車の安全性と信頼性の向上のため、自動車メーカーは OEM(Original Equipment Manufacturers)メーカーに対して、組み立て後に 100% の自動目視検査(Automatic Visual Inspection、AVI)を実施することを求めています。 QFN(Quad-Flat No-lead、クワッド・フラット、ピンなし)パッケージの場合、目視が容易なハンダ付け可能ピン/端子や、露出ピン/端子がないことから、パッケージがプリント基板(PCB)に正常にハンダ付けされているかどうかを判断することは困難です。 パッケージ端部には、端子に相当する露出銅箔がありますが、これらは酸化しやすく、側面のハンダ濡れ特性が低下します。

QFN パッケージでは、側面のハンダ被覆率は 50 ~ 90% の範囲で変動します。 OEM 企業にとって、アセンブリ不良に伴う歩留まりの低下は、コスト増加要因となります。さらに、アセンブリ・プロセスでハンダ接合部の不具合が発見された場合もコスト増加に繋がります。 X 線装置を使用し、ハンダ接合部の信頼性を確認する方法もありますが、追加コストが発生するほか、状況によっては利用できない場合もあります。

自動車メーカーや部品メーカーがリードレス・パッケージ側面のハンダ濡れ特性に関連する問題を解決できるようにするため、ウェッタブル・フランク・プロセスが開発されました。 このプロセスはハンダ付け状態に関する視覚的なインジケータ機能を提供し、検査時間を短縮します。 TI の LM53600-Q1LM53601-Q1 はオートモーティブ(車載)用の DC/DC 降圧レギュレータで、多くの有力車載 OEM 企業が承認済みのウェッタブル・フランク・プロセス採用 QFN パッケージに封止されています。

TI は、アセンブリ・プロセスにおける追加のステップで、特殊リード・メッキ(Special Lead Plating、SLP)を採用しました。これは、パッケージを角型にカットし、側面の半分に対してつや消しの錫を再メッキしたものです。 図 1 と図 2 をご覧ください。 

図 1: 標準的な QFN と、ウェッタブル・フランクによりカットとメッキを行った QFN 断面の比較

図 2: 部分的なカットと QFN パッケージ側面の半分に対する錫の再メッキ - 右側は該当部分の拡大図

錫メッキは、露出した銅の保護層として機能します。 PCB アセンブリ・プロセスの際に、ハンダ接合はパッドの下側から側面まで広がり、その結果、部品と基板間のハンダ接合部が強化されます。 自動目視検査の際に、デバイスのすべての側面にハンダ接合部が存在するかどうかを判断できるようになります。 側面にフィレット、つまりハンダの盛り上がった部分が存在している場合は、接合が完成している可能性が高いことを示します。ただし、この検査では、X 線検査なしで 0 PPM(Parts Per Minute、1 分あたり部品数)を保証することはできません。  パターン印刷の不備や PCB ランドの酸化に起因する不適切なペースト・ブロックが原因となって、部品下側のハンダ濡れ特性が低下する原因は依然として存在します。こうした問題の発生率を推定するためには、同じアセンブリ上に存在する QFN 以外の他のデバイスに対応する PCB ランドのハンダ濡れ不足 PPM データ を利用できます。

図 3 から図 6 では、QFN リード・フレームと PCB の間に、露出した明確な脚部フィレットが存在するハンダ接合部をハイライトしています。このようなフィレットは自動目視検査により、アセンブリ不良を取り除くのに役立ちます。


図 3: 標準的な QFN パッケージの側面

 

図 4: 標準的な QFN の脚部フィレット

図 5: ウェッタブル・フランク・パッケージの側面

 

図 6: ウェッタブル・フランク・パッケージ の脚部フィレット

結論として、ウェッタブル・フランクを採用しても、性能や品質に違いは発生しません。 この例で使用した、TI のオートモーティブ DC/DC 降圧レギュレータである LM53600-Q1LM53601-Q1 には信頼性の高いハンダ接合部が実装されており、現在の自動車業界で求められている厳格な 100% 自動目視検査要件を満たすことができます。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/behind_the_wheel/archive/2016/02/03/the-value-of-wettable-flank-plated-qfn-packaging-for-automotive-applications

*ご質問は E2E 日本語コミュニティにお願い致します。

Anonymous
  • Toshio Ushikubo 様

    この度はご質問いただきまして、ありがとうございます。ご質問に関しましては、 E2E 日本語コミュニティにお願いしております。

    恐れ入りますが、上記リンクをクリックいただき、ご質問の投稿をお願い致します。

    よろしくお願い致します。

  • 図5,6が「標準的なリード・フレーム・パッケージの側面」、「標準的なリード・フレーム・パッケージ QFN の脚部フィレット」と書かれていますが、これらはWettable Flankの写真ということはないでしょうか?