クラウド・サーバーを絶縁する理由


現在のビット/バイトの時代には、情報伝送と取得は至る所で発生します。これをユビキタスと呼びます。食料品店のレジの列や、列車を待つ列など、どこでもスマートフォンを使ってソーシャル・メディアのアカウント、テキスト・メッセージやemailをチェックできます。しかし、この情報がどこから来たか、考えたことはありますか。その答えは「クラウド」です。クラウドは全世界を結ぶリアルタイムのコネクティビティを陰で支えています。音楽のプレイリストやビデオ・ストリームをはじめとした情報の取得と蓄積は、その舞台裏で行われ、その実行には高電力が必要であるため、クラウド・サーバーがなぜ絶縁されているかを知ることができます。

まず、クラウド・サーバーの物理的な位置について考えてみましょう。それはデータ・センターです。光ファイバや同軸ケーブル、あるいはワイヤレス通信の基地局が、データ・センターとの間で情報をやり取りします。

次に、クラウド・サーバーの内部を覗いてみます。第一のレイヤは電源供給ユニットであり、これは通常、「電源」と呼ばれます。電源はどうして重要なのでしょう。すべての情報は「クラウド・サーバー」と呼ばれるサーバーに格納されています。これらのサーバーは、コンスーマとの間でやり取りする情報を蓄積、取得するため、電力を必要とします。電源供給ユニットの電力の範囲は数百Wから数千Wに及びます。これらの電源はクラウドのグリッドの外で、数百Vから数千VのACライン電圧を使って動作することから、「高電圧ユニット」と呼ばれます。

電源の内部には、高電圧と高電力レベルが存在するため、人体の安全の確保は最優先事項です。サーバー・システムの内部には複数の低電圧ユニットがあり、電圧の安定化、通信やHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)のためのコントローラとして動作します。クラウドを稼動させる関係者は、HMIを使ってサーバーとのインタラクションを行います。高電圧ユニットからHMIへの絶縁破壊や漏電は人の命に関わります。さらに、すべての電圧部品に損傷を与える可能性もあります。人体や低電圧ユニットを絶縁破壊から保護するには、どのような手段を講じたら良いでしょう。

この答えは絶縁性能の強化です。半導体IC(集積回路)である絶縁デバイスは、危険なDC高電圧、落雷などの制御不能の過渡電流がグリッドから流れ込むことを防ぐと同時に、高電圧ユニットと低電圧ユニットの間でのデータや電源電力の伝送を可能にします。

しかし、人々はさらに多くの情報を求めます。空港のターミナルやフードコートのような混み合った場所で、ビデオの視聴から好みの音楽の聴取まで、より大量の情報への需要は増加する一途です。そればかりではなく、人々は、それらの情報を一瞬で取得できると期待します。クラウドの規模はデータへの需要とともに拡大し続け、このことで、電力供給システムが供給する電力は、さらに膨大になります。しかし、クラウド・サーバーの設置場所は限られています。クラウド・サーバーの設備の規模をより大きくすることは、高価で、全く経済的ではありません。

安全上の要件と、情報への需要増加に対応する、二つの解決策があります。電力密度を増加させることと、絶縁性能をより堅牢にすることです。電力密度を増加させるためには、電源効率を大幅に向上するとともに、電力伝送レート(つまり、kHz単位で表されるスイッチング周波数)を高くする必要があります。これらは電源ユニットの小型化に役立ちます。絶縁性能を堅牢にする手法は、アイソレータと、高速ゲート・ドライバをはじめとした重要な電源構成部品を1個のICに集積し、電源の回路基板の実装面積を節約しながら、アイソレータをシステムに組み込むことです。この製品を、絶縁型ゲート・ドライバと呼びます。

電源ユニットに UCC21520をはじめとした絶縁型ゲート・ドライバを搭載することで、サービス事業各社は、従来の機器サイズを保ったままで、データ・センターや基地局の性能を向上し、より高いデータ容量を処理できるようになります。通常、電源供給ユニットはメーカー各社が外注で開発し、データ・センターの顧客各社に納入します。データ・センターはクラウド・サーバー空間の一部を顧客各社にリースします。これで、「クラウドを絶縁する理由」という質問への、本当の回答が見えてきました。関係する高電圧や高電力を、絶縁機能によって背後で保護している、というわけです。

クラウド・サーバーのような実装面積に制約を持つ高性能アプリケーションで、絶縁性能と電力密度を向上しようと考えている方は、UCC21520のような強化絶縁ゲート・ドライバ製品を検討すべきです。このシリーズの次のblog記事では、太陽光発電用のインバータ製品、電気自動車やハイブリッド自動車、それに医療用機器など、高い電力密度と、より堅牢な絶縁性能を重視する、その他の高性能アプリケーションについて説明する予定です。

TIの ゲート・ドライバ製品ポートフォリオ絶縁向けソリューション に関する情報

その他の情報

上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

https://e2e.ti.com/blogs_/b/powerhouse/archive/2016/07/18/why-is-the-cloud-isolated


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