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移動する物体の存在を検出するスイッチング/ラッチ・アプリケーションは、設計が複雑になったり、信頼性の面で問題が起きる可能性があります。具体的な用途としては、ドアの開閉の際の不正検出や、センサの遮断や故障の発生を招く塵埃や油に常にさらされるギアの回転速度測定などがあります。

 スイッチング・アプリケーションに使用される技術によっては、さらに次のような課題が発生します。

  •  磁石や磁化材質などの付加的な部品の要件により、スイッチング・スレッショルドの精度が低下する問題が発生します。精度が低下する原因の 1 つが個々の部品のばらつきで、製造時に多くの場合キャリブレーションが必要になります。

  • 温度変化と部品の経年劣化も、スイッチング・スレッショルドの精度と再現性に影響を及ぼします。

 TI の LDC0851 差動型誘導スイッチは、コイル径に対して 1% の精度で温度安定性の高いスレッショルドを実現しており、製造時のキャリブレーションが不要になります。

 LDC0851 差動型誘導性スイッチの原理

図 1 に示すように、LDC0851 は誘導性センシングを使用しており、マッチングが行われている 2 個のプリント基板(PCB)コイル間でシンプルなインダクタンス比較を行います。どちらのコイルのインダクタンスが小さいかに応じて、出力スイッチのハイまたはローが切り替えられます。

 図 1:LDC0851 差動型誘導性スイッチの機能図

アプリケーションの例

スイッチング・アプリケーションに対するこうした新たなアプローチにより、次のような 2 つの主要な分野でメリットが生まれます。

  •  1 つの分野が、非接触式で再現可能なスイッチング・スレッショルドを必要とする近接検出アプリケーションです。たとえば、ボタンやドア開閉のシンプルな検出メカニズム、産業用近接スイッチなどがあります。図 2 に、電気的接点のないスナップ・ドーム型ボタンの位置を LDC0851 が検出する近接検出アプリケーションの例を示します。図 3 では、調整可能なスレッショルドにより、プロトタイピングと、ボタンの応答を検出するための応答微調整を容易に実行できることがわかります。

 図 2:サンプルのボタン・アプリケーション向けの近接検出

 図 3:ボタンの応答を微調整するための調整可能なスレッショルド

  • もう 1 つの分野が、ほこりの多い過酷な環境下で使用する必要のあるイベント計数アプリケーションです。流量計、ギア速度測定デバイス、ロータリー・エンコーダなどでは、誘導性スイッチングの高い堅牢性を有効に活用することができます。図 4 は、LDC0851 を使用した誘導性センシング 32 ポジション・エンコーダ・ノブの TI Design リファレンス・デザインです。オートモーティブ(車載)インフォテインメントや、レンジやボリューム調整つまみなどの家電機器のインターフェイスで一般的に使われる 32 ポジションのエンコーダ・ノブを採用しています。

図 4: LDC0851 をベースとするエンコーダ・ノブのリファレンス・デザイン

プロトタイピングとリソース

図 5 に示す、コイン・セル・バッテリ駆動のシンプルな評価モジュール(EVM)は、狭い範囲の近接検出センシングやシンプルなオン/オフ金属ボタン検出の評価を可能にします。この評価モジュールは穴が一つ開いており、デフォルトのセンサをカスタム・センサで代替できます。

 図 5: LDC0851 評価モジュール


この新しい誘導性スイッチの詳細について知りたい場合は、WEBENCH® Coil Design ツールをご利用ください。LDC0851 を採用した積層コイルの設計を簡単に行うことができます。次回は複数の設計例を紹介し、この新しいツールの使用方法を説明します。

補足情報:

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/analogwire/archive/2016/05/11/inductive-sensing-switch-applications-made-simple?HQS=sva-psp-ssp-ldc0851-20160511-jp

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