比のポイント・オブ・ロード・アプリケーション向けに最適化された、新しいDC/DCコンバータ用のトポロジを紹介します。この直列キャパシタ降圧型コンバータ は、効率を低下させずに数MHzのスイッチング周波数での動作が可能です。図1(b)からもわかるように、ソリューション全体のサイズの縮小は、かなりのものです。図1(a)の降圧型コンバータの実装面積は1,270 mm3であるのに対し、同じ入出力条件で、図1(b)のTPS54A20を搭載した直列キャパシタ降圧型コンバータの実装面積は 157 mm3と、実に1/8になっています。

               
   (a)                                                                                             (b)
2: 入力電圧12V、出力電流10A、(a)スイッチング周波数500kHz1フェーズの降圧型コンバータと、(b)2MHz2フェーズ動作のコンバータの高さの比較

電圧レギュレータのサイズの縮小によって、新しい可能性が生まれます。図2に、ソリューションの実装部品の高さの比較を示します。図2(a)の通常の降圧型コンバータの部品の高さは4.8mmであり、多くのシステムにおける部品の高さ制限を優に超えてしまう値です。図2(b)の直列キャパシタ降圧型コンバータの部品の高さは1.2mmまで低くなります。プリント基板の裏面(パターン面)へ電圧レギュレータの実装が可能になり、貴重な部品面の実装面積を節約できます。これまでの受動部品は大きすぎました。TPS54A20 を使うことで、電源ソリューションの小型化が可能になります。

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