Other Parts Discussed in Post: DLP4620S-Q1

自動車の電動化とネットワーク接続(コネクテッド) が進んでおり、ヘッド・アップ・ディスプレイ (HUD) の将来像は急速に変化を遂げてきました。特に、拡張現実 (AR) HUD は、スマート・コックピット設計において中心的な存在であり、ドライバの支援や安全性機能を通じて運転環境全体を向上させるのに役立ちます。一方で、次世代の AR HUD を設計する際には、意識しておくべき技術的な検討事項がいくつかあります。

視野角 (Field-of-viewFOV) と仮想画像距離

AR HUD ソリューションにとって最も重要な要素は、おそらく視野角です。ドライバーが目にする画像のサイズに直接影響を及ぼすからです。DLP4620S-Q1 DMD のような DLP® 技術を採用すると、15 度を超える視野角を実現できます。その結果、複数の車線にまたがる形でトライバー向けの情報を投影できます。

仮想画像距離によって、ドライバーの前方に見かけ上どれほどの距離にあるのかという情報が表示されます。路上の危険などに関して、より早い事前通知が必要になり、速度が速くなるほど、この点は重要です。各種 DLP チップを使用する現行の AR HUD デザインは、ドライバーの前方 2 ~ 20m の距離にある画像を投影できます。図 1 に示すように、従来型 HUD に比べて、仮想画像距離は大幅に延長されています。

図 1.  DLP 技術を使用した AR HUD の画像距離の範囲

画質

ここでは、画質は必ずしも高解像度と等しくない、ということに注意する必要があります。画質には、画像のリフレッシュ・レート、色深度、輝度など複数の要因が関係します。地元の映画館のような閉鎖領域とは異なり、多様な外乱が存在し、屋外での予測不可能な自動車環境で画質を制御するのは、非常に難易度が高い可能性があります。また日中と夜間で光のレベルは変化するので、車載 AR HUD ソリューションは多様な運転条件下で、深みがあり、色の精度が高く、一貫してコントラスト比の高い画像を維持できるようにする必要があります。

たとえば、TI の車載認証済みチップセットである DLP4620S-Q1 は、LED またはレーザー光源や光学システムと組み合わせ、最大で 125% の NTSC 色範囲に達する非常に彩度の高い色を実現することができます。この DMD (デジタル・マイクロミラー・デバイス) は、15,000cd/m2 を上回る非常に高い輝度を実現できるほか、5000:1 を上回る非常にダイナミックな調光比に対応しています。これらの特長を組み合わせることで、さまざまな環境でドライバに鮮明な画像を投影しやすくなります。

開発オプション

多くの車載 AR HUD ソリューションでは、製品や顧客のニーズに対応するために、開発者が協力して 1 つのソリューションに取り組む必要があります。AR HUD ソリューションは、先進運転支援システム (ADAS) や、他のコンポーネントといった運転体験を向上させる統合型ソリューションの一部です。

TIには、開発者やTI デザイン・ネットワークの提携パートナーと協力して、幅広い半導体ソリューションや製品ラインアップを活用する製品やサービス開発を支援してきた実績があります。

まとめ

AR HUD を採用すると、フロント・ガラスに画像を投影し、速度や路上の危険などに関するさまざまなデータを表示しながら、ドライバは前方の道路を引き続き注視することができます。自動車のコネクテッド対応が普及し続ける中、AR HUD はドライバや同乗者の安全性強化や、運転環境全体の向上に貢献します。DLP 技術は引き続き、優れた解像度、輝度、効率、コントラスト、発色の実現を支援するほか、自動車の設計者が次世代 AR HUD のプロジェクトを推進するのに役立ちます。

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