皆様は簡潔なブラシ付き DC モーター用のドライブに携わっていますか。 開発期間が限られている状況で、大型のブラシ付きモーターに大電流をドライブするために、複数のディスクリート MOSFET を使用する必要に迫られることがありますか。
既製品のゲート・ドライバを選択するときは、図 1 のような回路図を目にするはずです。2 個の抵抗を選択するだけで、(理論的には)先に進むことができます。
図 1: ゲート・ドライバの理論的な回路図
ここには 1 つの問題があります。 図 1 の回路は動作しません。 ハーフ・ブリッジが High にプルアップされた時点でローサイド FET はオンになります。貫通電流と損傷を防止するために、設計者はローサイド FET のゲート電圧を Low に維持する必要があります。 代わりに、回路が動作するように、最終的に図 2 のような別の回路を使用することになります。ただし、今度はハーフ・ブリッジの立ち上がり時間を低速にする必要が生じます。 スイッチング時間が長いことが原因で、FET は高温で動作する結果になります。 その結果、部品を追加しない場合は、実質的に何も改善していないことになります。
図 2: ゲート・ドライバの実際の回路図
筆者の意見では、全体のプロセスのうち最悪の部分は、試行錯誤で抵抗を選択している作業です。 抵抗の半田付けと取り外しを継続する必要が生じている場合は、設計全体が本当に遅くなります。 (個人的には半田付けやラボでの実験は好きですが、時間の無駄遣いは否定できません。) テストごとに、毎回ボードを改造する必要が生じる状況では、意欲が非常に低下します。
適切なゲート・ドライバを選択すると、モーターを容易に回転させるうえで大きな違いが生じます。 正しいオプションを選択すると、ここまでに説明した問題を排除することができます。 TI で「IDRIVE/TDRIVE」と呼んでいる特殊なゲート・ドライブ・アーキテクチャは、問題の解決に役立つ可能性があります。 このアーキテクチャが IDRIVE/TDRIVE と呼ばれる理由は、それらが主要なパラメータだからです。 IDRIVE はゲート・ドライブ電流であり、tDRIVE は IDRIVE がアクティブである期間の長さを意味します。
図 3: IDRIVE/TDRIVE のゲート電流(教訓:エンジニアに命名を任せても良い結果は得られません)
ゲート・ドライブ電流を制限するために外部ゲート抵抗を必要とする代わりに、ドライバが内部でゲート電流を制御することができます。 デバイスに応じて、単純に 1 本のピンを使用するか、シリアル・ペリフェラル・インターフェイス(SPI)レジスタを通じて、ゲート・ドライブ電流を設定することができます。 (図 4 のように)データシートにゲート抵抗が描かれていないことがわかります。このような抵抗なしで、デバイスが正常に動作するからです。
図 4: IDRIVE/TDRIVE の実際の回路図
ゲート抵抗を使用しないことに伴う大きな利点の 1 つは、ゲート・ドライバが FET のゲートに対して強力なプルダウンを適用できることです。 ハイサイド FET がオンになっており、位相ノードの電圧が上昇している間、ローサイド FET のゲート - ドレイン間静電容量 CGD は位相ノードの立ち上がりエッジを FET ゲートに結合する役割を果たします。 図 1 では、ゲート・ドライバはゲートを継続的にプルダウンする能力を制限されていました。 図 4 では、この新しいゲート・ドライブ・アーキテクチャはローサイド・ゲートに対して強力なプルダウンを適用することができます。一方で、FET をオンまたはオフにしようとする場合は、より穏やかなゲート充電/放電電流を流すように設定することができます。
ゲート・ドライブ電流が 1 本のピンで調整可能な場合は、単一の抵抗または D/A コンバータ(DAC)を使用して電圧を強制的に適用することで、電流を変更できます。 SPI を通じて調整可能な場合は、レジスタに書き込みを行うだけで電流を変更できます。 IDRIVE/TDRIVE を使用すると、モーターをドライブしている最中も含め、希望するときにいつでもゲート・ドライブ電流を変更できます。
IDRIVE/TDRIVE を使用すると、試行のたびに複数の受動部品を取り外す必要なしで、システム内のゲート・ドライブ電流に関する実験を簡単に実行できます。 次の 図 5 に、異なるゲート・ドライブ電流を流したときの DRV8701 に関するいくつかのプロットを示します。
IDRIVE/TDRIVE アーキテクチャは、今すぐ複数のデバイスで利用できます。
- DRV8701 - ブラシ付き DC モーター用のシングル・ゲート・ドライバ。
- DRV8711 - ブラシ付き DC モーターまたはステッパ用のデュアル・ゲート・ドライバ。
- DRV8308 - ブラシレス DC モーター用のゲート・ドライバ。
図 5: IDRIVE/TDRIVE のゲート・ドライブに関する複数の設定とそれらに関連する立ち上がり時間を DRV8701 評価モジュールで測定した例
先へ進み、モーター・ドライバのゲート・ドライブに関する不満を抱える代わりに、IDRIVE/TDRIVE アーキテクチャをご確認ください。 MOSFET に取り組む時間を減らし、モーターを回転させるための時間を増やしてください。 パワー MOSFET の強化の背後にある理論と手法、IDRIVE/TDRIVE 機能が TI 製モーター・ゲート・ドライバに実装されている方法、システム・レベルの利点の詳細については、アプリケーション・ノート(英語)をダウンロードしてください。
その他のリソース:
スケーラブル設計を想定して設計された新しいブラシ付き DC ゲート・ドライバである TI 製 DRV8701 の詳細はこちら。
上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。
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