このシリーズの第1部では、外部バイアスの必要性と、どのような条件下で外部バイアスを検討する必要があるのかを説明しました。今回は、外部バイアスを任意のコントローラに印加できるのかどうかを見ていきます。

経験則から、制御電界効果トランジスタ(FET)(ハイサイドFETとも呼ばれます)に対する電流制限のあるコントローラには、外部バイアスを印加できません。つまり、問題は電流制限の実装方法です。

では、2つの例を見ていきましょう。1つ目のデバイスは、エミュレーテッド・ピーク電流モード降圧コントローラのLM 3495です。一見すると、VINピンへの外部バイアスの印加は可能なように思えます。

しかし、データシートを読み進めると、「ハイサイドの電流制限」というセクションがあります。コンパレータは、オン時のハイサイドFETにかかる電圧を監視します。オン時のハイサイドFETのドレイン-ソース間電圧が500mVを超えると、LM 3495は即座にヒカップ・モードに移行します。ハイサイドFETがオンになった後には200nsのブランキング期間があり、スイッチングの過渡電圧によって不必要なハイサイド電流制限が作動しないようになっています。

では、このハイサイドFETにかかる電圧の実際の監視方法を見ていきましょう。コンパレータには2つの入力があります。1つ目の入力はSWピン、2つ目の入力はVINピンです。ハイサイドFETのドレインとVINピンが常に同じ電位になることを前提としています。

この構成ではピンを節約できますが、外部バイアスによる問題が生じます。仮に、外部バイアスとして5VをVINピンに印加するとします。入力電圧は3.3Vで、ハイサイドFETのドレインに印加されます。この結果、500mVを監視しているコンパレータの端子間に1.7Vの電圧差が生じることになるため、コントローラはヒカップ・モードに移行します。

次のデバイス例は、LM 27403です。データシートに目を通しても、ハイサイドFETに対する電流センシングの記載はありません。従って、このデバイスは低VINアプリケーションでVDDピンに外部バイアスを供給するために使用できます。

なぜ外部バイアスをVDDピンに印加すればよいとわかるのでしょうか。では、図1に示したデバイスのブロック図を見てみましょう。ローサイドFET駆動回路用として示されている電源電圧に注目してください。この場合、電源電圧はVDDです。図2のアプリケーション回路に目を向けると、CBOOTがダイオードを介して接続されている場所がわかります。LM 27403の場合、これもVDDです。このため、外部バイアスの印加に使用するピンとしてVDDが適切であると判断できます。

 図1:VDDを示すブロック図

図2:VDDを示すアプリケーション回路

次の疑問は、VDDピンに印加しても問題ない電圧値を見極める方法です。このためには、VDDピンの絶対最大定格を参照し、印加する外部バイアスがこの定格を超えないことを確認する必要があります。LM2403のデータシートを見ると、VDDの絶対最大定格は6Vであり、推奨される動作電圧の最大値は5.5Vです。

5Vは基板上によくあるレールであり、適切なバイアス電圧として利用できます。バイアス電圧は、VDDピンの絶対最大定格を超えることがないように、レギュレートされた電圧でなければなりません。

このシリーズの第3部では、5Vレールが使用できない場合に、外部バイアスを供給する必要のある電源自体から、チャージポンプ方式を使用して独自の外部バイアス電圧を生成する方法について見ていきます。

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2017/12/22/when-and-how-to-supply-an-external-bias-for-buck-controllers-part-2

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