モーター制御の電力段を設計する場合、効率に関して特別な考慮をすれば、システム全体のコストを低減できます。これには、FET、スイッチ・ノード、制御アルゴリズムの最適化が含まれます。設計時に、過温度条件からシステムを保護する必要があります。過温度とは、システムがある温度レベルになると、プリント基板上の部品がその仕様範囲を超えることを意味します。この結果、部品にダメージを与え、ドライブ・システムの故障原因になります。

温度センサは、電力段の部品を監視/保護して、ドライブ・システムを安全動作領域(SOA)内に保ちます。SOAは、特定の皮相負荷またはRMS相電流において、特別な冷却機能なしでドライブが対応できる動作温度範囲として、システムに対して定義���れています。産業用機器の温度範囲は通常、-40°C85°Cの周囲温度です。

TIの「サーボ・ドライブ向け、スマート・ゲート・ドライバ搭載、48V/500W、3相インバータのリファレンス・デザイン」を使って、SOA曲線を生成しました。SOAの「理想」曲線を図1に示します。この曲線は、10ARMSでのサーマル・カメラによる検査と効率測定の結果に基づいて定義されています。この曲線は、温度誤差をゼロと仮定して、負の温度係数(NTC)を持つサーミスタおよび『TMP235A2』センサに対する基準として使用します。SOAの差はセンサの温度誤差の結果で、ドライブのSOA内での動作を保証するには、安全マージンが必要であることを示しています。

サーボ・ドライブ向け、スマート・ゲート・ドライバ搭載、48V/500W3相インバータのリファレンス・デザイン

 

 

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1:センサの温度誤差補償によるSOAの差

 

SOAの温度誤差はシステム性能にどのように影響するでしょうか。

1では、周囲温度でのRMS電流に関して、温度誤差が与える影響がわかります。ここでは、NTCには3.9°Cの誤差、『TMP235A2には2.0°Cの誤差を仮定します。この仮定については、本ブログのパート2で詳しく説明します。周囲温度に対する最大相電流でのSOA曲線を用いて、冷却を必要としない最大の相電流を定義できます。次に、この最大相電流を使用して、与えられた特定の温度センサ誤差における電力段の電力低下を計算します。図2は、3相インバータのリファレンス・デザインで使用されている計算に基づいています。  

 

2:���の温度センサを使用し、85°Cで使用できる皮相負荷

電力段は、誤差のない温度測定を仮定すると、539Wに対応できることがわかります。センサの温度誤差のため、安全マージンを追加する必要があります。この安全マージンは、サーボ・ドライブ電力段モジュール・システムで使用可能な電力の4%または8%、電力段を低下させる必要性を意味しています。電力段が500Wに対応する必要があり(図1から明らかに可能です)、NTCを使用する選択をする場合、システムの全温度範囲に対応するには、システムの冷却を追加するか、より高い効率が得られるようシステムを再設計する必要があるため、設計時間とコストが増加します。「サーボ・ドライブ向け、スマート・ゲート・ドライバ搭載48V/500W3相インバータのリファレンス・デザイン」は、既に99%という高い効率での電力段動作を実現しています。

本シリーズの次回では、今回の図を作成するために使用した検討事項、理論、ツールについて解説し、どの温度センサを使うかの選択に時間をかけるべき理由について説明します。

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※上記の記事はこちらの技術記事(2019年6月7日)より翻訳転載されました。
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