モノのインターネット(IoT)が家庭や職場で普及するにつれて、これまで以上に多くの家電製品とシステムがエレクトロニクスを統合し、世界中の事実上あらゆる場所からアクセスできるようになっていることに気が付いています。 ところで、家庭やオフィス内で非常に多くのデバイスが接続された結果、消費されるスタンバイ電力がかなり増加しています。 サーモスタット、ビデオ・インターホン、セキュリティ・システム、TV をより効率的にすると同時に、これまでと同じコネクティビティを維持するために、何を実行できるでしょうか。 シンプルなリニア・レギュレータ(LDO)が貢献できます。 以下に、その重要な理由を示します。

LDO による電力効率の向上

住宅や職場にある多くのデザインは、高精度の機能を実現するためにセンサに大きく依存しています。 これらのセンサの多くは、高い分解能を実現し、わずかな量の化学物質や気体を検出するほか、微量の液体を測定する必要があります。 センシングにとって効率は不可欠なので、80% を上回る効率を達成するには、スイッチ・モード電源(SMPS)を統合する必要があります。 残念ながら、スイッチング・レギュレータを統合すると、センサの機能に悪影響を及ぼす、電圧振幅などの外部要因を作り出すことになります。

通常、この問題を解決するために、SMPS の出力に LDO を追加します。 LDO を使用すると、電源設計の全体的な効率が低下します。それでも、70% の効率は維持できます。完全リニア構成のソリューションが 10 ~ 20% の効率にとどまることに比べると、これは全体の性能が向上していることを意味します。 また、LDO には電源除去(PSR)という特長もあります。 PSR は、電力変動への対処に役立ちます。そのため、LDO がフィルタとして機能し、変動がセンサに影響を及ぼすことがなくなります。 例として、TPS717 LDO を取り上げましょう。

図 1: TPS717 による電源除去

ほとんどのセンサ・ハブとサブシステムでは必要とされる電流は小さいので、信号を分析するために 10mA 負荷のユースケースを使用できます。 2.1MHz の動作速度を想定すると、TPS717 の PSR は 40dB を上回ります。この値は、SMPS のリップルに比べて、この LDO が反映するリップルが 1/100 未満であることを意味します。

LDO システムの超低消費電力化実現

効率に話を戻して、今度はこのシステムの低消費電力という特性に注目し、全体的なスタンバイ電力を削減します。 LDO による消費電力を計算するために、次のように入力と出力の間の電圧降下、および LDO が供給する電流に注目する必要があります。

この例の LDO は全体的な消費電力に明白な影響を及ぼしませんが、LP2951 のような多くの LDO にはシャットダウン機能が搭載されており、システムでの電流供給をシャットダウンすることもできます。 

図 2: LP2951 の機能ダイアグラム

シャットダウン・モードでは、システム内の電力損失は次のようにシャットダウン電流のみに限定されます。

この例で LP2951 とそのシャットダウン電流を使用すると、電力損失を 1/1,000 単位で減らすことができます。

まとめ

上記の説明は、電源設計の効率を向上するために LDO に依存してよい、という意味でしょうか。  LDO 単独ではそう言えません。 システムの効率は実際のところ、全体的な設計による影響を受けます。 ただし、適切な LDO を追加すると、デザインの中で重要な役割を果たす多くのセンサに対してクリーンな電源レールを確実に供給できるほか、必要な場合のみ、センサが電力を消費するようにすることができます。

この考え方を基本にして、もっと良い設計を作り出すためのアイデアが思い浮かんだでしょうか。 以下のコメント欄でご意見をお聞かせください。 

また、ホワイト・ペーパーやブログを気軽にご覧になり、TI の LDO の詳細をご確認ください。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。
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