最近では、インダストリアルIoT(産業向けモノのインターネット:IIoT)がもたらしたプロセス自動化とファクトリ・オートメーションのメリットに関するニュースを毎日のように耳にします。産業界に深くかかわる人たちと話をしていると、センサからデータウェアハウスまでの統合の問題とサイバーセキュリティが、IIoTの立ち上げを遅らせる最もクリティカルな問題となっています。
センサからデータウェアハウスに至るまでを統合するIIoTが直面するこれらの問題を理解し、解決策を特定するため、インターネットとWWW(World Wide Web)を成功に導いたものは何だったのでしょうか。ウェブが最初に登場した1950年代では、その開発は極めて遅々と進められており、大学や国防関係の研究というニッチな領域に限られていました。しかし、ティム・バーナーズ・リー氏(Tim Berners-Lee)がインターネットを可能にする3つの原理を定義した時に状況がガラリと変わりました。
- 得られるもの:HTML
- 所望のコンテンツが得られる場所:URI
- 情報を得る方法:HTTP
この画期的な考え方はインターネットの最初に二つの波を起こしました。「Web 1.0」と「Web 2.0」です。図1に示すように、「Web 3.0」である第3の波は、機械がデータを生み出し消費しますが、これこそが基本的にIIoTなのです。機械がウェブコンテンツを元に行動し対応できるようになる時代となります。
図1インターネットの3つの段階
テキサス・インスツルメンツ(TI)が顧客のIIoTのソリューション立ち上げ支援のために、ティム・バーナーズ・リー氏がWeb 1.0を可能にするために何をしたのかを見ると、上の3要素を適用する必要があり、センサからデータウェアハウスまでの統合の事例を実際に示さなくてはならないことに気が付きます。
もっと具体的に言えば、Web 1.0からこのアーキテクチャを再利用しました。
- 得られるもの:インダストリアル・グレードのデータ収集
- これらのインダストリアル・グレードの測定を可能にするために、産業向けの高いレベルの確度・精度や分解能、消費電力、コスト構成で設計した製品を市場に出すことを決めました。
- これを得られる場所:ワイヤレス・センサ・ノード
- これらのワイヤレス・センサ・ノードを使えるようにするために、いろいろなセンサを汎用性の高い無線リンクに接続しました。
- それを得る方法:ゲートウェイ
- このゲートウェイを使えるようにするために、ゲートウェイを通ってデータを簡単に入手できるようにしました。このゲートウェイは、極めてフレキシブルであり、既存のネットワークインフラへの接続を容易にし、TIのクラウドパートナーの1社を通して容易につなげられるようにしました。
TIはこの3要素を持っていましたが、それらを一緒に結びつけていませんでした。TIはこれを一緒にして、ワイヤレスpHセンサトランスミッター(TIDA-00561)のリファレンス・デザインを発表し、Bluetooth Smartゲートウェイと共に見せることを決めました。これがSPS IPC Drives 2015のTIブースでデモしたものです。
このデザインでは、pHフロントエンド回路、それにpHプローブを標準接続しています。実験室でテストした性能データは、pHが0~14の入力範囲で全体の誤差が±0.01pHでしたので、プロセス計測の要求を満たしていることを確認できました。このリファレンス・デザインのサイズと電気的な接続は、TI SimpleLink™ マルチ・スタンダードCC2650 センサタグ・エコシステムと互換性があるので、ワイヤレス・センサ・ノードを作ることができます。簡単なファームウエアの更新は、十分にでき、ワイヤレス接続技術をBluetooth® Smart、あるいはZigBee® 、6LoWPANの中から選択できます。
ワイヤレス接続技術を選んでしまえば、あとは適切なゲートウェイを利用できます。TIのクラウドパートナーの1社と組みクラウド解析を行うために、イーサネットか無線LANのいずれかによってデータ転送しシステムを解析します。
TIDA-00561や無線熱電対センサ・トランスミッタ DevPack、センサタグ 用リファレンス・デザインのようなワイヤレス・センサ・ノードを作り接続することによって、ネットワークを簡単に設定でき、開発用のBluetoothエコシステムを活用することができます。TIのゲートウェイとTIのセンサタグが他のネットワークもサポートしているため、後に異なる無線プロトコルにもっと簡単に切り替えられるようになります。残りのデータリンクに触れないままにしますので、この作業を進めIIoTの立ち上げにつなげていくことができます。
追加リソース:
- 以下リファレンス・デザインをご参照ください
- インダストリアル・グレードのpHセンサ
- 無線熱電対センサ・トランスミッタ
- 熱電対発電機をエネルギー・ハーベスティングに使うためのアダプタモジュール
- Bluetooth Smart, 6LoWPAN あるいは ZigBee用のゲートウェイを使い、独自のエコシステムを作る
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