図 1: バックアップ電源が 6.5 秒間電力を供給
スマート・メーターには高い信頼性が求められています。 電力の利用者がスマート・メーターに求めているのは、電源喪失時に自分が電力会社に通知しなくても、スマート・メーターが電力会社に正確な電源喪失時間を知らせてくれることです。 こうして、通知が早い段階で行われれば、電力会社は電力復旧のため迅速な対応が可能です。 一方、電力会社がスマート・メーターに求めているのは、スマート・メーターが利用者の電力使用を少しももらさずに把握してくれることです。 正確な電力使用量がわからなければ、電力会社にとって電力使用料金の請求が不可能になります。
こうした信頼性を確保する上で重要な要素となるのが、スマート・メーターに対し常時、要求される機能の実行に必要な電力を供給することです。 どんなメーターにも発生する可能性のある電源喪失に対し適切な処置をとるために、バックアップ電源が必要となります。 バックアップ電源があれば、短いバックアップ時間中に、メーターが利用者の電力使用状況を記録し、警告を電力会社に送ります。 リチウム一次電池のみを電源としているメーターの場合、バックアップ電源はバッテリのバッファとしての役割も果たし、データ送信時にピーク電力を供給します。 バッテリ寿命を延長するエネルギー・バッファリングのための TI Designs リファレンス・デザインでわかるように、単一のスーパーキャパシタ(SuperCap)はバッテリのバッファとしての役割を果たします。
2 個の SuperCap を使用すると、1 個使用時に比べて 2 倍の蓄電が可能になります。 さらに、2 個の SuperCap を直列接続すると、1 個の場合に比べて 2 倍の電圧をサポートできます。 長バッテリ寿命、またはバックアップ時に多くの電力を必要とするシステムは、より高いストレージ電圧またはより多くの蓄電を要求します。 ただし、2 個の SuperCap を直列接続すると、いくつかの課題が発生します。1 つは SuperCap の電圧をいかに平衡化するかで、もう 1 つの課題がより多くの蓄電のためにいかに高電圧で蓄電するかです。
複数の SuperCap を直列接続する場合は、個々のキャパシタの電圧をそれぞれの定格内にとどめる必要があります。 たとえば、2 個の 3V 定格キャパシタを直列接続し、合計 6V で充電する場合は、静電容量、等価直列抵抗(ESR)、リーケージなどのわずかな違いで、1 つのキャパシタの蓄電電圧は 4V、もう 1 つはわずか 2V になるなど、各キャパシタ間に不平衡が発生します。 これが発生すれば、キャパシタの電圧は4V と、3V定格電圧を上回ることになり、信頼性は低下します。 経時的に不平衡を発生させる可能性のあるリーケージ電流のわずかな違いによる問題を解消するために、パッシブ抵抗を使用することができます。一方、大電流充電サイクル中に電圧の平衡を維持するためには、代わりにアクティブ・デバイスを使用する必要があります。
アクティブ・セル・バランシング機能付きのスーパーキャパシタ・バックアップ電源 TI Designs リファレンス・デザイン は、アクティブ・デバイスを使用しています。 図 1 に簡単な設計例を示します。平衡状態を維持しながら、2 個の SuperCap の充放電を行っています。 詳細については、テスト・レポートをご覧ください。
図 2: バックアップ電源システムの簡略化ブロック図
また、この設計例ではメインの入力電源より高い電圧で SuperCap を充電します。 3.3V または 5V の入力電源を想定し、TPS63020 昇降圧コンバータを使用して、SuperCap に印加する電圧を最大 5.5V に昇圧します。 バックアップ電源が必要な場合、この IC は SuperCap の可変電圧を効率的に安定化させ、バックアップ中にシステムに電力を供給します。 図 1 には、相互接続した 2 個の 3F(ファラッド)SuperCap の特性も示されています。昇降圧コンバータは 6.5 秒にわたってシステムに 1.5W の電力を供給しています。
単一の SuperCap 採用をお考えですか。 SuperCap に蓄積されているほぼすべての電力を利用するための簡単な方法を示したリファレンス・デザインが用意されているほか、全部の電力を使い切るための方法も別のブログで紹介されています。
上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。
http://e2e.ti.com/blogs_/b/smartgrid/archive/2016/01/27/easy-supercap-backup-power-for-smart-grid
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