パート1では、パワー・モジュールのデータシートの表紙の記載事項以外に、集積機能やソリューション・サイズに関した、総合的な情報を得ることが大切なことを説明しました。このパート2では、同様の問題として、パワー・モジュールの過渡応答特性と効率について説明します。

過渡応答特性は、パワー・モジュールのデータシートの表紙に記載された箇条書きのうち、最も読み取ることが困難なものの一つです。このせいで、「超高速の過渡応答」というメーカーの宣伝文句が全く無意味になる危険性もあります。敏感なデジタル負荷では、超高速の過渡応答だけでは不十分です。モジュールの出力電圧のオーバーシュートやアンダーシュートはどれくらいか、そしてその回復時間はどれくらいか、も把握しておくことが大切です。実際のアプリケーションを、表1に示すようなテスト条件に近づけることができれば、実際のシステム内で、そのパワー・モジュールがどのように動作するかを簡単に評価できるようになるでしょう。

1: TPSM 84A21 の過渡応答性能データ

パワー・モジュールの負荷過渡性能も、そのデバイスの出力コンデンサによって大きな影響を受けます。ここでも、モジュールの中身の検討が必要になります。コンデンサを内蔵したモジュールでも、その過渡応答データは、たくさんの出力コンデンサを接続した理想的な状態で得られた可能性があります。大容量のコンデンサを積み重ねることで、一見、良さそうな過渡応答グラフが得られるかも知れませんが、このために電源のサイズが大きくなります。明示的な注記がない限り、データシートに記載された過渡応答グラフは「代表的なアプリケーション条件」で得られたものではないことに注意が必要です。

効率を簡潔に説明することも、同様に困難です。効率の特性が、データシートに記載された他のパラメータよりも有利な点は、データシートの表紙に、図1に示すような効率のグラフが記載されていることが多い、ということです。モジュールのメーカーが、都合の良いデータだけを使ってデバイス性能を良く見せることは稀ですが、それでも、つまずきやすい点はいくつかあります。

1:  TPSM 84A21 の効率特性グラフ

可変スイッチング周波数のコンバータでは、効率は、設定したスイッチング周波数によって大きな影響を受けます。実際に採用するスイッチング周波数条件での効率データを確認してください。同様に、モジュールの効率は入力電圧と出力電圧の範囲内で大幅に変動します。表紙には、最も魅力的な効率グラフだけが記載されるため、様々な条件でのデバイス性能に注目することは、すべてを把握する上で大切です。パワー・モジュール製品の技術資料、TIの パワー・モジュール製品もご覧ください。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2017/02/10/deciphering-module-datasheets-efficiency


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