DC/DCコンバータのパッケージおよびピン配置設計により車載EMI性能を強化する方法


DC/DC降圧コンバータや昇圧コンバータの電磁干渉(EMI)の削減を図る上で、プリント基板(PCB)のレイアウトが鍵となることはよく知られていますが、非常に低いEMIが求められる車載用ゲートウェイ・モジュールレーダ・センシング・システムなどの車載用アプリケーションでは特に重要です。

図1の回路図は、同期整流降圧コンバータ回路の2つの重要なループを示しています。レイアウトの電源ループ領域の大きさは寄生インダクタンスとそれに関連する磁界の伝播に比例するため、最小限に抑えることが必須となります。

 図1:同期整流降圧コンバータの簡易回路図と、EMIに関連する重要なループおよびパターン

同じく重要なのは、図1に示すブート・コンデンサのループです。オプションの直列昇圧抵抗RBOOTがハイサイドMOSFETのターンオン速度を制御しています。昇圧抵抗によってゲート駆動電流プロファイルの速度が遅くなるため、MOSFETのターンオン時のSW電圧および電流スルー・レートが低下します。もう1つのオプションは、SW-GND間のRCスナバです。当然、スナバとゲート抵抗は消費電力が増加する原因となり、EMIと効率のトレードオフ関係につながります。効率と熱特性も重視するのであれば、EMIを低減するための技術が他にも必要になります。

DC/DCコンバータのパッケージとピン配置

図2は、ボディ・エレクトロニクスADAS(先進運転支援システム)などの高性能車載用アプリケーションで動作するときの、ピン配置とパッケージの両方がEMI性能に対して最適化された60V同期整流降圧コンバータです。この回路図では、高電流パターン(VIN、PGND、SWの各接続)、ノイズの影響を受けやすい回路(FB)、高dv/dt回路ノード(SW、BOOT)を強調して示しています。

 図2:EMI最適化済みのパッケージとピン配置を使用したDC/DCコンバータ(2段EMI入力フィルタを含む)

1. ピン配置
図2のコンバータICには、VINとPGNDが対称かつバランスの取れたピン配置になっているという利点があります。2つの入力ループを並列に使用しているため、実質的には寄生ループ・インダクタンスが半分になります。これらのループには、図3のPCBレイアウト図ではIN1およびIN2という名前が付けられています。小型の0402または0603ケース・サイズの2つのコンデンサCIN1およびCIN3は、構成する入力ループ領域を最小限にするため、できるだけICの近くに配置されます。循環電流によって反対方向の磁気モーメントが発生すると、それによって磁界がキャンセルされ、実効インダクタンスが低下します。寄生インダクタンスをさらに低減させるため、PCBの第2層(最上層の電源回路のすぐ下)のIN1およびIN2ループの下にあるリターン電流用の連続したグランド・プレーンで、磁界の自己キャンセル効果をサポートします。

 図3:PCBの最上層でのみ配線された電力段のレイアウト

2つのセラミック出力コンデンサCO1とCO2をインダクタの両側に1つずつ使用することでも、出力電流ループを最適化できます。出力からのグランド・リターン・パスを並列に2つ設けることで、リターン電流が2つに分かれるため、出力ノイズとグランド・バウンス効果の低減に役立ちます。

ICの両側にある隣接したVINおよびPGNDピンによって放射電界がシールドされるように、SWピンはICの中心に配置されます。ICのSWピンとインダクタ端子を接続している多角形パターンは、GNDプレーン銅領域によってシールドされます。SWとBOOTのレイアウトが単層であるため、PCBの下面側には高dv/dtのビアが存在しないことになります。これにより、EMIテスト時にリファレンス・グランド・プレーンへの電界結合が発生するのを防止できます。

2. パッケージ
DC/DCコンバータのICパッケージ設計は、ピン配置の最適化とともに、EMIシグネチャを改善するうえでの重要な要素です。例として、TIのHotRod™パッケージ技術では、フリップ・チップ・オン・リードフレーム(FCOL)手法を使用することで、他の方法では高いパッケージ寄生インダクタンスにつながる電力デバイスのワイヤ・ボンドが不要になっています。ICは裏返され、IC上の銅ポストがリードフレームに直接半田付けされています。この工法では、各ピンがリードフレームに直接接続されるので、小型のソリューション・サイズと低プロファイルを実現できます。EMIの観点から最も意味があるのは、HotRodパッケージを使用すると、従来型のワイヤ・ボンド・パッケージに比べてパッケージ寄生インダクタンスが低下し、スイッチング遷移時のノイズやリンギングがかなり減少することです。

 図4:ワイヤ・ボンドQFN(a)およびHotRod FCOL(b)パッケージの構造の比較

図5は、図3の回路で150kHz~108MHzの範囲内で測定された伝導エミッションを示しています。CMチョーク、スナバ、金属ケースのシールドがなかったとしても、その結果は車載機器のEN 55025クラス5要件に準拠します。

 図5:EN550525クラス5の制限要件を満たす伝導エミッション結果:150kHz~30MHz(LW、MW、SW、CB帯域(a)を含む)、30MHz~108MHz(VHF、TV、FM帯域(b)を含む)

まとめ

新世代の電力コンバータは、パッケージとピン配置設計の面で性能が顕著に向上しています。コンバータのパッケージ・タイプは、とりわけ寄生インダクタンスを低減させてSW電圧のリンギングを最小限に抑えるため、EMIの低減において重要な選択条件です。さらに、よく考えてピン配置を設計することで、入力コンデンサが最適な形で配置された良いPCBレイアウトになります。最終的には、必要なEMIフィルタの占有面積が小さくなり、全体的なコストも削減できます。これらは、車載用のADASやボディ・エレクトロニクス・アプリケーションで重要となる要素です。

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上記の記事は下記URLより翻訳転載されました。

http://e2e.ti.com/blogs_/b/behind_the_wheel/archive/2018/09/04/how-a-dc-dc-converter-package-and-pinout-design-can-enhance-automotive-emi-performance

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