このシリーズのPart 2では、サンプルSの変換結果を、変換完了後でかつ次の変換の開始前にホスト・コントローラに伝送するシリアル・インターフェイスについて解説しました。また、このタイプのインターフェイスでは、低速クロックを使用した場合、アナログ/デジタル・コンバータ(ADC)のスループットと応答時間が遅くなることも指摘しました。
インターフェイス・タイプ3:ADCが次のサンプル変換を行う時にデータ・ビットを伝送
このタイプのADCでは、サンプルSの変換結果は、ADCがサンプルS+1の変換を行っている時にホスト・コントローラに伝送されます。
図1はこのタイプのシリアル・インターフェイスを示します。(**クリックすると画像が拡大表示されます。)
- tDTX = tCONV = n*tCLK
- tTHROUGHPUT = tCONV + tACQ(n*tCLK < tCONV 、つまり高速クロックの場合)
- tTHROUGHPUT = n* tCLK + tACQ(n*tCLK < tACQ 、つまり低速クロックの場合)
式から明らかなように、タイプ3のインターフェイスを採用する逐次比較型(SAR)ADCはいずれも、所望のスループットの達成には最小クロック速度の制約が伴います。
- tCLK < tCONV/n
例えば、変換時間が710nsの18ビット1Msps ADCを想定した場合、
- tTHROUHGPUT = 1µs、tCONV = 710ns、n =18
- 1Mspsのスループットを達成するにはtCLK < 710/18、fCLK > 25.4MHz
同じ1Mspsのスループットを実現するには、タイプ2のインターフェイスでは62MHzより高速のfCLKが必要でした。タイプ3のインターフェイスは、その半分未満のクロック速度で同じスループット要件を満たします。
ある点を見落とさない限りは、タイプ3のインターフェイスの方が使いやすいことが明らかです。
応答時間についてはどうでしょうか?図表からは次の点も明らかです:
- tRESP-ADC = tCONV + tACQ + n* tCLK
- tRESP-ADC > tTHROUGHPUT
表1はタイプ2とタイプ3のインターフェイスのスループットと応答時間を比較したものです。
表1:タイプ2とタイプ3のシリアル・インターフェイスのスループットと応答時間の比較(**クリックすると画像が拡大表示されます。)
図2:異なるクロック速度でのタイプ2とタイプ3のシリアル・インターフェイスのスループットと応答時間の比較
この例が示すように、同じクロック速度では、応答時間はタイプ2のインターフェイスの方が優れており、スループットはタイプ3のインターフェイスの方が優れています。
次回は用途ごとに最適なインターフェイスについて解説します。
その他のリソース:
- SAR ADC Response Timesシリーズの他のブログ(英語)
- アナログ/デジタル・コンバータ(ADC)の分解能と精度の違いについては、TIのVinay Argawalが執筆したブログ(英語)をご参照ください。
- さまざまな産業用データ・アクイジション・アプリケーションに最適な、SAR ADCを使用した5つの TI Designsリファレンス・デザイン
上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。
*ご質問は E2E 日本語コミュニティにお願い致します。