絶縁型RS-485トランシーバ設計におけるオプトカプラの懸念点


オプトカプラは、LEDとフォトトランジスタを使用することで、電流を通さずに信号通信を行い、ガルバニック絶縁を実現できる低コストのソリューションとして40年以上にわたり利用されてきました。しかし、デジタル・アイソレーション・テクノロジーの進歩を考えると、RS-485システムでガルバニック絶縁を実現するうえでオプトカプラは本当に費用対効果の高い方法でしょうか?

図1は、オプトカプラを使用してガルバニック絶縁を実現するRS-485トランシーバの標準的な回路図です。このソリューションでは、2個の高速オプトカプラ(信号の送信用と受信用に各1個)と1個の方向制御用低速オプトカプラ、全部で3個のオプトカプラが必要です。このソリューションでは、シュミット・バッファ、シュミット・トリガ、抵抗器、バイパス・コンデンサなど、かなり多くの外付け部品も必要になります。これら部品はすべて、コストと基板面積の両方で増加要因となる可能性があります。

  1:オプトカプラを使用した絶縁型RS-485設計

ソリューション全体のサイズがより小型になり、機能が強化されるなかで、近年ではさまざまな産業用市場で、多くのシステム設計者が基板面積の制約という課題に直面しています。その一例が、建物内の温度や空気の流れを調整するHVAC(暖房、換気、空調)システムです。エネルギー効率のよいスマート・ビルディングの人気の高まりを受け、新しいHVAC制御基板では、先進的モニタリング機能を備え、スマート・サーモスタット・システムと接続できるようにしながら、ソリューション全体のサイズは増やさないようにする必要があります。

 
絶縁型RS-485設計を最適化

RS-485設計のオプトカプラを置き換える方法について:

アプリケーション・ノート「最小のソリューションと最高の信頼性でRS-485を絶縁する」(英語)

RS-485は、長距離にわたる信頼性が高いことから、このようなシステムでよく使われる通信インターフェイスです。グランド電位が異なる場所にRS-485ノードを配置すると、同相モード・ノイズにより通信エラーが生じるため、これらのグランド電位差を防止するために絶縁が必要となります。RS-485を絶縁するために大きくてかさばるオプトカプラ・ソリューションを使用する場合、設計者はシステムの他の部分で妥協を強いられるかもしれません。そのため、より小型の絶縁型インターフェイス・ソリューションが求められます。

多くの設計者が、ソリューションのサイズが大きいことに加えて、オプトカプラにまつわる次のような性能上の懸念も抱えることになります。

  • 信頼性:オプトカプラは通常、誘電体としてエポキシを使用するが、図2に示すようにエポキシは、他の一般的な誘電体に比べ、低い電圧で絶縁破壊が起こるため、組み立ての不均等やLEDの劣化によっても、絶縁の信頼性と寿命の面でデバイスごとのばらつきが生じる

 2:一般的な絶縁材料の絶縁耐力

  • 消費電力:オプトカプラごとに、内部入力ダイのLEDを駆動する5~10mAの電流が必要
  • 温度範囲:ほとんどの場合、オプトカプラの最大周囲温度は85℃に制限されるが、まれな例外として、高品質向けに105℃まで対応できるものがある
  • スイッチング仕様:オプトカプラの立ち上がり/立ち下がり時間と伝搬遅延は、バイアス電流、電流伝達比、デバイスごとのばらつきにより異なる
  • ノイズ耐性:オプトカプラの一般的な同相モード過渡耐性の範囲は15kV/µs~25kV/µsですが、このレベルを超える過渡電圧があると、データ破壊の可能性がある

性能を損なわないコンパクトなソリューションのニーズの高まりにこたえて、TIでは絶縁型RS-485トランシーバ『ISO1500』を開発しました。図3では、図1のオプトカプラ・ソリューション、業界標準16ピンSOIC(スモール・アウトラインIC)の絶縁型RS-485トランシーバ、および『ISO1500』のソリューション・サイズを比較しています。これらの設計は、RS-485トランシーバの信号絶縁のみを示していることに注意してください。アプリケーション・ノート「RS-485システムの信号および電力の絶縁方法」(英語)では、RS-485システムの電力絶縁の概要をつかむことができます。

 3:ソリューション・サイズの比較 オプトカプラ・ソリューション(a)、業界標準16ピンSOIC絶縁型RS-485トランシーバ(b)、TI        ISO1500c

『ISO1500』では、ディスクリート・オプトカプラによるソリューションに比べて85%、業界標準16ピンSOICパッケージに比べて50%、基板面積が小さくなります。『ISO1500』を使用すると、ソリューション・サイズが最小限になることに加えて、上述の性能上の懸念の多くが解消します。TIの絶縁型RS-485トランシーバはすべて、誘電体として二酸化ケイ素(SiO2)を使用する半導体製造プロセスで製造されます。デバイスごとのばらつきが少なく、信頼性の高い高電圧性能を提供します。『ISO1500』は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)ベースの入力を駆動するため、消費電流は10µA未満であり、利用可能な温度範囲は-40℃~125℃です。予測可能なスイッチング仕様を備え、従来のオプトカプラと比べて非常に高いノイズ耐性を誇ります。『ISO1500』を使用することでこのようなシステム・レベルの利点が得られるだけでなく、基板面積も削減できることを考えると、オプトカプラのコストが、そのデバイスだけに支払う金額に比べてかなり高くつくことが明白になるでしょう。

参考情報

+ホワイト・ペーパー:"Enabling high voltage signal isolation quality and reliability"

+トレーニング・ビデオ:"How High-Voltage Isolation Technology Works"

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※上記の記事はこちらのBlog記事(2019年1月28日)より翻訳転載されました。
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