自動外観検査を容易にするウェッタブル・フランク・パッケージ


車載アプリケーションの設計は、複数の機能分野を含む非常に複雑な作業であり、相反する要件の優先順位があると、意志決定プロセスが困難になることがあります。その一つがパッケージ型式であり、製品設計のいくつかの側面で多大な影響を与えます。デバイスの電気的特性と放熱特性を確保するほかに、生産性、品質管理や信頼性にも熟慮が必要です。電源管理ICの選択では、リード付きスモール・アウトライン・トランジスタ(SOT)パッケージか、リードなしのクワド・フラット・ノーリード(QFN)パッケージを選ぶ必要が出てくるでしょう。図1 に、各パッケージ型式の例を示します。

 図1. SOT(左)とQFN(右)のパッケージ例

SOTパッケージは、リードがモールド材料の側面から突き出ていることから、簡素で使いやすく、製造工程での検査も容易です。しかし、長いリードによってリード・インダクタンスが増加し電気的特性が悪化するほか、放熱パッドが無いことで放熱特性の悪化、ソリューション・サイズの大型化などの欠点が生じます。

QFNパッケージは、より小型のサイズ、リード・インダクタンスの削減、放熱特性の向上などの利点を提供します。電的特性と放熱特性はリード付きパッケージよりも良好であり、これらの面では、QFNパッケージが最良の選択肢です。

QFNパッケージの問題の一つに、製造工程におけるハンダ接合部の検査があります。デバイスのハンダ接合が不十分な場合、基板レベルの信頼性が低下します。デバイスとプリント基板の間の機械的な接合が弱い場合、基板が急激な温度変化にさらされたり、機械的なストレスがかかったりした場合、接合が外れることがあります。この信頼性のリスクを回避し、ハンダ接合の品質を制御するために、検査工程を増設する必要があります。

SOTパッケージでは、リードとハンダ接合部分を明瞭に視認できることから、自動外観検査(AOI)システムでの検査が容易です。QFNパッケージでは、リードがパッケージ・モールド材料の下面に配置されていることから、AOIシステムの設定が困難になります。QFNパッケージでAOIを可能にするためには、ハンダ接合の後に、サイド・フィレット(側面のハンダの盛り上がり)を作る必要があります。そうでなければAOIシステムはパッケージが正常にハンダ接合されたかどうかを判定できません。製造環境内で、ハンダ接合検査を高い信頼性で確実に実行するのは困難であり、より高価なX線検査工程が必要になり、製造期間やコストの増加を招きます。

図2に、QFNパッケージのハンダ濡れの実例を示します。これらのような限られた側面のハンダ濡れの様子から、AOIシステムでハンダ接合の良否の判定を行うのは困難です。

 図2: QFNパッケージのハンダ接合の例。左:側面のハンダ濡れが不足で、1本のリードでハンダ接合の不良が発生。中央:側面のハンダ濡れが不足だが、ハンダ接合は良好。右:側面のハンダ濡れは完全で、ハンダ接合は良好。

QFNパッケージの側面にウェッタブル・フランクを追加することで、ハンダ接合の後のAOIによる検査が容易になります。ウェッタブル・フランクは、QFNパッケージの銅リードフレームの側面を角形にカットし、再メッキ工程で錫(Sn)メッキすることで作成します。図3に示すように、この工程により��より高い信頼性でサイド・フィレットが形成され、AOIシステムが視認しやすく、より容易にハンダ接合の良否を判定できるようになります。

 図3: ウェッタブル・フランクQFNパッケージの側面(a) と底面(b) の様子と、ハンダ接合後の側面(c) と上面(d) の様子。

TIでは、AEC(Automotive Electronics Council)の Q100規格の認定取得済の幅広い降圧型DC/DCコンバータ製品をウェッタブル・フランクQFNパッケージで供給中であり、お客様の車載製品の設計に、優れた電気的特性と放熱特性を提供するQFNパッケージの利点をご活用いただけます。図4に、TIのウェブサイトに掲載されたデバイスを、パラメトリック検索で探し、Featuresタブでウェッタブル・フランク・パッケージの製品を選択する様子を示します。

4: TI.comのページで、DC/DC降圧型コンバータ製品からウェッタブル・フランク付き製品を検索

例として、3mm×3mmのウェッタブル・フランクQFNパッケージで供給されるTI初の6V降圧型コンバータである『TPS 62097-Q1』があります。製品ポートフォリオの拡大により、お客様の製品設計にQFNパッケージのICを搭載しやすくなると同時に、今後も、より多くのウェッタブル・フランク付きの車載アプリケーション向け製品の発表が予定されています。

参考情報

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/behind_the_wheel/archive/2018/01/23/make-automatic-optical-inspection-easy-thanks-to-packages-with-wettable-flanks

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