Other Parts Discussed in Post: ISOW1412, ISOW1044, ISOW7741

この記事では、設計で信号および電力を絶縁する際のよくある疑問を取りあげ、利用可能なディスクリートおよび統合型のオプションについても簡単にご紹介します。

高電圧回路設計には、操作する人を保護したり、低電圧回路と通信ができるようにしたり、システム内の望ましくないノイズを除去したりするために絶縁が必要です。デジタル・アイソレータの利用は、産業用および車載用アプリケーションで高電圧絶縁通信を実現する簡単で信頼性の高い方法です。

絶縁境界をまたいで信号品質を保つには、電源も含め、回路の1次側と2次側の間の結合パスすべてを絶縁する必要があります。デジタル・アイソレータの2次側はあまり電力を必要としないのですが、システム設計者は、複数のデバイスに電力を供給するために電力の余裕を余分に見込みがちです。


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疑問1:デジタル・アイソレータの電源を絶縁する理由は?

図1に示すように、デジタル・アイソレータの内部アーキテクチャは、分割されたリードフレーム上にある2つの別々のデジタルICで構成され、その間には高電圧絶縁分離層があります。各ICには、デバイスの1次側と2次側両方でそれぞれ個別の電源とグランドが必要で、その間に物理的なつながりはありません。この要件は、デバイスが対応するのが基本絶縁か強化絶縁かにかかわらず、デジタル・アイソレータのほか、インターフェイス内蔵の絶縁デバイスにも当てはまります。

 1:デジタル・アイソレータの内部アーキテクチャではリードフレームが分割され、
1
次側と2次側にそれぞれ個別の電源が必要

疑問2:デジタル・アイソレータの電源要件は?

デジタル・アイソレータ・ソリューションの電源トポロジを選ぶ前に、入力電圧範囲、出力電圧、2次側に必要な出力電力、出力レールの数といった、基本的な電源要件を決めることが重要です。非絶縁電源ソリューションにはない絶縁電源ソリューション独自の考慮事項には、システムの絶縁定格や、必要な沿面距離と空間距離、さらに静電放電やシステムの放射特性といった電磁環境適合性があります。産業用最終製品規格では、これらの要件を多数定義しています。絶縁システムの絶縁定格や沿面距離と空間距離について詳しくは、TIプレシジョン・ラボの絶縁に関するビデオ・シリーズ(英語)をご覧ください。

デジタル・アイソレータの入力および出力の信号電圧は、印加される電源電圧に左右されることが多く、通常は2次側の電源電圧(VCC)と直接関連します。電源の入力および出力の要件を決定する前に、電源電圧要件の面からデジタル・アイソレータのデータ・シートをじっくり見直すことをお勧めします。接続する部品の論理レベルに対してデジタル・アイソレータを最適化するのもいいでしょう。例えば、マイコンに接続するデジタル・アイソレータに5Vで電力供給する場合、2次側で5Vかそれに近い論理レベルで動作する信号を選択してください。

疑問32次側の電源は絶縁電力に使えるか?

すでにシステム内に別々の電力レールが2つある場合、アイソレータ・ロジックの最低限の要件を満たすことができれば、1次側と2次側の電源に利用できるかもしれません。これには、それぞれにグランドを持つ、入力および出力信号レベルとマッチする電源電圧レベルが含まれます。既存の2次側電源を使用するのも1つの方法ですが、ノイズ結合や電源レギュレーションが問題になることも少なくありません。そのため、多くの場合、ロジックやシステムのノイズ特性に対して最適化された絶縁電源を設計することを設計者は選択します。

疑問4:電源の絶縁に利用できるソリューションには何があるか?

デジタル的に絶縁された回路の絶縁電源を設計する際に利用できるオプションは多数あります。デジタル・アイソレータの電源ソリューションには、フライバック、Hブリッジ・インダクタ-インダクタ-コンデンサ、プッシュプル、統合型の絶縁データ/電源ソリューションなどがあります。

電源内蔵デジタル・アイソレータ『ISOW7741』、電源内蔵絶縁型RS-485トランシーバ『ISOW1412』、電源内蔵CANトランシーバ『ISOW1044』などの統合型絶縁データ/電源ソリューションは、DC/DCコンバータが内蔵されているのが特長です。これらのデバイスは、CISPR(国際無線障害特別委員会)32クラスB規格に準拠して設計されているだけでなく、ディスクリート部品で設計された同等品よりもソリューションのサイズが大幅に縮小されています。基板からトランスが不要になり、基板サイズが縮小し、認証取得が容易になることから得られるメリットは、性能の高い設計をできるだけ小さい面積で実現するために、多くの場合に意味のあるトレードオフと考えられます。

そのため、ディスクリート・ソリューションの方が効率が高く、放射ノイズも低いかもしれませんが、省スペースで認証取得も簡単な方が、結局は開発期間の短縮に役立ちます。

これらのデバイスの利点について詳しくは、アプリケーション・ブリーフ「ISOW7741によりCISPR 32の放射ノイズ制限に準拠する方法」(英語)をご覧ください。

※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。 
上記の記事はこちらの技術記事(2021年5月31日)より翻訳転載されました。 
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