このブログ・シリーズのパート I とパート II では、モーターの「ブラインド」起動について説明しました。これは平易なアプローチですが、いくつかの制限事項があります。 アプリケーションで、ブレードが前後に移動することが受け入れ不可能な場合(天井換気扇や卓上ファン)や、逆方向の回転が禁止されている場合(たとえば、HDD のモーターや VCM)は、初期位置検出(IPD、Initial Position Detection)について考慮する必要があります。
IPD は、モーターをスピンアップする前に、モーターの位置を検出する方式です。 逆起電力(BEMF)に関連する方式は、モーターが起動する前は使用できないので、モーターの位置に対する関数として表現できる、モーターの別の特性を見つける必要があります。 モーターの巻線インダクタンス(飽和)は、この要件を満たします。
モーターの巻線の等価回路は、インダクタと、直列に接続された抵抗です。 電流によって相が駆動されると、巻線の磁界が大きくなります。
巻線のコアの材質である珪素鋼には、電流が急速に増加しても、磁界がそれに追従できなくなる飽和点が存在します。 この飽和点は、素材の磁化曲線(BH 曲線)によって判定できます。
ブラシレス DC(BLDC)モーターで採用されている永久磁石は巻線のコア内で磁界を生成します。この磁界は、相電流によって生成された磁界に加算することができます。
簡単な実験で、この原理を検証できます。
1) スイッチをオンにします。 12V 電源がインダクタへの充電を開始します。
2) インダクタ電流が 1.6A に達した時点でスイッチをオフにします。
3) 電流の波形をキャプチャします。
4) インダクタの近くに永久磁石を置きます。
5) インダクタのコアに対する追加の磁界が生じます。
6) このテストを繰り返します。
これが結果です。
磁石が近くに存在している場合は、インダクタは急速に飽和し、電流は急速に大きくなります。
また、より強力な永久磁石を選択すると、より短い時間で電流はスレッショルドに達します。
この概念をモーターに適用することができます。
次の順序で、三相モーターの 2 つの相に対して、電圧を順に印加します。 VW WV UV VU WU UW。 電流がスレッショルドに達した時点で、モーターの両端に供給する電圧を停止します。 電圧の印加を開始した時点から、電流がスレッショルドに達した時点までの時間を測定します。 この時間は、モーターの巻線が示すインダクタンスの関数という形で変動します。
時間が最も短い状態は、インダクタンスが最小である状態を表します。 インダクタンスが最小になるのは、モーターの N 極が、この特定の駆動状態に整列されている場合です。
IPD の結果を高精度で得るには、いくつかのパラメータを正確に選択する必要があります。
1. IPD 電流のスレッショルド
2. IPD クロック
3. IPD 解放モード
IPD パラメータ選択の詳細については、DRV10983 データシート(英語)と、DRV10983 turning guide(英語)を参照してください。
ここまでの説明で、BLDC の起動に関する疑問を解決できたでしょうか。 筆者が回答できると思われる、BLDC に関する疑問をお持ちの場合は、お問い合わせください。
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