テキサス・インスツルメンツの DLP® テクノロジーは、その中核にデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)を搭載しており、高い潜在能力を秘めています。3D プリントやマシン・ビジョンのような分野に応用すると、高解像度の画像形成、高速な製造速度、低廉な製造コストを実現し、自律型の製造という構想を現実化するのに役立ちます。
DLP テクノロジーによる 3D プリント
ステレオリソグラフィー(SLA)は一般的な 3D プリント・プロセスの 1 つであり、従来の印刷に似ています。 トナーを紙片に堆積させるのと同様に、3D プリンタは一連の 2D 断面図に相当する素材の層を複数堆積させ、物理的な 3D オブジェクトを形成します。 SLA では、素材は樹脂であり、紫外線(UV)光源を使用して処理されます。 樹脂を処理すると、そのモノマーは架橋結合によりポリマ・チェーンを作り出し、硬い素材を形成します。
SLA を DLP チップセットと組み合わせると、UV 光源を使用して DMD を照射することになります。 その後、DMD のピクセルを使用して画像パターンを生成し、そのパターンを樹脂層に投射して、一連の断面図を形成した後、最終的にそれらが 3D オブジェクトになります。 DLP テクノロジーを使用することの利点は、樹脂に対して光源を直接画像形成する代わりに、DMD から反射された個別のピクセルを光学機器を使用して画像形成することで、分解能と各部のサイズを最適化できる点にあります。
従来型の SLA 機器に 100μm のボクセル(VOlume piCture ELement、3D 画素)を生成する能力があるのに対して、DLP テクノロジーを活用した SLA 機器は最小 30μm のボクセルを生成できます。 ボクセルが小さいほど、なめらかなオブジェクトを生成できることになり、オブジェクトを仕上げるために必要とされるポスト・プロダクション(形成後の各種作業)プロセスが少なくて済むことを意味します。 さらに、これらの機器は従来型の SLA 機器より高速に、大型のプリントを形成することができます。一度に 1 つのボクセルを作成し、各層を順に形成する代わりに、構築する層全体を同時に画像形成および作成するからです。
DLP テクノロジーを使用した測定とテスト
従来型のマシン・ビジョン・システムは、オブジェクトをスキャンする接触型の座標測定方式、または単一のカメラを使用して検出と測定を行う非接触型の 2D 方式のどちらかを採用しています。 DLP テクノロジーを活用した 3D マシン・ビジョンは、構造化照明方式と呼ばれる、シングル・ライン・スキャンのバリエーションを使用します。 デジタル照明パターンは、オブジェクトに照射され、カメラのセンサによって画像形成されます。カメラのセンサは既知の入力角を使用して三角測量を行い、3D 情報を抽出します。
投射されるパターンは通常、黒と白のバーです。対応するピクセル列を持つ DMD をオンおよびオフに切り替えることで、このパターンを生成します。 DMD から放射された光は、投射レンズを使用し、測定対象のオブジェクトに対して画像照射されます。 DMD ピクセルのサイズは最小でわずか 5.4μm です。そのため、小型パネルを使用して、高解像度パターンを生成することも可能です。
DLP テクノロジーを活用した構造化照明方式は、高分解能能力と最大 32kHz の高速プログラマブル・パターン・レートを実現しているので、従来型のシングル・ライン・スキャンや接触型の座標測定に比べて、高精度の 3D データをリアルタイムで生成できます。 さらに、DMD を使用すると、365nm ~ 2,500nm の範囲にまたがる非常に幅広い波長選択肢が利用できるので、システム設計のフレキシビリティが高まります。
3D プリントとマシン・ビジョンの各ソリューションで DLP テクノロジーを活用する方法に興味を惹かれたでしょうか。 以下のリソースをご覧ください。
- 3D マシン・ビジョン向けの DLP テクノロジー・ソリューション
- 3D マシン・プリント向けの DLP テクノロジー・ソリューション
- DLP テクノロジーを使用した、3D マシン・ビジョン・アプリケーションの精密なポイント・クラウド生成に関するTI Designs リファレンス・デザイン