自動車の設計にワイヤレスBMSを導入すると、重く高価でメンテナンスを要する配線が不要になり、ハイブリッド車および電気自動車(HEV/EV)の信頼性と効率を高めることができます。TIのワイヤレスBMS向けソリューションは、設計の複雑さを軽減し、信頼性を高め、車体重量を軽くすることで走行距離の延長を支援します。

TIでは、自動車メーカーのワイヤレスBMS開発期間の短縮を目的として、業界トップの機能安全性認証機関であるTÜV SÜDに対し、TIのワイヤレスBMS機能安全コンセプトの定量的および定性的なエラー検知性能について、実際に自動車メーカーがASIL D(ISO 26262で規定された安全性要求レベルの最高水準)を達成可能かどうか、中立的な立場での評価を依頼しました。

ワイヤレスBMSで機能安全要件を満たしながらデータを転送するには

技術ホワイト・ペーパー「車載バッテリ管理システムでの機能安全に配慮したワイヤレス通信(英語)」では、設計の効率化に役立つ4つのトピックを取り上げています。 

安全に配慮したデータ転送のための通信アーキテクチャ
一般に、安全に配慮したデータ転送を行うためには2つのアーキテクチャがあります。

  • ホワイト・チャネルでは、ハードウェアと(通信プロトコルを含む)ソフトウェアの全体を機能安全標準に従って開発し検証します。
  • ブラック・チャネルでは、ハードウェアと(通信プロトコルを含む)ソフトウェアからなる最終要素が機能安全標準に準拠している一方、それらの最終要素を結ぶ通信チャネルの一部は特定の機能安全標準に準拠していません。

ホワイト・ペーパーで後述するとおり、TIのワイヤレスBMSソリューションは、非準拠のワイヤレス・コントローラ・チップを使ったブラック・チャネルのアプローチを実装することで、システム全体のコスト削減を可能にしています。

有線データ転送とワイヤレスデータ転送での通信エラー
安全に配慮したデータ転送で最も重要な要件は、ハードウェアとソフトウェアが潜在的なエラーを検出できる能力です。幸い、エラーの種類とそれらを検出するための推奨アプローチが標準化されています。ホワイト・ペーパーには、有線とワイヤレスBMSの両方について通信エラーの種類をわかりやすく示した図が記載されています。

ISO 26262に対する検出性能の評価
ワイヤレスBMSはHEV/EVを対象としているため、ISO 26262への準拠はシステム・レベルで示されます。ホワイト・ペーパーでは、情報の冗長性、フレーム・カウンタ、タイムアウト監視などのエラー検出メカニズムの概要を示し、それらの定性的、定量的な評価について説明しています。

ホワイト・ペーパーでは実際の評価は行っていません。これはコンセプト全体を記述したドキュメントで行われています。

通信プロトコルの実装
このセクションでは、TIのワイヤレスBMSがIEC 62280に準拠したブラック・チャネル・モデルをどのように実装しているかについて説明します。 

ワイヤレスBMS設計への機能安全の実装の詳細については、ホワイト・ペーパー(英語)をご覧ください。

※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。 
※上記の記事はこちらの技術記事(2021年1月12日)より翻訳転載されました。 
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