LDO(低ドロップ・アウト)レギュレータは、電源電圧に非常に近い出力電圧でDCリニア電圧レギュレータとして機能できるため、LDOにかかる消費電力を低減させる上で重要な要素となります。この機能は、リニアの電力レギュレータとLDOとの主な違いです。文字通り「低ドロップ・アウト」といった特性はありますが、それ以外にもLDOを実装すると、デザインのサイズと性能面においてもメリットをもたらす特性があります。
LDOをDC/DCレギュレータと比較した場合の大きなメリットは、スイッチング・ノイズがない点です。このメリットは、センサやタイマ、コントローラなどデバイスの精度に影響を及ぼす出力電圧にリップルが生じるようなアプリケーションでは極めて重要です。LDOのもう一つの重要な特長は、静止電流IQです。常に動作していなくてもよいアプリケーションでは、アイドル期間中、消費電力を極力下げるためにIQを低く抑えるべきです。図1は関連するTI Designsのリファレンス・デザイン、産業用アプリケーション向けLDOレギュレータのポストAC/DC整流リップル・クリーナ・リファレンス・デザイン(TID-00896)です。
多くの産業用アプリケーションでは、バッテリ消費を減らすために、動作していない時は、マイコンをスリープモードにします。図1は、LDOでフィルタリングされた絶縁型AC-DC整流信号の概念ブロック図です。青いブロックが、マイコンをスリープモードにして消費電力を減らすために、低いIQのパワー・マネージメント設計が必要なさまざまなアプリケーションを示しています。
図1:TIDA-00896ハイレベルブロック図
図2は、100µAの負荷で15µAと低いIQ を持つTIの『LM2936』を示しています。入力電圧が高くなっても『LM2936』でサポートされた低いIQの直線性を維持している点に注目してください。この特長は、スタンバイ・モードで低いIQを保つ『LM2936』をバッテリ動作システムにおいて最適な選択肢となることを意味します。
図2:『LM2936』のIQ
産業用アプリケーションにおけるLDOのもう一つ重要な特性は、広い入力電圧(VIN)範囲です。『LM2936』は広いVIN範囲を持ち、入力で急峻な過渡電圧の発生するアプリケーションでは欠かせない最大40Vの動作電圧リミットという特長を備えています。
PSRR(電源電圧変動除去比)は、電源で発生する不要ノイズを遮断します。図3は『LM2936』のPSRRが、最大10kHzの全低周波数領域から安定した60dBであることを示しています。この特長は、動作検知器やスマート・メーター、煙検知器などのノイズ耐性の低いアプリケーションで重要です。
図3:『LM2936』のPSRR
ノイズは、医療機器や計測機器などのアプリケーションに使われる他のデバイスでLDOを選択する際の決定的な要素となります。ノイズ耐性の低い最終装置を稼働させる、二つの重要な要素がPSRRと出力電圧ノイズです。『LP38798』は高いPSRRと超低出力電圧ノイズを提供します。表1は『LP38798』のPSRRと出力電圧ノイズ値を示しています。
表1:『LP38798』のPSRRと出力電圧ノイズ
多くのアプリケーションがありますが、特に産業用アプリケーションでは消費電力を最小限に抑えるために、スタンバイ時間を必要とし、システム全体が必ずしもオン状態にする必要のない間は、より少ない消費電力しか使いません。これらのアプリケーションはしばしばバッテリで駆動させることもありますので、電力を蓄えることで効率を高め、さらにバッテリ寿命を延ばします。このため、低い電力定格で最適な性能を求めるシステムを設計する際に、スタンバイ時間を頻繁に要求するデバイスに電力を供給するためにLDOを実装することは、電力使用の節減につながります。このトピックの詳細はブログ記事「LDOが省電力に貢献する方法 」(英語)をご覧ください。また、TIのLDOポートフォリオはこちらからご覧いただけます。
参考情報:
・TIデザインをダウンロード
+産業用アプリケーション用LDO レギュレータ、ポスト AC/DC 整流リップル・
クリーナ、リファレンス・デザイン(TIDA-00896)
+レール・クリーナ、調整可能出力電圧ドロップおよびソフト・スタート機能付き
リファレンス・デザイン (TIDA-00533)
※すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
※上記の記事はこちらのブログ記事(2016年7月19日)より翻訳転載されました。
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