オートメーション (自動化)、利便性、持続可能性 (サステナビリティ) への需要が高まる中で、電動化のさらなる発展として、より多くのセンサ、パワー エレクトロニクス、プロセッサが周囲の環境を高信頼性かつ高精度でセンスし対応する必要があります。ソリューション サイズを小型化し、消費電力の監視と最適化を行うために、さまざまな方法を継続的に見つけ出すことが課題となります。
TIは、20年にわたって電流センス アンプとデジタル電力モニタの開発に携わり、システムの状態を監視するための電力測定、過電流の状況からのシステムの保護、効率向上のために制御ループを調整する動的な測定をする方法を見つけやすくなるよう支援してきました。
シャント内蔵製品は目新しい方式ではありませんが、改良を加えたこの種の製品は、設計のシンプルさ、低ドリフト、小型サイズ、コストの利点を兼ね備えています。TIのEZShuntテクノロジーは、パッケージ内のリードフレーム自体をシャントとして活用し (図1を参照)、外部シャント抵抗を不要にすることができます。従来の銅製リードフレームに起因するドリフトは、最大で3,600ppm/℃に達する場合がありますが、各種EZShunt製品は温度補償アルゴリズムを使用し、このようなドリフトを補償します。標準的なシャント抵抗は50ppm/℃ ~ 175ppm/℃の範囲で変動します。一方、EZShunt製品はソリューション全体で25ppm/℃という小さいドリフトを達成します。
図1:パッケージのリードフレームをシャントとして活用する方法を示すチップの模式図
デジタルEZShunt製品は、設計サイズを大幅に小型化できます。たとえば、デジタル電力モニタであるINA700は、WCSP(ウェハー チップ スケール パッケージ) に封止した類似のデジタル電力モニタと1206サイズのシャントの組み合わせに比べて、部品の占有面積を最大で84%縮小できます。
さらに、デジタルEZShunt製品は、電流、電力、エネルギー、電荷、バス電圧、温度などのマルチモード センシング機能を搭載しており、マイコン (MCU) の負担を軽減できます。この種の製品はこれらの計算をチップ内部で実行するため、マイコンがこれらの計算に余分なクロック サイクルを消費する必要がなくなります。また、アラート ピンを備えており、診断結果を知らせることや、A/D変換が完了した時点で通知することもできます。それにより、結果を取得する目的で、マイコンが製品へのポーリングを継続的に実行する必要もなくなります。
高電圧と大電流に対応できる、6mm x 6mmのDEK (クワッド フラット、リードなし) パッケージの製品は、25℃時に最大 75ADC の電流を流すことができます (図2を参照)。INA780A、INA780B、INA781の各デジタル電力モニタは、最大85Vの同相電圧に対応できます。
図2:DEKパッケージ (INA780A、INA780B、INA781) の連続電流対応能力
さらに、EZShunt製品は、ケルビン接続のレイアウトの複雑さを解消できます (図3を参照)。この種の製品は、パッケージ内部で入力をシャントに接続することも、シャントのケルビン接続を外部ピンに提示することもできます。
図3: ケルビン接続されたピンSH+とSH–のINA780ブロック図
いくつかの進歩を通じて多くの市場セグメントで拡大を続ける電流センシングの分野において、TIの新しいEZShuntテクノロジーは、設計のシンプルさ、コスト、低ドリフト、小型サイズという利点を実現できます。製品ラインアップは、電圧、電流、出力タイプ (アナログとデジタル)、精度に関して幅広い選択肢を取り揃えているほか、2024年第2四半期にはアナログ バージョンと車載バージョンも登場する予定です。フルスケール範囲の最適化や、消費電力の低減など、設計の多様なニーズに適切に対応できます。
参考情報
- TIのシャント テクノロジーの詳細をご確認ください。
- 新しいホール効果センサである TCMS1123 の詳細をご確認ください。
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※上記の記事はこちらの(2023年9月5日)より翻訳転載されました。
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