IoTの拡大に伴って、ワイヤレス・センサ・ノードの需要は増しています。 IoT ネットワークには、多様なセンサ・タイプが統合されているところです。温度、湿度、圧力、周囲光などがその例です。 IoT ネットワークにセンシング能力を追加しようとする要望が高まるにつれて、センサ・ノードのバッテリ寿命の重要性も高まっています。

たとえば、商業ビルディングにワイヤレス・センサ・ノードを後付けし、スマート・ビルディング化する場合は、サーモスタットや煙探知器と火災探知器など、さまざまなデバイスをリンクするために数千個に達するワイヤレス・センサ・ノードを設置することが考えられます。 個別のノードすべてに対して電源ケーブルを取り回す作業は実用的ではないので、バッテリから電力を供給する必要があります。 ただし、これらすべてのワイヤレス・センサ・ノードに内蔵されている合計数千個のバッテリを交換する必要が生じた場合は、大量の人件費が発生します。

バッテリのメンテナンス関連コストと不便さを軽減するために、すべてのワイヤレス・センサ・ノードのバッテリ寿命をできるだけ長くすることが必要です。 ほとんどの標準的なワイヤレス・センサ・ノードは、バッテリ寿命を延長するために、デューティ・サイクル形式のアプローチを採用しています。 これは、ノードの電源を入れ、センサから取得したデータを記録し、そのデータをセントラル・ハブまたはゲートウェイに無線送信してから、低消費電力モードまたはロード・スイッチを使用してノードが自らの電源をオフにする方法です。 システム全体のバッテリ寿命に影響を及ぼす主な要因は、オン状態の持続時間、オン状態の平均電流、オフ状態の持続時間、オフ状態の平均電流です。

TI Design リファレンス・デザインである湿度/温度センサ・ノードTIDA-00374)は、ワイヤレス・センサ・ノードをデューティ・サイクル動作させる場合の最適化手法を示します。 ワイヤレス・マイコン内部のシステム・タイマの代わりに、ナノパワー・システム・タイマと超低リーケージのロード・スイッチを使用して、マイコンとセンサ受信にいつ電力を供給するかを制御できます。 ワイヤレス・マイコンは、温度センサを統合した湿度センサを読み取って、環境データを収集します。 環境データを送信した後、ワイヤレス・マイコンはナノパワー・システム・タイマにシグナルを送信し、ワイヤレス・マイコンと湿度センサへの電力供給を停止させます。 この TI Design のシステム・ブロック図を図 1 に示します。


図 1: スター・ネットワーク用の湿度/温度センサ・ノードで、10 年以上のコインセル・バッテリ寿命を実現 

 

このリファレンス・デザインにより、システム全体のバッテリ寿命を最適化できます。ナノパワー・システム・タイマと超低リーケージ・ロード・スイッチを採用すると、ほとんどの標準的なマイコンのシャットダウン・モードに比べて、オフ状態の平均電流が数十分の 1 に減るからです。 さらに、このリファレンス・デザインで使用しているワイヤレス・マイコンと湿度センサは非常に消費電力が小さいので、オン状態の平均電流も 5mA 未満に減ります。 センサ測定値とワイヤレス・データ送信が完了するまでの所要時間はわずか 30ms ほどであり、1 分間に 1 回測定を行う場合の全体的なシステム・バッテリ推定寿命は 10.5 年です。

IoT ネットワークが広く拡散する過程で、ナノパワー・システム・タイマを使用した、このデューティ・サイクル形式のアーキテクチャにより、ワイヤレス・センサ・ノードが非常に実践的に活用できるようになります。 システム・バッテリ寿命が、バッテリ自体の標準的な保管期限を上回っているので、この TI Design リファレンス・デザインは、実践的なワイヤレス・センサ・ノードを各種の新しいアプリケーションでどのように活用できるかを示すものとなります。 

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