ロボティクスのエキスパートであるMatthieu Chevrierが、
産業用、家庭用、専門サービス・ロボットが日常生活の一部として人間と協力する未来の姿を語ります。

今からそれほど遠くない未来に、スマート・ロボットがあなたのキッチンにいるかもしれません。

こんな生活を想像してみてください。

1日の始まりに、あなたは、センサの分散型メッシュ・ネットワークにより家を監視していたセキュリティ・ロボットに、あいさつをします。そのロボットは、あなたの家をお好みの設定に切り替えることができます。たとえば、ブラインドを上げて、朝のニュースを低音量で流し、コーヒーを豆から挽いて作り、セキュリティ・アラームをオフにするといったようなことです。

スマートフォンには、宅配ロボットが補充用のかみそりと歯磨き粉を家まで配達するために道路を移動中であることが通知されたりします。また、室内で朝の掃除のために動き回るロボットもいるかもしれません。

職場では、協働ロボットが大切なクライアントとのミーティングに備え、プロトタイプのテストと準備を行います。無事に大型の新しい受注を獲得し、従業員が物流・倉庫・製造向け協働ロボットをすぐに稼働させます。

帰宅すると、夜のニュースで、完全自律飛行の折りたたみ式ドローンが狭い洞窟の開口部を進み、閉じ込められた洞窟探検隊を発見して、その場所までレスキュー隊を案内するストーリーに夢中になります。

サイエンス・フィクションのように思えるかもしれませんが、ロボティクスや自動化ソフトウェアの世界に深く関わっている人々には、この未来はそれほど遠くなく、今存在している技術で作り出されることがわかっています。

 ホワイトペーパー:(英語)センサ・データによるロボティクスでのAIの強化

人間と機械の役割の劇的な転換

毎日ロボットについて考えている、私のシステム&アプリケーション・エンジニアリング・マネージャーとしての視点から、現在は、仕事や私生活における人間と機械の役割が劇的に変わる過渡期にあり、トレンドや市場の推進力は明らかです。

配達用ドローンや自動物流ロボットのような多くのロボットは、すでに開発中です。国際ロボット連盟(International Federation of Robotics)によると、3,300万台の家庭用および専門サービス用ロボット(人間の作業を行う産業環境以外のロボット)が2018年から2020年の間に販売されると予測されています。私たちはホスピタリティ・ロボットでも同様に急増することを予測しています。業界のエキスパートたちは、以下のような、現在はロボットが存在していない私たちの生活の多くの分野にロボットが参入すると予測しています。

  • ホテルでのチェックインとルームサービスの運搬
  • スーパーマーケットで、見つからない���品を案内
  • 郵便ボックスへの小包の配送
  • 芝刈りや、庭や家の手入れ
  • 医療処置で医師や病院の職員を支援
  • 空港で出発ゲートに案内

 協働型で適応力があり、移動性の高いロボットを強化する要素

人間の五感が脳に情報を中継するのと同様に、次世代のロボティクスは、リアルタイムで意思決定を行い、現実環境で移動するために、センサ・データとマシン・ラーニングを融合させて利用します。

人間はこの動作を、いつ誰が自分に話しかけているか、その人がどこにいるか、グループのどの人が話しているのかを把握するために、目と耳を併用して本能的に行います。

これらの構成要素が連携して、1つだけのセンサよりも質の高い情報がロボットに提供されます。ロボットは技術力の境界を押し広げて、これまでは不可能だった機能を発揮します。

機械は、高精度の制御動作を可能にするサーボモータによって外科医師の助手になります。ドローンは、タイム・オブ・フライト(ToF)センサであるLIDARと超音波センサが連携して自律飛行と衝突防止が可能なレスキュー・ロボットになります。熱帯性気候の環境では、温度センサと湿度センサを搭載した産業用ロボットは、露点を予測して電子システムを保護する予測保全の原動力になります。

かつては、センサは大型で高価でした。しかし、数量の増加によって、小型化、コスト削減、短期間での製造が可能な設計になっています。インテリジェントなミリ波センサのような、クラウドおよび機械へのアルゴリズムによるデータ処理を実現させるハードウェアやソフトウェアの技術は、検出と反応の間のタイムラグの解消に役立っています。

この結果、協働型で適応力があり移動性の高いロボットが加わり、人間から分離され、単純な繰り返し作業を指示される必要があった古い機械に取って代わることができます。

 有効に使える時間を取り戻す

古代から、機械によって人間が自然に対して優位に立ち、安全や快適さのためにモノを生産できる方法を探し求めてきました。仕事では、つるはしが蒸気ショベルに、ラバによる運搬が農機具に取って代わることの価値は明白です。ロボット・アームは1950年代に自動車部品の溶接や重量のある部品の移動などの作業のために導入されました。家庭では、20世紀に電気掃除機や洗濯機によって、家事に必要な時間が劇的に減少しました。

現在、開発者はマシン・ラーニングとセンサをロボットに組み込み、人間と協力して知的労働を行い、変化する状況に対応できるようにしています。私生活では、毎日の雑用に費やす時間と注意を、センサと知能が減らしてくれます。こんなことを考えてみてください。現在、私たちは非常に多くのことを行っています。その理由はそれらをしなければならないからです。喜びをもたらしたり、人生にとって意味があったりするからではありません。

家庭、街、職場でロボットの自律性が高まることで、雑事のために私たちが費やす生産的でも創造的でもない時間の大半を取り戻すことができます。私たちが輸送、家事、繰り返し作業のような基本的な仕事に費やす時間は劇的に減少します。

オフィスのロボットがあなたの書類を運んだり、会議にバーチャルで出席できたりすることで、あなたは価値の高い仕事や、次の大きな成長の計画、家族や友人とともに過ごすことにこれまで以上の時間を費やすことができます。

その技術はあるのです。どこまで発展するのかは、まだわかりません。

Matthieu Chevrier
ロボティックスおよびプログラマブル・ロジック・コントローラ部門
システム・アプリケーション・エンジニアリング・マネージャー

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2019年1月22日)より翻訳転載されました。
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