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Other Parts Discussed in Post: TPSF12C3-Q1, TPSF12C1-Q1

車載オンボード チャージャやサーバー用電源は、電力密度を主な基準とする非常に制約の強いシステム環境です。開発中のソリューションを、条件の厳しいフォーム ファクタに収めるには、電磁干渉(EMI)フィルタ部品の体積を縮小することが重要です。

このような高密度アプリケーション向けのコモンモードフィルタは多くの場合、タッチ カレント(漏れ電流)の安全性要件に基づき、Y静電容量の合計値に制限を加えています。その結果、目標のコーナー周波数や、フィルタの減衰特性を実現するために、大型の コモンモード チョークが必要になります。最終的にパッシブ フィルタの設計で妥協すると、フィルタ全体のサイズを占めるような重く、かさばる、高額なコモンモード チョークを採用する必要が生じます。

高速な電力半導体デバイスや回路トポロジに比べると、受動部品の進歩は遅れており、電力密度を向上させようとする場合、パッシブ フィルタの体積は制限要因の 1 つになります。図 1 に示すように、実用的なフィルタ実装は、電源ソリューションの体積全体の 30% を占める場合もあります。

13.3kW トーテムポール力率補正 (PFC) のリファレンス デザインで使用している従来型の単相パッシブ EMI フィルタの例


システムのサイズ、重量、コストを削減
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それに対し、アクティブEMIフィルタ (AEF) 回路を採用すると、次世代のパワー マネージメント システムに適した、より小型のフィルタ ソリューションを実現できます。スペース制約が厳しい各種アプリケーションでは、アクティブ電源フィルタ IC を使用して、磁気部品とフィルタ全体のサイズを縮小することができます。AEF のその他の利点として、部品での電力損失の低減とそれに伴う放熱管理の改善と信頼性の向上、限られたスペース内の部品間の結合の低減、機械的設計とパッケージング デザインの簡素化、コスト削減を挙げることができます。

図2と図3は、単相と 三相のフィルタ回路であり、どちらも従来型のパッシブ設計をアクティブ ソリューションで置き換えています。単相向けの TPSF12C1-Q1 と三相向けの TPSF12C3-Q1 という各AEF ICは、2個のコモンモード チョークの間に配置され、コモンモード電流を流す、よりインピーダンスの小さいシャント パスとして機能します。図に示すように、アクティブ ソリューションのコモンモード チョークである LCM1 と LCM2 は、パッシブ フィルタの対応する部品を基準にすると、インダクタンスがかなり小さくなっています。

2:単相パッシブEMIフィルタ (上図) と、それに対応する、インダクタンスの小さいコモンモード チョークを使用したAEF回路 (下図)

3:三相パッシブEMIフィルタ (上図) と、それに対応する、インダクタンスの小さいコモンモード チョークを使用したAEF回路 (下図)

AEF

この回路は Y 定格 (つまり絶縁型) のセンス コンデンサと注入コンデンサをACラインに接続し、フィルタ全体の体積を低減すると同時に、シャーシ グランドに向かって流れるライン周波数のリーケージ電流を小さい値に維持することを意図しています。注入コンデンサの周波数応答を変化させるアクティブ回路を使用し、高周波に対してそのコンデンサの静電容量を実質的に増加させることで、この意図を具体化しています。その結果、EMI低減の対象として関心のある周波数範囲全体にわたって注入コンデンサの静電容量が増えるため、類似の減衰特性を達成するパッシブ フィルタに比べて、このアクティブ回路はコモンモード チョークのインダクタンスを小さくすることができます。

AEF を採用する回路の利点:

  • よりシンプルなフィルタ構造で、広い動作周波数範囲に対応し、大きい安定性マージン (コモンモード アクティブEMIフィルタのクイックスタート カリキュレータ ツールで計算)。
  • コモンモードチョークのサイズが小さく、体積、重量、コストの削減に寄与。また、銅損が大幅に小さくなり、チョークの自己寄生成分も減少するため、高周波の減衰特性が向上。
  • 追加の磁気素子を使用しない。AEF回路が使用するのは、Y定格のセンス コンデンサと注入コンデンサのみであり、障害条件が発生している間のピークの漏れ電流に影響を及さない。
  • シャーシ グランドを電位の基準とする低電圧AEF ICの採用で、安全性が向上。
  • フィルタ部品の近くに柔軟に配置できるスタンドアロンのIC実装。
  • ライン電圧サージへの耐性があるため、IEC (国際電気標準会議) 61000-4-5への適合に役立つ。

図2と図3で2個のコモンモードチョークの間に配置している複数のXコンデンサは、通常、数MHzまでの周波数範囲で、コモンモードの観点から見て低インピーダンスのパスを電力線の間に形成します。これにより、1個の注入コンデンサのみを使用して、通常はニュートラルである1本の電力線に電流を注入できます。ニュートラルのない3線式システムで三相フィルタを使用する場合は、TPSF12C3-Q1のSENSE4ピンをグランドに接続し、Xコンデンサのスターポイント接続を経由して注入コンデンサを結合します。

実用的なAEFの実装

図1に示したコンバータに対応する、実用的なAEFの実装を図4に示します。単相AEF ICであるTPSF12C1-Q1を使用すると、コモンモードノイズを低減できます。

4:10A定格のAEFを搭載した単相フィルタの評価ボード

図5に、AEFを使用しない場合と使用する場合のEMIの結果を示します。

5AEFを使用しない場合と使用する場合のEN 55032 Class B EMIの結果

図5からわかるように、AEFは低周波数範囲 (100kHz ~ 3MHz) で最大30dBのコモンモード ノイズの低減を達成しています。これにより、2個の2mH ナノクリスタル チョークを採用したアクティブ フィルタで、2個の12mHチョークを採用したパッシブ フィルタ設計と同等のコモンモード減衰特性を実現できます。公平な比較を行えるように、これらのチョークは (Würth Elektronik 製の) 同じ部品ファミリで、類似の芯素材を採用しているものを選定しました。表1に、パッシブ設計とアクティブ設計のそれぞれで採用したコモンモード チョークのパラメータを抜粋します。また、図6には体積、実装面積(フットプリント)、重量、コストの削減量を示します。

フィルタ
設計

コモンモード チョークの
型番

数量 LCM1、LCM2 (mH) RDCR (mΩ)

サイズ
L × W × H (mm)

総重量 (g)

10A、25℃ 時の
合計電力損失 (W)

パッシブ 7448051012 2 12 15 23 × 34 × 33 72 6.0
アクティブ 7448031002 2 2 6 17 × 23 × 25 20 2.4

1:パッシブとアクティブの各フィルタ ソリューションに対応するコモンモード チョークのパラメータ

6AEF が有効な場合のフットプリント、体積、重量、コストの削減 (a) と、チョーク サイズの比較 (b)

この例で、AEFを使用すると10Aで合計60%の銅損を 低減できています (温度上昇に伴う巻線抵抗の増加は無視しています)。これは、部品の動作温度が低下し、信頼性が向上することを意味します。

まとめ

高密度スイッチング レギュレータのEMIフィルタ段で小型かつ効率的な設計を実現するのは容易ではありません。ソリューションのサイズとコストを優先事項とする車載や産業用のアプリケーションでは、このことが特に当てはまります。アクティブ フィルタ ソリューションは、実用的な結果としてコモンモード ノイズ指標の測定値を抑制できます。同等の性能を達成するパッシブのみのフィルタ設計と比較すると、コモンモード チョーク部品の体積を大幅に削減することが可能です。

その他リソース:

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