「MOSFET データシートについて」ブログ・シリーズのパート 3 に引き続きアクセスいただき、ありがとうございます。 今回は、MOSFET の電流定格について、またこの値が文字通りの値ではないことについて説明します。 あるいは、RDS(ON) やゲート電荷のようなパラメータを決定するのと同様の方法で測定するわけではなく、計算の結果として値を求め、多数の方法で表現できると言った方が言った方がよいかもしれません。

たとえば、FET の「パッケージ電流定格」は、ほとんどの場合、周囲温度とは無関係に規定されており、シリコン・ダイとプラスチック・パッケージの間にある内部接続の関数で表現されています。 この値を上回っても、ただちに FET が破壊されるわけではありませんが、長時間にわたってこの制限を上回る使用を続けると、デバイスの寿命短縮が始まります。 この制限を上回ることによる障害のメカニズムとして、ワイヤの溶解、モールド素材の熱的劣化、エレクトロマイグレーションのストレスによって引き起こされる問題を挙げることができますが、これらに限定されません。

その結果、メーカー側で「シリコン制限」と考える限界が存在しており、通常はケース温度を 25℃ に維持する形で規定されています。この条件は基本的に、理想的なヒートシンクが使用されていることを想定しており、デバイスが対処することのできる最大電力を計算する際に、接合部からケースまでの熱インピーダンスのみが使用されています(以下の式 1 と式 2 を参照)。 言い換えると、Rθ<cf subscript="true">Case-to-Ambient</cf>(ケースから周辺空気までの熱インピーダンス)は 0 とみなされていますが、これはアプリケーションにとってあまり実用的な条件ではありません。いずれにしても、この電流定格は、RDS(ON) とデバイスの熱インピーダンスの両方を考慮に入れた性能指数と考えることができます。

     (1),                                       

     (2),          

以下の図 1a と図 1b は、CSD18536KCS と CSD18535KCS の各 60V TO-220 MOSFET データシートの先頭付近に掲載されている絶対最大定格表です。 両方のデバイスに 200A のパッケージ制限が課されていますが、CSD18536KCS の方が RDS(ON) と熱インピーダンスが小さいことが原因で、このデバイスではシリコン制限が 349A と、より大きい値になっています。この定格は、同じ大きさの定格電流を 2 つのデバイスに流した場合、このデバイスの方が、CSD18535KCS より低い温度で動作することが予期されるという意味です。 それでもなお、TI は 200A を上回る電流でこれらのデバイスを長時間にわたって動作させることを推奨しません。 FET の分野では、100ms より長い時間にわたる電流パルスがこの「長時間」に該当し、このようなパルスは基本的に DC とみなされます。

図 1a: CSD18535KCS の絶対最大定格表

 

図 1b: CSD18536KCS の絶対最大定格表

一部の QFN データシートには第 3 の連続電流定格も掲載されています。この値は、シリコン制限とほぼ同じ手法で計算されていますが、表より下にある脚注で説明されているように、デバイスで実測した RθJA の関数が使用されています。 代わりに RθJA(標準的な SON5x6 パッケージの場合、代表値は 40℃/W)を使用して最大電力を計算すると、アプリケーション内で QFN が実際に対処できるのはわずか 3W 前後の電力にとどまります。 したがって、この計算は、ヒートシンクや他の冷却メカニズムに一切接触していない QFN デバイスにとって、ある程度実用的と考えられる DC 電流制限を求めることになります。

『MOSFET データシートについて』のパート 4 では、パルス電流定格 IDM に関して同様の分析を行い、この定格を、SOA を含めデータシートに掲載されている他のパラメータに関連付ける方法を示します。 それまでの間、「NexFET™: Lowest Rdson 80 and 100V TO-220 MOSFETs in the World(英語)」のビデオをご覧になり、次期設計で採用できそうな TI の NexFET パワー MOSFET 製品をご検討ください。 FET の熱的制約と電流の詳細については、Manu(マヌ)が執筆した 2 つのブログである『Optimized Thermal Design for Three-Phase Motor Drives in Power Tools(英語)』の Part 1 (英語)と Part 2 (英語)をお読みになることをお勧めします。 

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2015/05/25/understanding-mosfet-data-sheets-part-3

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