ビルディング・オートメーションのためのワイヤレス・センサ・ネットワークのトレンドを取り上げたこのブログ・シリーズの2回目では、安全性とセキュリティについて説明し、ビルディング・オートメーション・システムへのセンサの積極的導入を牽引する主な 4 つのキー・トレンドを紹介しました。
- 電力効率
- 安全とセキュリティ
- ユーザーの快適性
- 予防的メンテナンス
今回の3回目では、ユーザーの快適性について解説します。ビルディング・オートメーションが導入されると、快適な環境が生まれると同時に、各種のセンサ・ノードとの相互作用を通じ、シームレスでモダンなユーザー体験が実現します。
このシリーズの最初のブログではスタンドアローンの環境センサを取り上げました。センサで複数の部屋または室内の複数ゾーンの温度/湿度をモニタすれば、スマートな空調(HVAC)制御が可能になります。初回のブログではまた、部屋の最大収容人員ではなく、部屋に実際に何人いるかを基準としたデマンド制御方式の換気(DCV)システムを例に取り上げ、HVACシステムの効率向上法について紹介しました。3Dタイム・オブ・フライト(ToF)を使用したDCVシステムの例を図1に示します。2回目のブログでは、室内の空気の質をベースとして、HVAC システムによる室内への新鮮な空気の供給を可能にする、ガスと微粒子の検出について手短に解説しました。お分かりのように、トレンドとして、センサ・ノードでは相互作用が強化されつつあります。快適な環境を実現するためのスマート制御は、建物の電力効率を改善し、クリーンで心地よい環境をつくり出します。シリーズの最初のブログに掲載したインフォグラフィックにあるとおり、職場環境の最適化は従業員の生産性の3%向上に貢献できます。
図1:3D ToFカメラ・ベースのDCVシステム
ユーザーの快適性の別の側面となるのは、センサ・ノードとの相互作用時でのユーザー体験です。
スマートフォンやその他のモバイル機器は、Bluetooth®、Wi-Fi®、またはクラウド接続センサ・ゲートウェイのいずれかを通じ無線接続されたセンサ・ノード上で、マルチレイヤ・グラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)を可能にしてきました。マルチレイヤGUIにより、物理的なボタンも、ユーザーのインタラクションも必要としないセンサ・ノードを構成できますが、エンドユーザーに対し、自分がリモート入力した指示を機器が受け取り、必要な命令を実行したことをどうやってわからせるかが課題となります。
今日の自動車を一例として取り上げてみます。ドライバーがキー・フォブを使用して車両をロックしたとします。車両はコマンドを実行し、それを知らせるためにヘッドライトを点滅させ、可聴域のサウンド信号を返します。ドライバーは自分のメッセージが届き、車両がロックされたことを、2つの手段によって確認できます。
こうしたコンセプトは、電子ロック、煙探知器、ゲートウェイ管理などの新しいビルディングやホーム・オートメーション・アプリケーションにも応用できます。それにLED 機能を追加し、クイック・フラッシュ、常時点灯インジケータまたは最終機器のニーズをベースとしたパターンにより、エンドユーザーに知らせることも可能になります。図2はLEDベースのパターンの例です。『システムOK』、『システム接続済み』、『システム・アラーム発生』、『電池容量低下』などのシステム状態の表示のために、複数の色(たとえば、赤、緑、青(RGB)のLEDなど)を追加することもできます。
図2:パターン・ベースの LED 機能
この例では、ユーザーはメイン・ユーザー・インターフェイスを離れた場所に置いていても、LEDまたはオーディオ信号によりシステムの状態を目または耳で確認できます。しかし、ローカル・ユーザー・インターフェイスを必要とするケースも多く存在します。
従来からの機械式ボタンは、親しみやすいルック&フィールを提供する低コストで便利な選択肢となります。ボタンの故障などのトラブルやカスタム化の面での障害など、機械式ボタンはいくつかの課題を抱えていますが、それを解決するオプションもあります。容量性タッチ・ボタン(図3)やタッチ・オン・メタル・ボタンなら、ボタン間のギャップがなく、表面をクリーンに保つのが容易なほか、ボタンのレイアウトのカスタム化、環境の影響を受けにくい堅牢なデザインなどを実現できます。触感フィードバックや、システムまたはボタンの機能タイプに応じたピエゾないしハプティック・ドライバで波形をカスタム化するなど、設計に柔軟性を持たせることもできます。ボタンの配置に始まり、ボタンを押したときのフィードバック、ボタンが戻るときのフィードバックに至るまで、フルカスタマイズ可能なユーザー・インターフェイス・ソリューションを設計することも不可能ではありません。
図3:CapTIvate™ タッチ技術レイアウトを採用した 8ボタン・カスタムMSP430™ MCU
このブログ・シリーズの最終回では、4番目のキー・トレンドである、ビルディング・オートメーション・システムへのセンサの追加と、予防的ないし予見的メンテナンスを取り上げます。コネクテッド・センサ技術を採用した回路設計を迅速に開始するために、以下のビルディング・オートメーション・リファレンス・デザインやその他の設計リソースをぜひご活用ください。
追加リソース
- ワイヤレス・センサ・ネットワーク向けの TI Designs リファレンス・デザインを見る:
- 誘導型キーパッド:16-Button Inductive Keypad Reference Design Using the LDC1314 Inductance-to-Digital Converter (TIDA-00509) 。
- 容量型タッチ・キーパッド:Capacitive Touch Thermostat UI with MSP MCUs Featuring CapTIvate Technology Reference Design (TIDM-CAPTIVATE-THERMOSTAT-UI)。
- Pradhyum Ramkumarのブログ「Captivate touch in industrial HMI」
- Rodney Mirandaのブログ「Solving the problems of mechanical buttons and capacitive touch sensors」
- Luke LaPointeのブログ「Inductive sensing: rethink the button
上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。
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