エレクトロニクス製品がますます小型化するにつれて、設計者が電源を設計する際に、温度の限界を考慮することが必要となりました。より小型の電源でも、特定のアプリケーションにおいて、周囲温度も含む厳しい負荷条件での環境下で動作できないのならば、使えません。

主要な温度限界の一つは、ディレーティング曲線で表されます。この曲線は大多数のパワー・モジュール製品のデータシートに記載されています。ディレーティング曲線は、様々な周囲温度において、そのパワー・モジュールの規定の動作温度範囲内(通常は+125℃以下)で供給可能な電流、または電力を示しています。図1に、2A出力の『TPS 82140』パワー・モジュールのデータシートに記載された2種類のディレーティング曲線を示します。

 図1:2A出力の『TPS 82140』 パワー・モジュールのディレーティング曲線

図1からわかるように、入出力電圧の変化に対応して、ディレーティング曲線がわずかに変化します。このため、個々の設計でも適切な曲線を選ぶことが必要です。一般に、出力電圧が上昇するとディレーティング性能がやや悪化しますが、これは総合出力電力が増加し総合損失電力も増加するからです。一方、変換効率は出力電圧の上昇によって向上する傾向があるため、損失電力を低減するように働きます。さらに、ディレーティング曲線は特定のプリント基板(通常はそのパワー・モジュール製品の評価モジュール)を使って作成されています。JEDEC(半導体技術協会) のテスト用プリント基板と異なり、評価モジュールは、実際の実装状態をより反映した設計となっています。

3A出力の『TPS 82130』とピン互換性を持ち、そのまま挿し替えが可能な2A出力の『TPS 82140』や1A出力の 『TPS 82150』は、より優秀なディレーティング性能を備えており、電源設計者の悩みをさらに軽くします。『TPS 82140』は5V出力の条件でも、65℃まで2Aの全出力を供給できます。図2に、最大95℃で1Aの全出力を供給可能な『TPS 82150』のディレーティング曲線を示します。

 図2:1A出力の『TPS 82150』パワー・モジュールのディレーティング曲線

もちろん、データシートに記載されたディレーティング性能を実現するためには、適正なプリント基板レイアウトも必要ですが、外付けの5個の受動部品と約42mm2のソリューション・サイズであるため、良いレイアウトが簡単に設計できます。

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2017年8月11日)より翻訳転載されました。
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