エンタープライズ・サーバ、スイッチ、基地局、ストレージなどのハードウェアの設計者は、マザーボード上での電力密度や効率の向上を常に追求しています。マザーボード上の部品点数の増加やフォームファクタの小型化が進展するにつれ、電源の電力密度向上には制約があり、それが基板面積低減の阻害要因となっています。電源やマザーボードの小型化が進む中で、マザーボードのサイズ低減は 1 つのラックに内蔵できるボード数を増加させ、データセンタのスループットと性能の最大化を可能にします。

 図 1 に示す代表的な通信機器向け電源システムでは、48V DC 入力電圧は中間電圧バス(図 1 の場合 3.3V )への降圧が必要です。さらにその後、1 個ないしはそれ以上の降圧 DC/DC コンバータにより、プロセッサ / ASIC / FPGA コアレール電圧のほか、入出力レール、DDR メモリ、PHY チップなどの低電圧部品向けの降圧に必要な電圧のレギュレーションが行われます。

 図1. 交流(AC)電源通信システム向けの 48V からポイント・オブ・ロード(POL)電圧への降圧回路

TI の窒化ガリウム(GaN) DC/DC ソリューションは中間バス DC/DC 降圧段を不要にし、48V からより低い出力電圧への単一段降圧を可能にします。

中間バス DC/DC コンバータを不要にしたことにより、電力密度の大幅な向上、システム・コストの低減、信頼性の向上が可能になります。

シリコン MOSFET と比較した場合の GaN の利点:

  • 入出力キャパシタンスが低いことから、スイッチング損失の低減とスイッチング周波数の高速化が可能
  • 逆回復電荷がほぼゼロで、ゼロ逆回復損失とクラス D インバータ / アンプ損失低減を実現
  • 低ゲート / ドレイン間キャパシタンスによるスイッチング損失の大幅な低減により、スイッチング周波数の高速化が実現し、ヒートシンクを減らすか不要にすることが可能

図 2 は GaN とシリコン FET の 48V から POL 電圧への降圧効率の比較を示しています。

2. GaN vs. シリコン DC/DC コンバータ:48V から POL 電圧への降圧時の負荷電流に応じた効率の変化

TPS53632G ドライバレス・パルス幅変調(PWM)コントローラと LMG5200 80V GaN ハーフブリッジ電力段(ドライバと GaN FETを 1 つの IC に集積)を使用した TI の新しい 48V – POL GaN 単一段ソリューションは、48V 出力の際に総基板面積を 700mm2 未満に抑えながら、高い電力密度、高速負荷過渡応答、高効率、優れた熱特性、高いシステム信頼性を可能にします。図 3 に示すように、入力電圧が 48V あるいは 60V の場合でも、出力電圧 1V、出力電流 50A、スイッチング周波数 600kHz 時に最大 88 パーセントの効率を実現します。

モジュール効率は最大 91 パーセントで、出力電流 35A 時でも最大 90 パーセントです。さらに、入力電圧を 75V に増加させても、効率が大幅に低下することはありません。

 図3. 48V から POL 電圧に降圧する GaN DC/DC コンバータのリファレンス・デザインと、600KHz 時の負荷電流に応じた効率の変化

エンタープライズ・サーバ、スイッチ、基地局、ストレージなどのエンド・アプリケーションの設計で DC/DC コンバータを使って 48V から POL 電圧へ降圧する際に、これまでのように中間バスを使わずに、TI の GaN DC/DC ソリューションを使用して直接降圧を行えば、設計の大幅な簡素化や、電力密度と信頼性の向上を実現できます。TI の包括的な GaN DC/DC 降圧製品ラインアップの詳細は GaN ソリューション・ポータルサイトをご覧ください。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2016/07/05/enabling-48v-to-pol-single-stage-conversion-with-gan

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