以前の投稿(英語)で、筆者は図 1 に示す、3D プリンタのコントローラ基板として想定されている TI Design のリファレンス・デザインを紹介し、3D プリンタを実現するためのいくつかの主要な TI デバイスに関する簡単な概要を示しました。 今回は、3D プリント全般に関する背景情報を紹介します。 3D プリンタに精通している場合はありふれた情報という可能性もありますが、このデバイスを初めて使用する場合は役に立つ可能性があります。

図 1: TIDA-00405 リファレンス・デザイン

3D プリンタ・コントローラのデザイン

最初に理解する必要のある概念は、3D プリントが多様な形態で使用されているという事実です。 「3D プリント」という非常に包括的な用語は、多様な方式を指して使用されることがあります。 これらの方式全般に共通する特徴は、「追加型の製造」技法であることです。 (コンピューター数値制御機械(CNC)による切削やレーザー切断のような)除去や削り出しとは異なり、素材を互いに組み合わせて物体を形成します。 3D プリントで非常に広く採用されている 2 つの形式は、次のとおりです。

  • 熱溶解積層法(FDMFused deposition modeling) これは一般に最もよく知られている方式です。既製のプリンタの多くで採用されています。 筆者は「ホット・ボンド射出方式」と呼んでいます。3D プリンタは本質的に、ホット・ボンド射出器と非常に良く似た方法で動作するからです。 前述のリファレンス・デザインは FDM プリンタを想定しており、システム図の例はここで入手できます。 この方式では(動作方法の例を図 2 に示します)、素材(多くの場合は熱可塑性樹脂)を取り出し、加熱したノズルから平坦な面に射出します。そこで素材が冷却されると再度硬化します。 ノズルには、X、Y、Z の 3 方向に移動する能力があり、3D オブジェクトを作成することができます。 多様な種類の素材が使用されていますが、最も一般的なのは ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、Acrylonitrile Butadiene Styrene)や PLA(ポリ乳酸、Polylactic Acid)のような熱可塑性樹脂です。

図 2: FDM による 3D プリントの動作方法(出展: Wikimedia.com)

  • ステレオリソグラフィー(SLA)。 この方式(サンプルのシステム・ブロック図を図 3 に示します)では、光反応性樹脂を紫外線(UV)光源で処理して目的の 3D オブジェクトの形状を形成する方法で、一度に 1 層ずつ 3D オブジェクトを製作します。 樹脂の XY 層を処理した後、エレベータ・プラットフォームが下降して次の層が処理できるようになります。 一般的にこのテクノロジーは FDM 方式より大幅に精細な分解能を達成できます。UV 光線は、FDM のノズルを制御する機械式システムより高精度で操作できるからです。 テキサス・インスツルメンツは DLP® テクノロジーを使用してこの主の 3D プリントを実現するためにこれまで勤勉に作業を進めてきました。DLP ステレオリソグラフィを使用した 3D プリンタ用の TI Design によるリファレンス・デザインは、ここに掲載されています。

図 3: TIDA-00293 DLP ステレオリソグラフィ・システムのブロック図

どの 3D プリント方式を使用する場合でも、最初の手順は 3D オブジェクトを解釈することです。 どの場合でも、最初は 3D モデルを取り扱います。これは、物理的な物体をデジタル形式で表現したものであり、以下のような多様な方式で作成または取得できます。

  • 3D CAD(コンピュータ支援設計)ツール。 3D CAD プログラムは、工学の多くの分野で使用されています。3D プリントは、その 1 分野に過ぎません。 このようなプログラムを使用すると、デジタル 3D モデルを手動で作成できます。 このプロセスは非常に退屈なものになることがあり、習得するにはある程度の専門知識が必要です。
  • 3D スキャナ。 その名が正確に示すように、3D スキャナ(スキャナの例は図 4 を参照)は、物体自体をスキャンすることにより、物理的な物体に対応する 3D モデルを作成します。 フラット・スキャナにある程度似通った点があることを想像してください。ただし、扱うのは 3D の物体です。
  • 3D モデル・リポジトリ。 別のオプションは、どこかに行って、すでに 3D モデルを作成した他の人の成果物を見つけることです。 3D モデル・ライブラリは、数千のオブジェクトに対応するモデルを蓄積しており、非常に一般的な存在になりつつあります。

次回の投稿では、代表的な FDM 3D プリンタを使用して、3D モデルをある程度現実に近付ける方法について説明します。 このシリーズで取り上げた方が良いと思われる提案がある場合は、ログインして、以下にあるこのブログのコメント・セクションからご意見をお知らせください。 設計や製品に関するお問い合わせについては、TI E2E™ コミュニティの TI Motor Drivers forums(英語)をご利用ください。

 

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/motordrivecontrol/archive/2015/06/09/under-the-hood-of-a-3-d-printer-part-1


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