Other Parts Discussed in Post: ADS131M08, ADS131B04-Q1, AMC131M03

EV充電業界は、急速な成長を続けています。消費者、業界、政府が環境に配慮し持続可能性に優れた輸送手段を求める中、EV充電インフラにはさらなる効率性とアクセスのしやすさが必要です。

 

DCチャージャとは異なり、ACチャージャはスタック形式のパワー モジュールを使用しないため、よりコンパクトで低コストです。ただし、ACチャージャ独特のパワー モジュール アーキテクチャが原因で、必要な電力量を適度な時間内に供給することが難しいため、公共の充電ステーションでの採用は限定的です。むしろ、22kWというACチャージャの充電速度は、消費者がより長い充電時間を受け入れることが可能な住宅向けEV充電に最適です。いくつかのACチャージャが標準的な電源コンセントのみで動作することも人気を集める理由です。ACチャージャは、AC電力をDC電力へ変換するために、EVのオンボード充電ユニットを必要とします。

 

これに対し、DCチャージャのスタック形式パワー モジュールは、より短い充電時間で済み、充電速度が 360kWを上回る製品もあります。これらのパワー モジュールは充電時間全体の短縮につながりますが、チャージャのサイズも大きくなります。そのため、住宅への設置よりも公共の充電ステーションに適しています。DCチャージャは、チャージャ内部でAC電力をDC電力に変換するので、チャージャをバッテリに直接接続できます。

 

チャージャの種類がどちらであっても、信頼できる方法で測定を行い、システムの監視と課金に関する計算を行うために、高精度の測定ソリューションが重要になります。

 

EVチャージャ内の測定

ACチャージャとDCチャージャはどちらも、エネルギーを効率よく使用し、自動車の充電に使用される電力を監視するために、測定機能を必要とします。EV充電に使用する測定機能は、以下の3つのカテゴリに分類できます。

 

  • AC測定機能AC測定機能は、グリッドとの間で入出力するエネルギーの量を測定します。従来型の測定ユニットをACチャージャに内蔵し、グリッドとの直接接続を可能にする方式が、現在多く採用されるようになっています。
  • DCパワー モジュールの電流センシング:多くの場合、測定機能はパワー モジュールとは別個の機器ですが、高精度の電流監視に関する付加的なニーズが生じることもあります。DCチャージャ内の複数のパワー モジュール間では、絶縁型アンプを使用して各モジュールの動作状況を監視します。
  • DC測定機能:DCチャージャは、、複数の種類のアーキテクチャがあり、これらのスタッカブル パワー モジュールは、充電ユニットの電力定格を上下にスケーリングできます。DCチャージャの出力を最終的な測定ポイントとし (DC測定機能)、自動車内に印加される電圧を測定することもあります。それにより、DCチャージャと自動車の充電ソケットの間で生じた電力損失を消費者の支払い対象から確実に除外することができます。

測定に使用するセンサ

ACDCの各チャージャ内で測定を実施するために、設計者は多様なセンサを使用します。変流器とシャント抵抗は、非常に一般的な例です。エネルギー計算の目的で電力を測定するために多くのアプローチがありますが、ディスクリート実装を採用すると、設計者は測定法に関するフレキシビリティを高め、全体を制御することができます。ディスクリート ソリューションを高精度 A/Dコンバータ (ADC) と組み合わせ、外部マイコンを使用して、変流器またはシャント抵抗から取得した3相の電流と電圧を測定することができます (多相測定アーキテクチャと呼びます)ANSI (米国規格協会) C12 Class 0.5またはClass 0.2の各計器規格のような厳格な規格に適合できるように、このADCは高い精度を持つ必要があります。特定のADCが測定アプリケーションに適しているかどうかを判断する際には、高い信号雑音比 (S/N )、低ノイズ、小さいゲイン誤差も重要な要素となります。

 

センサとして変流器を使用する場合は、高精度のマルチチャネルADCが必要です。24ビットADCである ADS131M08 は、位相遅延回路を搭載しており、ANSI C12計器規格を上回るのに役立ちます。ADS131B04-Q1 は、オフセット誤差とドリフトに関してより厳格な仕様を達成しているため、EV向けのDCチャージャに最適です。この種の設計でどちらのADCを使用する場合でも、メーターを磁気的改ざんから保護するために、シールドが必要になることがあります。消費者が使用したエネルギーを確実に高精度でセンシングすることが重要です。

 

シャント センサを使用する測定アーキテクチャにも、変流器を使用する場合と同じく、精度に関するニーズがあります。ただし、シャントの場合、複数の相の相互間、および電流の流れる経路とデータを渡す経路の間に絶縁を確立する必要があります。シャント センサ固有の性質として、磁気耐性があります。それによってシールドが不要になり、より低コストで小型の設計が可能になります。24ビット絶縁型ADCである AMC131M03 は、データと電力の絶縁機能を内蔵しており、CISPR (Comité International Spécial des Perturbations Radioélectriques:国際無線障害特別委員会)1125の各規格を上回る放射電磁波特性を達成します。このADCは、高い信号雑音比と小さいゲイン誤差によって高精度測定を実現すると同時に、ピーク値で 7,070VPEAK の強化絶縁、また1分定格で 5,000VRMS の絶縁を達成します。

1に、各測定アーキテクチャに対して推奨する高精度ADCを示します。

センサ

AC測定機能

DC測定機能

変流器

ADS131M08

ADS131B04-Q1またはADS131M08

シャント

AMC131M03

1ACDCの各測定センサに対して推奨する高精度ADC

まとめ

ACチャージャとDCチャージャの要件が高まっている現状で、高精度の測定ソリューションはますます重要になっています。高精度ADCを採用すると、エネルギー計算を高い精度で実行できるほか、環境に配慮した持続可能性の高い輸送手段に適したインフラを構築する際に必要なフレキシビリティの確保に役立ちます。

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