このシリーズの第1部では、外部バイアスの必要性と、どのような条件下で外部バイアスを検討する必要があるのかを説明しました。第2部では、外部バイアスを任意のコントローラに印加できるのかどうかを説明しました。最終回となるこの第3部では、任意のコントローラ用に外部バイアスを生成するために使用できる回路を検討します。このような回路は、外部バイアスの供給元として5Vバイアス・レールが使用できない場合に役立つことがあります。
図1では、網掛け部分がバイアス用の外部回路です。Ricは集積回路(IC)に流れる電流を表しています。
電流値は動作周波数や選択した電界効果トランジスタ(FET)などに応じて異なるため、外部バイアス回路でこの電流を供給できることを確認する必要があります。
Iic = (Qg(Q1) + Qg(Q2))*1e-09*Fsw*1e03 (1)
では、数値をいくつか代入し、2つの異なる周波数で動作する、TI CSD 87381P NexFET™パワー・ブロックを使用したデバイスを例に取って考えてみましょう。シミュレーション条件を以下に示します。
- Qg(Q1) = 3.9nC
- Qg(Q2) = 6.2nC
- Iic = 12mA(1,200kHz時)
- Iic = 5mA(500kHz時)
Iicの計算が済んだら、Vext_bias/Iicによってシミュレーション用のRicを計算できます。
算出したRicでシミュレーションを実行し、Vext_biasがVDDピン、つまり外部バイアスを印加する必要があるICのピンの絶対最大定格を超えないことを確認します。場合によっては、ツェナー・ダイオードや追加の負荷抵抗が必要になります。
図2および図3は回路の波形を示しています。これらの波形から、外部バイアス用に5V付近の電圧が生成されていることがわかります。このシリーズの第1部で紹介した効率曲線に示されていたように、この手法は効率を改善するためにも、回路でより大きな電流をサポートできるようにするためにも役立ちます。
図2:Fsw = 1,200kHz、Iic = 12mAでの波形
図3:Fsw = 500kHz、Iic = 5mAでの波形
可能なチャージポンプ方式として、さまざまなバリエーションを備えた方式が数多くありますが、ここで紹介した方法は外部バイアスを実装するための単純なものです。注意すべき点は、3.3Vレールの変動です。3.3Vレールの許容誤差が大きい場合は、入力電圧レールでのオーバーシュートの発生時にVDDピンに印加される電圧をクランプできるように、ツェナー・ダイオードを配置することをお勧めします。
このブログ・シリーズを最後までお読みいただき、ありがとうございました。降圧コントローラ用に外部バイアスを供給すべき状況と供給方法は、十分にご理解いただけたでしょうか。不明な点がございましたら、お気軽にコメントをご投稿ください。
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