交流電流(AC)ライン電圧は、世界中で電圧と周波数が異なります。米国と日本で供給されている電圧は約100Vですが、ヨーロッパと中国では約220Vの電圧が使用されています。また、世界各地の周波数も、約50Hzから60Hzまでとさまざまです。

世界中どこででも動作するデバイスがあれば、とても便利です。このコンセプトは、携帯電話の充電器やノートPCの電源アダプタなど、数多くのデバイスで採用されています。しかし、米国からヨーロッパまで飛行機で移動するときに、大画面のTVを持って行くようなことがあるでしょうか。そのような場合、このコンセプトは妥当とは言えません。消費電力が大きく地域間の移動を必要としない大型デバイスには、その入力電圧範囲向けに設計された電源を使用することで優位性が出せます。

電源を設計する際には、AC入力範囲を含む多数の要因を考慮する必要があります。

  • サイズ
  • コスト
  • 性能
  • 地域の規制表示
  • 電磁干渉(EMI)
  • 力率補正(PFC)

ユニバーサルAC入力範囲(85~265V)で動作するように設計された電源は、特定の範囲(高ラインまたは低ライン)で動作するように設計された電源よりも高価でサイズが大きく、低効率です。また、製品を販売する地域での規制に関する検査に合格するためにもコストがかかります。デバイスがヨーロッパでしか使われないような場合に、追加費用をかけてまで中国でそのデバイスの認定を受ける必要はあるでしょうか。地域によっては、他の地域にはない力率補正などの特別な認定を受けることが求められる場合もあります。米国でしか使われない製品にPFC回路を追加すれば、多額の費用を無駄に消費することになるかもしれません。

電源の構成例として、250Wのホーム・シアター向けオーディオ・アンプについて考えてみましょう。表1に、電源構成のトレードオフの一部を示します。

表1: 250W設計の電源パラメータ

表1は、各構成間の差異も考慮に入れた結果となっています。この中で最も重要な結果は、相対コストです。ユニバーサル・ライン構成では、最大で3倍の価格差が生じる可能性があります。これはコストに限ったことではなく、性能、サイズ、複雑さにも差が生じます。

ユニバーサル入力を使用することが妥当な場合もありますが、多くのケースでは、個別の電源を使用することで大きな利益が得られます。

その他のリソース

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2016/07/28/power-tips-trade-offs-in-designing-a-universal-ac-input-power-supply

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