現在、オペアンプには多すぎるほどの選択肢があり、設計エンジニアにとっては選択が難しくなっています。それに加えて、最近の製品サイクルはスケジュールが厳しいので、時間を掛けずに決める必要もあります。ただし、その選択を誤ると、時間もお金も無駄になります。
TIの汎用オペアンプ製品ラインアップは、新型の『TLV9001』、『TLV9052』、『TLV9064』を含め、48種類のオペアンプがあり、業界最小のシングルチャネルおよびクワッド・チャネル・パッケージなど、16種類のパッケージで供給されています。この技術記事では、プリント基板(PCB)の面積削減に役立ち、シグナル・チェーンのゲインを高める汎用性の高い帯域幅オプションを備えたこの新型オペアンプ・ファミリで、さまざまなプロジェクトのニーズにどう応えるかを説明します。
豊富なTIのオペアンプ製品ラインアップからシステム要件にぴったりのチャネル数、速度、サイズを選ぶことができます。
性能から得る設計の汎用性
図1の表に示すのは『TLV90xx』ファミリの概略で、共通点は上部に記載しています。3つのサブファミリは、電源電圧、入力電圧範囲と出力電圧範囲、オフセット電圧が同じなので、入れ換えて使うことが可能です。さらに、抵抗性出力インピーダンスが同じように低いので、安定性の問題も極力抑えられます。
図1:オペアンプ・ファミリの比較表
しかし、各サブファミリには、それぞれ性能上の長所があります。例えば、モーター電流センシング向けのGNDまでの出力スイング回路を搭載した、単一電源、ローサイド、単方向の電流センシング・ソリューションに、初めは『TLV9002』を使用していたとします。その後に、モーターの大きな過渡電流を扱うために、より高ゲインでより高速なスルー・レートが必要だと判明した場合は、大幅な設計変更をせずにピン互換性がある高帯域の『TLV9052』に取り換えることができます。このように取り換えができるのは、各サブファミリに同じ16種類のパッケージの用意があり、3つのチャネル構成をすべてカバーしているからです。
自由度の高いパッケージ・オプション
図2は、各パッケージ・オプションの詳細です。Industry Standard(業界標準)の列は、そのパッケージが他のサプライヤからセカンド・ソーシング品で供給されるかどうかを示します。Shutdown(シャットダウン)の列は、総消費電力の削減に役立つシャットダウン機能があるパッケージを示します。
小型パッケージ・オプションの大多数はQFN(Quad Flatpack No-Lead)パッケージですが、これ以外のパッケージに注目したいと思います。デュアル・チャネル、SOT(Small Outline Transistor)-23薄型パッケージは、シングルチャネルSOT-23パッケージのボディを使用していますが、従来の5ピンや6ピンではなく8ピンです。そのため、SOIC(Small Outline Integrated Circuit)、TSSOP(Thin Shrink SOP)、あるいはVSSOP(Very Thin Shrink SOP)などの大型のリード付きパッケージの代替品として非常に優れています。デュアル・レイアウト技術を利用して、8ピンSOT-23と従来のリード付きパッケージのマルチ・ソーシングに対応するようにもできます。Analog Design Journalの「小型パッケージ・アンプでのセカンド・ソーシングのオプション」(英語)の記事で詳細に説明しています。とはいえ、PCB面積を最小限に抑えたい場合は、QFNの利用を再検討することをお勧めします。
図2:オペアンプ・ファミリのパッケージ・オプション
大幅な小型化
これらの3つのサブファミリには、業界最小のシングルチャネルおよびクワッド・チャネルのパッケージが用意されています。競合する他の小型デバイスと比較して、TIのシングルチャネルX2SON(Extra Small Outline No-Lead)パッケージは0.8mm×0.8mmと13%小型、X2QFN(Extra Small QFN)パッケージは2.0mm×2.0mmと7%小型です。これらのパッケージに加えて1.0mm×1.5mmのデュアル・チャネルX2QFNパッケージもあり、複数のオプションからPCB面積の削減に役立つデバイスを選ぶことができます。図3の右端にあるのが、この3種類のパッケージです。
図3:小型パッケージへの軌跡
超小型のQFNパッケージはピン間隔が狭いことから製造技術によっては利用が制限されるため、TIはピン間隔の異なる小型パッケージのオプションも複数用意しています。アプリケーション・レポート「TIのX2SONパッケージを使用した設計と製造」(英語)では、これらのパッケージに関するレイアウトと配線のガイダンスを説明しています。
まとめ
選択肢が多すぎるとかえって選べなくなってしまうと言う人もいます。しかし、設計エンジニアがオペアンプを選択しようとするときは、選択肢は多い方がいいと思います。次に設計に取り掛かるときには、オペアンプ・ファミリを選ぶことを考えてみてください。そのファミリの中の3つの性能レベルと16のパッケージ・オプションから、自由にオペアンプを選べます。業界最小のシングルチャネルまたはクワッド・チャネル・パッケージであれば、必要に応じてPCB面積を削減することも可能です。
参考情報
+評価モジュール:SMALL-AMP-DIP
+『TLV9002』『TLV9052』『TLV9062』の比較表はこちら
+シミュレーション・デザイン: 『TLV9002』『TLV9052』『TLV9062』
+SPICE ベースのアナログ・シミュレーション・プログラム:TINA-TITM
+オペアンプのフォートフォリオはこちら
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※上記の記事はこちらの技術記事(2019年10月18日)より翻訳転載されました。
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