TIは今年8月、 USB Type-C™ および「ミニドック」と呼ばれるUSB 給電 (PD) ポート・コントローラとして、『TPS 65982』 および『TPS 65986 』を利用するリファレンス・デザインを発表しました。ここでは「ミニドック」について、および通常のドックとの違いや使用方法について紹介します。

従来のドックよりコンパクトさを除き、つまりUSB Type-Cケーブルをノートパソコンからミニドックにつないだ時など、ミニドックもバス・ラインに電源が入ると完全に動作しますが、ミニドックはコンセントにつながれることはありません。この新しい特長は、たいしたことではないように思われるかもしれませんが、ご自分の家庭やオフィスを見渡して、何台のUSBドックやハブを壁のコンセントに接続しているでしょうか。たとえばオフィスでは3台、家では5台あったとしても、バス・ラインで電源供給される8チャンネルのUSBハブだけが電力を1~2個のポートに電力を供給でき、壁のコンセントにプラグを挿す必要はありません。

mini DisplayPort™からHDMIやVGAに変換するビデオ・アダプタなどのドングルをバス給電のアクセサリとしてふだん持ち歩いていないでしょうか。それが、まさにミニドックです。つまり、ミニドックはやや大きめの高性能なドングル、あるいは非常に小さなドッキング・ステーションと考えて下さい。

 ひとつ申し上げておかなければいけないのは、ミニドックには3種類のUSB Type-Cポートがありますが、どれも同じものではありません。それは、意図的にそのように設計されているので、何も問題ありません。TIでは、USB Type-Cコネクタが、携帯機器向けに想定されている電源やデータ、ビデオ・ポートの使われ方が劇的に変える可能性を秘めていることに大いに期待しています。ただ、どの新しいテクノロジーでもそうですが、それに対する理解が深まるまで、ある程度の混乱や不満が生じる可能性があります。USB Type-Cポートがすべて同じに作られていないことは紛れもない事実であり、これを念頭に入れて、設計者としてトレードオフを評価することや、消費者としてあまり大きな期待を抱かない必要があります。ケーブルをランダムにあらゆるポートに差し込むと、非常に残念な結果を招く可能性があります。

この魅力的な新技術と関連するリファレンス・デザインから、最大の利点を得るために設計されたミニドックの機能のテストの理想的な設定方法についてご説明いたします。

1:ミニドックとパーソナル・エレクトロニクス製品との理想的な接続方法

ミニドックが、ラベルの貼られた市販用ケースに収められていることは、多くの意味を持ちます。正面についているポートは、ノートパソコンやUSBサム・ドライブ、携帯ハードディスク、ヘッドフォンとの接続の際の頻繁な抜き挿しに使用されます。背面に隠れたポートは、ミニドックがなくてもHDMIやmini DisplayPortをモニターに接続したり、USB Type-Cや充電するためのバレル型ジャックの電源につなげたりできます。

図2は、プリント回路基板(PCB)上の物理的な位置を元に配置し直して機能ブロックに沿った、ミニドックのブロック図です。ノートパソコンとビデオやUSB 2.0/3.1のデータをやり取りするためにミニドックに正しくつなげる方法(接続しない方法も)を知ることが簡単です。ミニドックを正面右のUSB Type-Cポートにつなぎます。ノートパソコンを充電するために、充電器を背面のUSB Type-Cポートにプラグを差し込んでください。フラッシュドライブやモバイルHDD(ハード・ディスク・ドライブ)などのUFPデバイスだけが正面中央のUSB Type-Cポートにプラグインできます。

2: ICの物理的な位置に基づいてミニドックを再配置したブロック図

このリファレンス・デザインは、USB Type-CおよびUSB PD標準規格から得られる機能を利用しますがUSB Type-Cが極めて多様で、ミニドックと同様の製品を設計する方法のバリエーションの多さには限りがありません。これらの設計のアイデアは、今後のブログ記事でご紹介していきたいと思います。

追加情報:TI USB Type-Cドック・リファレンス・デザイン

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2016年10月7日)より翻訳転載されました。

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