ほとんどの産業用機器では、診断データのキャプチャ、および機器への構成データ送信を行うために、機器とのインターフェイスが必要です。  具体的な方法は、水道メーターや電気メーターなどの場合と、製造機器の場合では異なると思われます。  このようなデバイスへのインターフェイスは、安全、堅牢で適切なデータ・スループットを達成するとともに、コストや消費電力を過度に増やさないことが求められます。 

近距離無線通信(NFC)は、このようなワイヤレス・サービス・インターフェイスを実現する優れた方法の 1 つです。  NFC は短距離(通常は <10cm)ワイヤレス通信プロトコルで、磁界の中で 13.56MHz を使用して動作します。  このテクノロジーは近接ベースなので、通信を開始する前にペアリングの手順は必要なく、ユーザーの操作が簡単になります。  最も基本的な形態では、ユーザーが NFC リーダーを単純に「タップ」するだけで、NFC タグが何らかのデータを読み取ることができます。  磁界を使用する方法により、通信範囲を詳細に制御することができ、ある程度の固有のセキュリティを確保できます。  また、暗号化を使用してセキュリティ・レベルを強化することもできます。  セキュリティの側面に加えて、NFC は標準化と、スマートフォンやタブレットでの採用が進んでいることから、適切なソリューションと言うことができます。  NFC を搭載した最初の世代の主要なスマートフォンは、2010 年に登場しました。  それ以来、採用は急速に進み、5 年が経過した時点で、ほとんどのスマートフォンはこのテクノロジーを搭載するようになりました。  このテクノロジーの実装では、超低消費電力、またはデバイスが RF フィールドからのエネルギー・ハーベストに対応している場合は電源なしでの動作が可能です。

以下に、サービス・インターフェイス・アプリケーションの分野で識別されている NFC のユースケースをいくつか示します。 これは比較的新しいテクノロジーとアプリケーションなので、将来は別のユースケースも見受けられるようになるものと筆者は予測しています。

  • タップして診断 - エラー・コード、ログ・データ、他の診断データを、NFC 対応スマートフォンやその他の NFC 対応ハンドヘルド・デバイスに伝達できます。  スマートフォンの場合、このデータをクラウドに送信し、さらに分析と蓄積をすることもできます。 TI のリファレンス・デザインを使用して、データの記録と診断レポートのアプリケーション開発を開始してください。
  • タップして構成 - NFC 対応スマートフォンを使用すると、必要に応じて、非常に高速な構成変更を実行できます。  ディスプレイやキーボードを搭載していない機器の場合は、この方法が特に役立ちます。スマートフォンのタッチスクリーンは、両方の目的で使用できるからです。
  • タップしてアクセス - 多くの状況では、技術者によってアクセス権が異なっています。この状況を制御する簡単な方法は、NFC バッジを使用することです。  キーパッドなどユーザーがパスワードを入力する手段がない場合にも、この方法が役立ちます。  また、NFC の非接触式という性質は、汚れやほこりの多い環境で大きな利点になります。接触式または見通し式のテクノロジーを使用する場合は、時間の経過とともに劣化するか、正常な動作を継続するための掃除が必要になるからです。 タップしてアクセスする形式のアプリケーション開発を開始するには、TI のリーダー・モジュール・リファレンス・デザインをご確認ください。
  • タップしてアップデート - ピア・ツー・ピア・モードでは、NFC は最大 35kbps のデータ・スループットを達成できます。  特定の状況では、この速度はファームウェア・アップデート用のデータ送信に適しています。  大きいファームウェア・ファイルを使用するシステムでは、NFC を使用して、Wi-Fi® などスループットがより高い別のテクノロジーへの接続ハンドオーバーを実施することができます。  この場合は、ネットワークへの接続を簡略化できます。  NFC を使用した TI のアクティブおよびパッシブ型ピア・ツー・ピア通信リファレンス・デザインは、タップしてアップデートする形式のサービス・インターフェイス・アプリケーション開発に役立ちます。

デバイスの選択に関して、さまざまなユースケースと要件に対応するために、さまざまなデバイス・クラスを活用することができます。  RF430CL33xH のようなダイナミック・タグは、診断と構成に役立ちます。アクセス制御やファームウェア・アップデートを実施する場合は、追加の動作モードやスループット向上に対応した、TRF79xxA のようなフル機能のトランシーバ・ソリューションが適切です。

NFC の新しいユースケースを見つけるうえで、この記事がお役に立てば幸いです。  それでは次回の投稿で!!  

 

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