私たちが理解していると思っている規格や条件でも、本当の意味で理解されていないものがあります。時間をかけてまで、小さな文字で書かれた注釈を読みますか? 他の重要な資料と同様に、データシートにも注釈があります。良さそうなことだけを書いてあるデータシートの1ページ目の仕様に続いて、20ページもの注釈が付いていることもあります。これは特に、パワー・モジュールに当てはまります。それは多くの機能を集積することで、デバイスの重要な詳細事項が隠されてしまうことがあるためです。データシートの表紙だけを読んで評価をすると失敗しやすいブロックが、いくつかあります。このブログのパート1と2では、この点を解説します。

モジュールの機能がどのように集積されているか、を評価するのは困難を伴うことがあります。最も基本的なレベルでは、パワー・モジュールは1個のコンバータとインダクタを内蔵した小型の部品であり、本質的には、電源技術者が時間や手間をかけて構築する基板設計の一部を代替えしてくれるものです。しかし、すべてのモジュールが全く同じように構築されているとは限らず、外付け部品が不要とも限りません。例えば、図1の回路では、たくさんの外付け部品が使われています。

   1: 入出力のコンデンサによって、モジュールの回路が複雑化する例

モジュール製品の最も大きな差は、入出力のコンデンサが内蔵されているか、あるいは設計者が外付けしなければならないか、ということです。コンデンサを内蔵したモジュールでも、データシートをさらに掘り下げて、そのパワー・モジュールにどのような容量のコンデンサが内蔵されているかを調べることは大切です。場合によっては、モジュールに内蔵された出力コンデンサは、ドーナツ型のスペアタイヤのように、技術的には機能しても、��期に渡って使える設計ではないかもしれません。外付けコンデンサが必要かどうかを見きわめるための良い方法は、データシートの性能グラフを調べることです。メーカーが外付けコンデンサの追加なしでデータシートに記載した性能を達成できなかったのなら、設計者ができるはずはありません。TIのTPSM 84A22のデータシートの表紙に記載されている仕様は、外付け部品なしで達成したもので、技術者にとって良い選択肢となるでしょう。

また、外付け部品は、パワー・モジュール・ソリューションのサイズに大きな影響を与えます。モジュールのメーカー各社は、すべて「最も小型の実装面積」や「最も低いプロファイル」などと謳いますが、これらの宣伝文句を意味ある物にするには、掘り下げた検討が必要です。例えば9mm×15mmの実装面積のモジュールは、10mm×10mmのモジュールよりも劣るように見えますが、その10mm×10mmのモジュールに必要なコンデンサを外付けすると、さらに大きな基板実装面積が必要になります。この様子を図2に示します。この理由から、モジュールのパッケージの大きさだけを比較して、システムに適合するかどうかを判断してはなりません。

2: パワー・モジュールの実際の実装面積は、パッケージよりもずっと大きくなることがある

パート2では、モジュールの効率と過渡応答特性の評価について説明します。パワー・モジュール製品の技術資料 や、TIの パワー・モジュール製品もご覧ください。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2017/02/08/deciphering-module-datasheets-size


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