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Other Parts Discussed in Post: LP87745-Q1, AWR2944

この10年間で、レーダー センシング技術は、長距離検出、高分解能、高精度など、従来の車載センシング方式に代わる多くの利点をもたらし、ドライバーの安全性機能、自律運転、先進運転支援システムの実装を可能にしました。

レーダー技術は接近してくる物体との距離や放射方向の速度を直接測定できます。その上、大雨、雪、直射日光を含めた多様な気象条件に対応できることから、この技術はNCAP(New Car Assessment Program:新車評価プログラム) の要件に適合できます。車載レーダー市場の拡大に伴い、コーナー レーダー技術は急速に進化してきました。

コーナー レーダーは通常、自動車のフロントの左右両端に2個、およびリアの左右両端に2個配置されます。各レーダー ユニットは、外部にある物体のデータを検出し、CAN-FD (Controller Area Network-Flexible Data Rate:コントローラ エリア ネットワーク - フレキシブル データ レート) のような低帯域幅ネットワークを使用してそれらのデータを送信します。その結果、レーダーのデータを自動車内部で直接処理できます。コーナー レーダーは、車線変更支援、クロス トラフィック警報、ブラインド スポット検出、衝突回避、歩行者や自転車の検出、車間距離警告などの各種アプリケーションに役立ちます。

一方で、信頼性の高いコーナー レーダー アプリケーションは、特に電源設計の難易度が高くなる場合があります。レーダー センサは通常、無線周波数(RF) 性能への影響を回避するために、特定のノイズ レベルやリップル レベル、電力供給能力、放熱特性を必要とするからです。

この点に注目すると、コーナー レーダー アプリケーション向けの電源設計では、以下の3つの項目が課題となります。

  • 電源のサイズ:電源を物理的に小型化すると、電力密度と効率が向上します。その結果、フレキシビリティが高まり、より多くの部品を設計に追加できるようになります。自動車のコーナー部分で使用できる空間には限りがあるため、スマート コーナー レーダー アプリケーションでは、より小型のソリューション サイズが必要です。電源のサイズを小型化すると、システム全体のコストを削減しながら、従来と同じ電力量を引き続き供給できます。
  • レーダー センサの低リップル、低ノイズ仕様:リップルは、電源の出力電圧の精度やノイズ レベルに直接影響し、それらを通じてシステム全体の RF 性能に影響を及ぼします。ノイズのスプリアスやリップルを抑制するために、2 段目の LC (インダクタとコンデンサ) フィルタ、または低ノイズ LDO (低ドロップアウト) レギュレータを使用することも可能ですが、これらの部品は通常、電源サイズ、温度、全体のコストが犠牲になりがちです。
  • 電源の温度:レーダーの電源を小型化すると、単位面積あたりの発熱量は増加します。温度が上昇すると、電源の整合性と寿命が損なわれる可能性があります。レーダー チップが過熱状態になった場合には、動作速度が低下したり、極端な状況ではシステム全体のシャットダウンにもつながります。特にスマート コーナー レーダーの場合、高温状態になると、接近する物体の距離や放射方向の速度を測定する能力に影響が及びます。

PMICを活用して電源に関する課題の解決を容易にする方法

ディスクリート実装に比べると、パワー マネージメント IC (PMIC) は、ソリューション サイズの小型化や、電源アーキテクチャの簡素化することで、電力密度の向上という課題への対処に役立ちます。シーケンシング機能を内蔵している各種PMICは、温度レベルを監視し、ASIL(Automotive Safety Integrity Level:車載安全性インテグリティ レベル) のすべてのレベルを達成するのに役立ちます。

1つのアプローチは、レーダー用モノリシック マイクロ波ICを想定し、3個の低ノイズ降圧コンバータと 1個の5V昇圧コンバータを組み合わせて内蔵したPMICを使用することです。LP87745-Q1 は、レーダー センサ向けに設計された小型サイズのPMICです。

LP87745-Q1はDC/DCスイッチング機能を搭載しており、全体コストの削減、ノイズ スプリアスの低減、リップル振幅の縮小、そして17.6MHzのスイッチング周波数 (fsw) の実現に役立ちます。このような高いスイッチング周波数には、以下の2つの主な利点があります。

  • 各電源レールで2段目のLCフィルタを排除できる。高いfswはレーダー技術の中間周波数を上回っている (同じ帯域ではない) ことから、この種のフィルタは必要ない。
  • 高いfswを採用すると、リップル振幅が縮小し、ノイズ スプリアスが低減すると同時に、ノイズ レベルの制御が容易になる。

LP87745-Q1を採用すると、外部LCフィルタやLDOが不要になるため、放熱量の水準が低下し、レーダー チップのRF性能に影響を及ぼさなくなります。LP87745-Q1の温度レベルは低く、電源の放熱レベルを管理しやすくなります。その結果、レーダー チップの整合性を維持できます。

図1に示すように、LP87745-Q1は、AWR2944のようなCAN-FDをベースとするレーダー チップ向けに5Vレールをサポートしています。

1:コーナー レーダー アプリケーション向けのAWR2944レーダー チップに電力を供給するLP87745-Q1

まとめ

非常に効率的なレーダー アプリケーションを開発し、それによってドライバーや歩行者を保護するために、電源の課題に対処することは重要です。LP87745-Q1は、ASIL Cの機能安全システムへの対応に役立ちます。電圧モニタを追加する必要がないため、機能安全要件をシステム レベルで達成するのが容易になります。LP87745-Q1の斬新な機能セットは、フロント、車内、カスケード型の各レーダー設計で活用でき、コーナー レーダーに関係する電源設計の各種課題を解決するのに役立ちます。

参考情報

Anonymous