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MISC : ICのデカップリング回路(Decoupling circuit)の容量値の選択方法

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デカップリング回路について、容量値をどの様に選んだら良いのか
とのご質問をよくいただきますので、簡単にご説明いたします。

1.デカップリング回路の役割

  デカップリング回路の役割としては主に以下の3つがありますが
  (図-1参照)、今回①と②の場合についての容量値の選択方法に
  ついてご説明いたします。

  ①対象ICへ入力する外来電源ノイズを減少させる
    ノイズの発生源
     ・①-1 他のIC  
     ・①-2 電源回路

  ②対象ICから出力する電源ノイズ・EMIノイズを減少させる

  ③対象ICの動作による過渡的な電流を供給し電圧を維持する

 ・図-1. デカップリング回路の役割

2.コンデンサ部品の特性

 デカップリング回路ではコンデンサがノイズをGNDへ逃がすという
 重要な役割を果たしますが、実際に使用するコンデンサ部品には
 容量(C)の他に寄生抵抗(ESR)及び寄生インダクタ(ESL)が存在します。

  このため、コンデンサ部品のインピーダンスは図-2の様にCとESLの
 共振周波数f0=1/(2π(C・ESL)^0.5)で極小値ESRとなるV字型の
 周波数特性となり、ノイズをGNDへ逃がすためには低インピーダンス
 である必要がありますが、低周波数側及び高周波数側でインピーダンス
 が高くなります。 従ってひとつのコンデンサ部品では特定の周波数
 範囲内のノイズのみにしか対応できないことになります。

 ・図-2.コンデンサ部品のインピーダンス

  ESR=0.1Ω、ESL=3nHで、容量値が0.0001,0.001,0.01,0.1,1,10μFの
 容量部品のインピーダンスの周波数特性を計算すると図-3の様になり、
 容量値の選択によってノイズを逃がせる周波数範囲を変えることが
 できることが分かります。

 従って、ノイズをGNDへ逃がすためにはそのノイズの周波数にあった
 周波数特性の容量値を選択する必要があります。

 図-3ではESR=0.1Ω、ESL=3nHとしましたが、実際はESR,ESLの値は
 製品によって異なりますので、使用する製品の値を確認して容量値を
 決めることになります。

 ・図-3.コンデンサ部品のインピーダンスの計算例

 従いまして、デカップリング回路の効果的な容量値を選択するためには、
 
  ●アプリケーションで発生しているノイズの周波数成分
  ●使用するコンデンサ部品のESR、ESL
  
 を予め知っておく必要があります。

3.コンデンサ部品の並列接続

 ノイズ周波数が広がりを持っている場合は一つの容量値のみでは
  カバーできないため、コンデンサ部品を並列に接続してそれぞれの
 容量値で各ノイズ周波数に対応させます。 

 ESR=0.1Ω、ESL=3nHの容量部品について、0.01,0.1,10μFを並列
 に接続した時の合成インピーダンスを図-4に示します。

 ・図-4.コンデンサ部品の並列合成インピーダンスの計算例

4.デカップリング回路の減衰特性

 前項までは、デカップリング回路のインピーダンスとして説明しまし
 たが、実際にはノイズの減衰量が問題となります。

 減衰量はノイズ源ののインピーダンス(Zx)との関係になります。

 ノイズ源のインピーダンスを仮に10, 20, 30Ωとした場合の0.01, 0.1,
  10μFを並列に接続したデカップリング回路の減衰特性を図-5に示します。

  ノイズ源のインピーダンスが低い程ノイズが減衰されずに入力
  されることが分かります。

 ・図-5.デカップリング回路の減衰特性の計算例

 尚、ノイズ源のインピーダンスが低い場合や高周波側のノイズを更に減衰
 させたい場合は図-6の様にノイズ源側にフェライトビーズ等のインダクタ
 部品を挿入してノイズフィルタとします。

 ・図-6.ノイズフィルタ回路

 以上、今回はここまでとさせていただきます。