ビル・オートメーションなどの IoT アプリケーションの最新のトレンドの 1 つがスマート機能の向上です。これにともない、接続対象が増加するとともに、システムのプロビジョニングとメンテナンスの複雑性が増していることが、大きな技術的課題となっています。
センサ・ネットワーク導入とメンテナンスを簡素化し、コストを低減することは産業機器市場で重要な要件の一つとなっています。Sub-1GHz コネクティビティ・リンクとして採用すれば、2.4GHz の採用時に比べ、スペクトラムの混雑解消、屋外での伝達距離の延長、屋内での性能向上などが可能になり、システムの全般的性能が大幅に向上します。今日では、システム・レベルのソリューションにより、Sub-1GHz IP ワイヤレス・センサ・ネットワークに容易に採用できるようになっており、ビルディング/ファクトリ/リテール・オートメーションのニーズへの対応のほか、全カバー領域でのスター・ネットワーク・トポロジーの採用も可能になっています。
しかし、大規模なネットワークの導入とメンテナンスにあたっては、ネットワークの各シングル・ノードにアクセスでき、独立した動作が可能であることが必要になります。こうした課題を解決する上で最大の問題の一つが、多くの場合、ネットワークでのデバイスの現場でのコミッショニングや修理の際に必要となる、オペレーターへの情報の伝送/中継と、ディスプレイを行う機能がセンサには欠如していることです。Sub-1GHz 機器/バラストの点検のために複数のビルに定期的に派遣される、照明関連のオペレーターを例に挙げてみると、こうした機器は多くの場合、手の届かない範囲に設置されており、専用ボタンを押してメンテナンス・モードにマニュアルで切り替えることが困難です。
もし、こうしたオペレーターがバックアップ・ディスプレイとしてのタブレットやスマートフォンとの直接リンクにBluetooth® low energy を使えば、バラストが「インテリジェント(例えば、デバイスの近接時のみ)」に送信する情報を入手したり、あるいはノード上で診断機能を起動することも可能になります。
また、プロのホーム・セキュリティ施工業者の場合には、 タブレットとの直接 Bluetooth low energy 接続を利用すれば、Sub-1GHz ドアとウィンドウ・センサのセットを既存のセキュリティ・ネットワークに追加できるようになります。こうした場合、ゲートウェイと同時にネットワーク内での動作が必要な、Sub-1GHz の帯域内コミッショニングを回避できます。ネットワーク・パラメータとセキュリティ・ツール(キーや証明書など)は 2.4GHz 帯上で交換でき、ネイティブ Sub-1GHz帯の使用時に比べ、安全性と信頼性を向上できます。
代替リンクである Bluetooth low energy リンクは、処理能力がより高いバックアップ・チャネルとしても利用できます。ファームウェアのアップグレードの高速化と消費電力の低減が可能になります。ノード上でのファームウェアのアップグレード中の、残りのネットワークへの影響も回避できます。
スマートフォンとのスムーズなデータ交信能力を追加することにより、DYI ユーザー、オペレーター、プロの施工業者などは Sub-1GHz ワイヤレス・コネクテッド・デバイス(家庭用アラーム/セキュリティ・システム、工場内の圧力/流量センサ・ネットワーク、ビルのエレベーターなど)のネットワークを、よりセキュアで容易に構築、据え付け、維持できるようになります。
デュアルバンド Sub-1 GHz  2.4GHz Bluetooth low energy コネクティビティをサポートできる製品は、各技術の利点をそれぞれの分野で活かすことを可能にします。Sub-1 GHz リンクを使用すれば、長距離で干渉に対し高い堅牢性を持つソリューションを実現できる一方、Bluetooth low energy を使用すれば、スマート・デバイス・エコシステムの統合が容易になります。

これにより、他の領域、例えば自動パーキング・メータやロット管理などの分野で多様な産業向け新アプリケーションの実用化への扉が開かれます。自動駐車場では、ある区画に駐車が行われた時に、長距離 Sub-1 GHz 帯によりセンサのデータをセントラル・サーバに伝送する一方で、サーバは同じリンクを使用しセンサの役割を変更し、 Bluetooth low energy 動作に切り替えることができます。これにより、図 1 に示すように、駐車区画番号などの情報をスマートフォンに送ることが可能になり、例えば長期間の旅行の後でも空港で自分の車を見失うようなことがなくなります。また、支払いも容易に自動化でき、スマートフォンに登録されているユーザー・アカウントにチャージできるようになります。

1 Sub-1GHz ネットワークを使って車の位置情報の把握と、スマートフォンでその情報の受け取りが可能に
Sub-1GHz の他の使用例としては、 リテール・オートメーション・ネットワークがあり、画像や価格更新情報を 店内の ESL(電子棚札)タグに送ることが可能になります。こうしたネットワークの管理者は Sub-1 GHz リンクを使用し、効率的にカスタマイズした広告メッセージを消費者に送ったり、タイム・セール情報を Bluetooth low energy 経由で消費者の携帯電話/スマートフォンに直接送ることも可能になります。
TI は新 SimpleLink™ デュアルバンド 『CC 1350ワイヤレス・マイコンMCUにより、業界初のデュアルバンド、マルチプロトコル・システムワイド・ソリューションをシングル・デバイスで提供しています。CC 1350』 デバイスは Sub-1GHz 2.4GHz 帯のいずれでも動作が可能で、フレキシビリティに富む ARM® Cortex-M0 ベース・モデムのおかげで、広範囲な Sub-1GHz 変調スキームと Bluetooth low energy コネクティビティを、同一チップ上で利用できるようになります。低コストの『LaunchPad™』開発キットと組み合わせ、TI はフル・ハードウェア・ベースのリファレンス・デザインを提供しており、開発者はデュアルバンド RF システムの構築の際の技術的課題の解決が可能になります
CC 1350』ワイヤレス・マイコンは、指先サイズの高集積パッケージに封止された他の SimpleLink ファミリのデバイスと同じように超低消費電力を特長としています。
CC 1350』ソリューションを構成しているソフトウェア・フレームワークと各種ドライバはフレキシブルなハードウェア・プラットフォーム機能を最大限活用しており、円滑な動作を可能にします。Sub-1GHz  Bluetooth low energy 無線モデムと広告リンク間のアービトレーションは TI のデュアルバンド RF ドライバによって管理されています。ファームウェアの更新と Bluetooth low energy 広告例は、TI- RTOS のパッケージで提供されており、アプリケーションの開発と差異化を可能にします。
これまで想像もしなかった強力な新しいデュアルバンド・アプリケーションの実用化への挑戦が可能になっています。技術革新には限界はありません。技術革新で重要な役割を果たすのが『CC 1350』ワイヤレス・マイコンなどの強力でフレキシブルなハードウェアとソフトウェア・プラットフォームです。
その他の参考資料:
 
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