静電容量式タッチ・インターフェイスを開発するための主要な課題は、設計上のトレードオフを管理することです。 静電容量式タッチ製品を開発するときは、低消費電力動作、ノイズ耐性、応答時間のような複数の特長の間で適切なバランスを維持する必要があります。 サーモスタットの静電容量式タッチ・ユーザー・インターフェイスに関する TI Designs リファレンス・デザインは、ライン電源とバッテリ動作それぞれのユースケースでこのバランスを最適化する方法を示しています。 これら 2 つのユースケースは一般的に、ビルディング・オートメーションのアプリケーションで見受けられます。

ライン電源で動作するように設計する製品、つまり壁に取りけるコントローラは、電気的ノイズの多い環境で正常な動作を保証するために、ノイズ耐性の高い静電容量式タッチ・ソリューションを使用する必要があります。 残念ながら、この状況では多くの場合、消費電力が増加してしまいます。一方、バッテリ動作を想定した製品、つまりリモート・コントロールは、多くの場合、超低消費電力プロファイルを達成するために、ノイズ耐性機能をある程度犠牲にする必要があります。 どちらの場合も、ソリューションは適切なセンサ測定レートとフィルタリングを使用して、高速な応答時間を達成し、快適なユーザー操作を実現する必要があります。

これらの問題を解決するために、サーモスタットの静電容量式タッチ・ユーザー・インターフェイスに関する TI Designs リファレンス・デザインでは CapTIvate™ テクノロジーを搭載した MSP430™ マイコン(MCU)を採用し、両方のユースケースのニーズを満たしています。 また、FRAM テクノロジーを活用して、アプリケーションの状態を定義する複数の重要な変数を格納しています。 この結果、このデザインは低消費電力プロファイルを維持し、停電が発生した場合も自らのアプリケーション状態をシームレスに保持することができます。

このデザインは、CapTIvate テクノロジー・ソフトウェア・ライブラリに収録されている通信モジュールを活用して、静電容量式タッチ・テクノロジーを LCD ディスプレイに統合するための簡潔なソリューションを提供します。 このリファレンス・デザインにはデモも付属しており、通信モジュールを使用して、CapTIvate テクノロジーを搭載した MSP マイコンを、I2C インターフェイス経由でホスト・プロセッサに接続する方法を示します。 このデモは、CapTIvate テクノロジーを搭載した MSP430FR2633 マイコンと、LCD ドライバを統合した MSP430FR4133 マイコンを採用しており、低消費電力の包括的な FRAM サーモスタット・デザインを製作できます。

 静電容量式タッチの開発に伴う設計上の固有の課題のうち、サーモスタットの静電容量式タッチ・ユーザー・インターフェイスに関する TI Designs リファレンス・デザインで対処した項目の要約です。

  • レイアウト技術、周波数ホッピング、マルチ周波数処理アルゴリズムにより、複数の電磁適合性(EMC)規格を商業製品レベルで満たす
  • 低消費電力プロファイルにより、単四電池使用で 1 年以上の寿命を実現する
  • FRAM を使用して停電時でもアプリケーションの状態を保持する
  • 専用の静電容量式タッチ・コントローラ、ホスト・プロセッサ、I2C シリアル通信インターフェイスを使用して、静電容量式タッチ・インターフェイスを開発する
  • モーメンタリ・スイッチや、状態を維持するオルタネート・スイッチなど、さまざまなスイッチ実装に対応できるソフトウェアを使用するデザインを製作する

サーモスタットの静電容量式タッチ・ユーザー・インターフェイスに関する TI Designs リファレンス・デザインに関連する以下のリンクにアクセスし、詳細をご確認ください。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/msp430blog/archive/2015/12/08/msp430-captivate-technology-thermostat-design

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