多くの産業用システムは、UL(Underwriters Laboratories)や IEC(International Electrotechnical Commission)の特定の安全性規格を満たすように設計されており、多くの場合は UL 認定を取得することを最終的な目標にしています。 このプロセスの一環として、多くの設計は UL と IEC の一方または両方で規定されている非常に具体的な一連の要件に合致することが求められます。 たとえば、欧州で販売される家電製品は IEC60335-1 に合格する必要があり、世界全体で販売される家電製品は UL 60730 に合格する必要があります。 幸いなことに、以下のような低消費電力回路(low-power circuit、LPC)の定義を含め、これら 2 つの規格は多くの点で共通しています。

「次いで、抵抗器によって消費される電力が最大値に達するまで、抵抗を減少させる。 電源に最も近い任意のポイントであると同時に、5s の期間の最後にこの抵抗器に対して供給する最大電力が 15W を上回らないポイントを、低消費電力ポイントと呼ぶ。 電源から見て低消費電力ポイントより遠くにある回路の部分を、低消費電力回路とみなす。」 (UL60730-1, section H.27.1.1 の低消費電力回路に関する定義)

LPC 設計の利点とは

上記の定義から筆者が理解した重要な点は、回路が 15W を上回らない場合、その回路を LPC として分類できることです。 実証済みの LPC は、グロー・ワイヤ試験やニードル・フレーム試験(NFT)を含め UL H.27.1.4 を形成する複数の試験、また 19.11.2 a-g の特定の障害条件試験(開路、短絡、空間的余裕の試験)を省略することを許可されます。産業用システムの設計に LPC を使用すると、これらの試験に要するはずの時間と費用を節約できます。

低消費電力回路に関して、TI はどのように皆様を支援できるでしょうか。

次期設計で LPC を実装するための最初の手順は、低消費電力ポイント、つまり「ノード」が確実に存在するようにすることです。  各ノードが 15W 以下にとどまることを保証する簡単な方法は、次の高精度電力制限ソリューション TI Designs リファレンス・デザインのような、高精度電力制限ソリューションを各ノードに実装することです。 この TI Designs リファレンス・デザインは TPS25921 eFuse を使用します。この製品は、各ノードに流れる電流と電圧を監視します。 この eFuse の電流制限精度は ±2% であり、1 本の外部抵抗を使用して調整します。 また、±3% 精度の過電圧保護(OVP)と低電圧ロックアウト(UVLO)スレッショルドも実装しており、図 1 に示すように 1 組の抵抗デバイダを使用して値を設定できます。 TPS25921 を含むほとんどの TI 製 eFuse は、UL 2367(半導体過電流保護)と UL 60950(シングル・ポイント障害発生時の安全性)の一方または両方の認定取得済みであり、UL 認定取得プロセスをさらに促進することができます。

図 1: R1、R2、R3 を使用して設定する UVLO と OVP のスレッショルド

低消費電力回路の実装に伴う課題

次期設計に LPC を実装することに伴う最大の課題は、既存の設計に大規模な変更を加える必要が生じるという事実です。 ただし、LPC を使用するシステムの設計が完了した後は、他のプロジェクトでそれらのボードを再利用することは非常に簡単で、コスト効率の優れた方法です。 LPC に関して必要とされる試験を減らすことができるので、テスト全体に要するコストと開発期間は節減され、生産性が向上します。 TI の電力制限ソリューション TI Designs リファレンス・デザインを活用して LPC を実装すると、次期プロジェクトで時間と費用の両方を節約する優れた方法を実現できます。

 

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。
(該当する英語ブログの URL

*ご質問は E2E 日本語コミュニティにお願い致します。
Anonymous