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産業用ロボットや協働ロボット (コボット) が、高い電力密度と優れた放熱特性を必要としていることは明らかです。各種ロボット・システムは集中型アーキテクチャから非集中型 (分散型) アーキテクチャへの移行を進めているので、モーター・ドライブをロボット・アームの中に格納できるように、非常に高効率かつ超小型の IC が必要です。

統合型モーター・ドライブを使用すると、ドライブとモーターを単一ユニットとして格納できるので、スペースの節減につながります。加えて、モーターとドライブを接続するためにロボットのキャビネットからマニピュレータまで、長い高コストのケーブルを引き回す必要もなくなります。

ケーブルは高コストであることに加え、定期的な保守が必要です。ロボットが継続的に動作する多軸システムでは、特にこのことが当てはまります。また、ケーブルに関連する問題が発生した場合、トラブルシューティングに時間を要する可能性があり、それは生産性の低下につながります。ドライブとモーターを統合すると、ケーブルの数を減らすと同時に、スペースを節減することもできます。

ドライブとモーターを統合することには多数の利点がありますが、熱設計には 1 つの重要な課題が生じます。ドライブの各部が、より高い周囲温度にさらされ、冷却にも制限があることです。その結果、このような温度下での定格電力の供給はいっそう難易度が高くなります。この条件により、ドライブのインバータには電力損失に厳格な制限が課され、損失の小さい高効率ドライブが必要になります。

ファクトリ・オートメーション設計で電力密度を高めることの利点

TIがファクトリ・オートメーションの課題を電源設計のイノベーションでどのように対応しているのかについての詳細は、ホワイト・ペーパー(英語)をご覧ください。

このような課題に対処するために、2 種類のドライブが役に立ちます。最初のオプションは、従来型の IGBT (絶縁型ゲート・バイポーラ・トランジスタ) ベースのインバータ・ドライブを使用することです。ただし、ダイオードの逆回復損失が原因で、IGBT 全般の損失は大きいので、モーターとの統合は容易ではありません。スイッチング損失とは、ヒートシンクの大型化や液体の冷却が必要になることを意味し、この結果、モーターとの統合は事実上不可能になります。 

2 番目の、そしてより良いオプションは、GaN FET (窒化ガリウム電界効果トランジスタ) を使用することです。ゲート・ドライバを内蔵した各種 GaN FET と各種 GaN パワー・デバイスで構成された TI の製品ファミリは、寿命全体にわたる信頼性とコストの点で優れた、効率的なソリューションの実現に役立ちます。GaN トランジスタのスイッチング速度は、シリコン MOSFET (電界効果トランジスタ) よりもずっと高速なので、スイッチング損失を低減できる可能性が高くなり、その結果、放熱量も少なくなります。GaN トランジスタを採用すると、ヒートシンク、ファン、それらのアセンブリなどの部品に要するシステム・コストの削減とサイズ縮小も可能になります。ロボット・アームのようにスペースに制限がある場合、この点は特に重要です。

GaN パワー・デバイスを追加すると、統合の課題も発生します。ただし、GaN FET に内蔵シリコン・ゲート・ドライバと保護機能を組み合わせた製品を選ぶことで、このタスクを簡素化できます。『LMG3422R030』はその 1 つの例です。『LMG3422R030』は、産業用ロボットやモーター・ドライブ・システム内で使用する、電力密度の高い産業用電源を想定した設計を採用しており、EMI (電磁干渉) の制御を目的とした調整可能なゲート・ドライブ強度や、障害通知機能付きの過熱/過電流保護などの機能を搭載しています。

また、ロボット・コントローラは、絶縁型の電源パスと信号パスを搭載した、フレキシブルな数のアナログ入出力モジュールも搭載しています。 チャネル数が多くなり、パッケージが小さくなると、既存の絶縁型スイッチング・トポロジを改良する必要が生じます。

同期整流を追加すると、フライバック・レギュレータのような従来型の設計であっても、効率を高めることができます。

90% を十分上回る効率が達成可能ですが、一方で同期整流を採用すると、従来型のフライバック設計に比べて複雑さの上昇やコスト増大を招くことになります。同期整流を実施するには、通常はトランスの 2 次側での同期整流器コントローラと、1 次側のフライバック・コントローラへのフォトカプラ・フィードバックが必要になるからです。

このような状況では、『LM25184』のようなフライバック・コンバータが解決策になる可能性があります。この製品は 1 次側レギュレーション (PSR) を使用し、フィードバック用途のフォトカプラや補助トランス巻線が必要ありません。『LM25184』は広い負荷範囲にわたって 90% の効率を達成できるほか、放熱強化、超薄型、4mm x 4mm のスモール・アウトライン・ノーリード (SON) パッケージで供給されます。42V の最大入力電圧に耐えるので、標準的な 24V 産業用バスで発生する過渡事象に対処できる十分なヘッドルームがあります。

ファクトリ・オートメーション・アプリケーションで電源に関する検討事項を取り扱うのは、複雑なタスクです。アプリケーションによっては、製品の要件として、せわしないファクトリ環境での正常な動作、使用可能なスペースへの格納、EMI 要件への適合、人間や機械に対する保護機能などが求められます。

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※上記の記事はこちらの技術記事(2021年10月13日)より翻訳転載されました。
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