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ここ10年の間で、スマートウォッチのようなウェアラブル・テクノロジのメーカーの勢いが増しており、ユーザーは自分の健康状態やフィットネス活動をリアルタイムで見ることが可能になりました。今では、歩数や心拍数、酸素飽和度、運動時間などの豊富な情報を活用し、健康増進の目標に向けての進み具合をさまざまな方法で確認することができます。

スマートウォッチが手放せないものになるにつれて、ユーザーはバッテリの持続時間や機器の大きさを非常に気にするようになっています。そのため、機器メーカーは、消費電力の削減と製品サイズの小型化に絶え間なく取り組んでおり、電源の設計者の頭を悩ませています。今後のウェアラブル設計に電圧スーパーバイザを取り入れると、きっと役に立つはずです。その理由を3つ説明します。

理由1:電圧スーパーバイザは、設計の信頼性の向上に役立つため

図1は、スマートウォッチのシステム・ブロック図です。プロセッサに伴う複数の電圧レールには低電圧監視が必要で、この機能はシステムの安定性に欠かせないものです。

 1:スマートウォッチのブロック図

必要な最小電圧を下回ると、予期せずオンボード・メモリが上書きされたり、システムがフリーズしたり、データが壊れたりといったことにつながります。設計には通常、抵抗コンデンサ(RC)充電回路を実装して、この種のプロセッサの誤動作を防ぎ、リセット信号を遅延させます。

RC回路は、実装が簡単ではあるものの、スルー・レートや低い動作電圧といった入力電圧条件に左右されてリセット遅延が予測できないという制約があります。さらに、RC回路には低電圧監視機能が欠けています。

『TLV841』といった最新の電圧スーパーバイザを使用すると、低電圧状態の監視が可能なだけでなく、正確な遅延時間調整機能によって電圧レールが確実に動作範囲内であることが保証されるため、システムの確実性や信頼性、機能性を向上させる優れたソリューションが得られます。

理由2:電圧スーパーバイザは、設計精度の改善に役立つため

現在のマイクロプロセッサには、非常に精密な電圧監視が必要です。電圧スーパーバイザにより精度のレベルが上がり、一般にDC/DCレギュレータから出力される内蔵POWER GOOD信号の精度の低さから来る問題に対処できるようになります。さらに、静止電流(IQ)消費量の低さもあります。例えば、『TLV841』の静止電流消費量は、わずか125nAです。最新の電圧スーパーバイザの低いIQと0.5%の精度で電源電圧を監視する機能の組み合わせにより、バッテリの寿命を縮めることなく自信を持って精密なシステムを設計できます。

理由3:電圧スーパーバイザは、設計の小型化に役立つため

アナログ時計の直径は、38mmから44mmです。スペースが限られていることと、GPSモジュールや心拍センサ、歩数計、タッチ・センサといった先進機能を支える回路を複数設計する必要があるので、設計サイズが大きくならないようにするのは本当に大変です。特に、サブシステムにそれぞれ独自の電圧レールがあるのでなおさらです。メーカーはしばしば、製品機能の中で妥協点を見つけながら、デバイスのサイズをできるだけ小さく維持しようとします。

最新の電圧リファレンスが、パッケージとダイのサイズが同一であるウェハー・チップ・スケール・パッケージ(WCSP)で供給されています。『TLV841』のフォーム・ファクタは非常に小さく(0.73mm×0.73mm)、共通ピッチが0.4mm、高さは0.4mmです。このサイズの電圧スーパーバイザを設計に取り入れることが、フィットネス・ウォッチの動作信頼性と機能性に不可欠です。

図2で、『TLV841』と一般的な大きさの0603部品(0.1μFのコンデンサなど)のサイズを比較できます。

 2TLV841評価基板

まとめ

スマートウォッチの物理的サイズを限界まで小型化し、バッテリ寿命やシステム性能をできる限り向上させることをユーザーが求めているため、それに対応する設計要件を満たすことが優先的な課題です。最新の電圧スーパーバイザが新しいアプリケーションの可能性を切り開くことで、製品のサイズには影響を与えずに、ウェアラブル・デバイス設計に搭載される機能を増やすと同時に、システムの全体的な安定性と信頼性を高めることができます。

参考情報:
+関連技術記事:
最新の電圧リファレンスで設計サイズを縮小する方法
Using low-Iq voltage supervisors to extend battery life in handheld electronics(英語)”
+ホワイト・ペーパー:
Overcoming Low-IQ Challenges in Low-Power Applications(英語)”

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上記の記事はこちらの技術記事(2021年6月17日)より翻訳転載されました。 
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