• 超音波センサはどこに使われているのか?

    超音波センサは、乗用車の超音波パークアシストのようなアプリケーションに長年利用されてきました。これは、車両の駐車の際に低速における物体検出を支援するものです。現在は、その他にもキック・ツー・オープン・リフトゲートと侵入検知アラームという2つの新たな超音波センサ・アプリケーションが登場しています(図1を参照)。この記事では、これら3つのアプリケーションで超音波センサが使われる理由とその仕組みについて説明します。

    図1:乗用車に搭載されている超音波センサ

    超音波パークアシスト
    超音波パークアシストは、駐車アシストシステム、駐車案内システム、縦列駐車アシストとも呼ばれています。これらのシステムは、単に物体の存在を検出して運転者に音で警告するだけのものから、運転者による操作をほとんどあるいは全く必要とせず自律的に車両を駐車させるものまで、さまざまです。これらのシステムでは、一般に4~16個のセンサが車両の周囲に適切に配置され、必要な検出範囲をカバーしています…

  • 任意波形ジェネレータの高電圧、 高周波信号生成における歪みを低下させる方法

    毎日のように新しい技術が出現するなかで、より高速な高電圧信号の生成の必要性はますます高まっています。また、必要な条件もエンド機器によって頻繁に変化しています。これらのエンド機器は、任意波形ジェネレータ(AWG)や高電圧クロック・ジェネレータの速度の向上から、パワー電界効果トランジスタや半導体試験機器の入力の駆動まで、あらゆるものである可能性があります。

    高電圧や高電流からの速度増加の要件によって、動作の温度制限を維持しながら高周波正弦波信号に歪みが発生しないようにするには、最終段の出力駆動アンプに非常に大きな圧力がかかります...

  • 業界最小のオペアンプで超小型マイクロフォン回路を設計

    音声コマンドは、市場で製品を差別化する機能として多くのアプリケーションで人気です。マイクロフォンは、音声や発話を使用するあらゆるシステムの基本コンポーネントであり、サイズ、コスト、性能の点でエレクトレット・マイクロフォンが広く採用されています。

    このブログでは、非常に小型でコストを最適化したエレクトレット・コンデンサ・マイクロフォンのプリアンプ設計について説明します。この設計で使用する『TLV 9061』は、業界最小のオペアンプで、0.8mm × 0.8mmの超小型リードレス・パッケージ(X2SON)で提供されます。図1は、エレクトレット・マイクロフォンのアンプ回路構成を示しています。

     図1:エレクトレット・マイクロフォンの非反転アンプ回路

    ほとんどのエレクトレット・マイクロフォンは、2.2kΩのプルアップ抵抗でバイアスを加えたJFET(接合型電界効果トランジスタ)をバッファとして内蔵しています。音波がマイクロフォン…

  • 高性能/コスト重視型アプリケーションにおけるローサイド電流検出

    Other Parts Discussed in Post: TLV906X

    モータ制御を必要とするアプリケーションには、通常、何らかの電流検出回路があります。モータを流れる電流を検出すれば、必要に応じて速度などの調整をモータに加えることができます。

    例えば、ドローンでは、プロペラを制御する各モータが、ドローンの操縦、安定、離陸にローサイド電流検出回路を使用するのが一般的です。ドリルやレシプロソ(往復式のこぎり)などの電動工具では、ユーザがレバーを引く強さに応じて、ローサイド電流検出回路が工具の速度を制御します。このような製品は一般消費者向けに販売されているため、通常、コストを重視した設計を必要とします。今回は、コスト重視型のアプリケーションにおけるローサイド電流検出回路の設計について紹介します。

    ローサイド電流検出回路の設計においてをオペアンプ非反転構成で使用するのは、コスト効果の高い選択肢です。図1は、オペアンプを使用した一般的なローサイド電流検出回路の回路図です…

  • 新しいWEBENCH® Power Designerがさらに使いやすく

    TIは今月、デザインを刷新したWEBENCH® Power Designer用のHTML5アプリケーションを発表し、より使いやすいオンライン設計のインターフェイスを導入しました。今回の記事では、電源設計をより迅速かつ簡単に実行できるようにデザインされた、新たな機能強化について紹介していきます。

    入力フォーム
    まず、図1のように、入力フォームのデザインが刷新されています。このフォームでは、想定しているTIのデバイスを簡単に見つけたり、基本的な入力内容を利用して検索を開始したりすることができます。あらゆる基準を満たす設計に対応できるよう、高度な設定が編成され、最適化ノブが設計検討トグルとなりました。

     図1:刷新された入力フォーム

    デザイン画面の選択
    電源設計プロセスではまず、設計を選択します。WEBENCH Power Designerでは、これまでは、動作値を計算し、どのような回路図になるか、サムネイルを生成していましたが…

  • JFET入力アンプを高速アプリケーションに使用する利点とは

    電圧帰還アンプは、トランジスタの種類、すなわちバイポーラ、CMOS、JFETのいずれを搭載するかによって分類されることがあります。少数ながら、複数の種類のトランジスタを組み合わせ、各増幅段階でメリットを引き出そうとするアンプもあります。たとえばJFET入力アンプは、JFETを使用した入力差動ペアを搭載し、非常に大きな増幅入力インピーダンスを得た後、ゲインと出力の段階ではバイポーラ・トランジスタを使用します。

    JFET入力アンプは、アナログ・フロント・エンド、電流センス・アンプ、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)ドライバ、変換器、フォトダイオード・トランスインピーダンス・アンプのテストや計測、あるいはマルチプレクサを介したマルチチャネル・センサ・インターフェイスとして使用されます。この記事は『OPA 2810』を例に挙げ、上記のようなアプリケーションにJFET入力アンプを使用する利点をご紹介します。『OPA 2810』は、110MHz…

  • TINA TI によるオペアンプ回路設計入門

     アナログシグナルチェーンの基本素子とも言うべきオペアンプの基本理論と応用回路技術の習得をを目的とします。本格的な電子回路シミュレーション・ツールである  TINA TI を自分の手で実際に動かすことで直感的な理解が得られるよう工夫しています。TINA TI  (Ver. 9.x) のインストール方法と基本操作方法については下記のリンクを参照して下さい。

        SPICE ベースのアナログ・シミュレーション・プログラム

        クイック・スタート・ガイド ( TINA TI 操作入門 )

     この連載はオペアンプ回路を扱います...

  • オペアンプ向けの完全なシミュレーション・テスト・ベンチ Part 1:出力インピーダンス

    迅速性が求められる一方で、より高まる性能要件に対応するためには、最初から適切な回路設計を行うことが重要であり、アナログおよびミックスド・シグナル業界の多くのエンジニアが、設計の成功率を上げるためにシミュレーションを活用しています。しかし、回路シミュレーションの精度は使用するモデルによって決まります。重要度の高い設計では、データシートで保証されている仕様にモデルが一致しているかどうかを確認することが大切です。

    この一連の記事では、すべての主要オペアンプ仕様やそれらがアプリケーション性能に影響する仕組み、テスト回路設計を支える手法など、オペアンプ用の包括的なシミュレーション・テスト・ベンチを提供します。

    開ループ出力インピーダンス – Zo

    最も重要(にもかかわらず見落とされがち)なオペアンプ特性の1つが、開ループ小信号AC出力インピーダンスであり、小信号安定性解析を実行する場合や、アナログ/デジタル・コンバータ(ADC…

  • 車載Ethernet 標準規格の重要性

    ここ数年、自動車業界のOEM各社やティア1各社では、Ethernetの採用と適合化を進めています。IEEE 802.3標準規格を、特に自動車向けに修正した車載Ethernet標準規格には、IEEE 802.3bw(100BASE-T1、100Mbps、copper)やIEEE 802.3bp(1000BASE-T1、1Gbps、copper)があります。

    これらの車載Ethernet標準規格は、車内インフォテインメント、ADAS(先進運転支援システム)、オンボード診断機能や、外界へのコネクティビティ(5GやV2X)などの急激な発展によって実現された、自動車業界特有の追加要件や機能を盛り込んでおり、重要です。

    これらの車載Ethernet標準規格は、主にPHY(フィジカル・レイヤ)に対応しています。この影響を受けるPHYインターフェイスは、ネットワークへの電気的なインターフェイスであるMDI(メディア・ディペンデント・インターフェイス…

  • 車載アプリケーションにおけるLINの役割:24Vバッテリ・システムの過電流保護

    自動車に搭載されるICの数は年々増え続け、ライトやヒーター、センサなどを制御するために様々なモジュールに組み込まれるようになっています。より多くの機能や電子制御を備える、新しい枠組みの自動車設計において、安全性は十分に確保されているか、自動車環境によく見られる過電流にICは耐えられるか、といった課題が生じています。

    例えば、3.3V電源を必要とするマイコンに12V電源を使用すれば、そのデバイスは正常に動作せず、故障が起こる危険があります。同様に、電圧がICの仕様をはるかに上回る、あるいは下回る可能性がある自動車環境にも当てはまります。過電流は、商用トラックやフォークリフト、大型輸送車両などで使用される24Vバッテリ・システムにおいてはより深刻な問題となります。

    世界中のほぼ全ての自動車ではLIN(Local Interconnect Network)プロトコルが使用されています。LINを使用するモジュールはダイオードを介して直接…

  • 車載アプリケーションにおけるLINの役割:車内360°ツアーで体験

    自動車の様々な場所に最大80個の個別のLIN(Local Interconnect Network)モジュールが設置されています。このモジュールのおかげで、運転者や同乗者、さらに車内の荷物までが、多くの恩恵を得ていることをご存知でしょうか?私たちの多くは、これらのモジュールの背後に何があるのか知らぬまま日々使用していますが、実は様々な機能の実装に役立っています。CAN(Controller Area Network)バス標準と比較した際、高い安全基準が求められていないアプリケーションに低コストで容易に実装できることから、車載アプリケーションにおけるLINの採用率は高まっています。

    最新の自動車の車内を覗いて、どこにLINを使うことができるのか見てみましょう。下記イラスト画像をクリックすると、車内の360°バーチャルビューが起動し、LINで実現する機能を見ることができます。ページが開いたら、手動でスクロールしながら車内を見回すと、LINが使用されている場所…

  • 末端機器への「ラストワンマイル」を接続するローカル・インターコネクト・ネットワーク

    「ローカル・ネットワーク」という言葉を聞いた時、インターネット、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)やWi-Fi®またはEthernetを思い浮かべる方が多いことでしょう。これらのテクノロジは堅牢で、広範囲にわたって使われていますが、Wi-Fi向けのワイヤレス・トランシーバであれ、インターネット上で各種のアプリケーションを可能にするプロトコルのサポートであれ、無視できないオーバーヘッド(間接的な設備、経費や処理など)が必要になります。

    クルマのような、高度に統合化されたシステムでは、車内の限られた空間内で簡単に配線できるように、低いオーバーヘッドのネットワークのサポートが必要です。膨大な数の電子ノードを、あらゆる場所に展開しようとするなら、ノード単価の削減も重要です。

    これらの点から考えると、車内のすべての制御ユニットを1つのWi-Fiネットワークで接続するためには、全ノードに無線のトランスミッタとレシーバを設置しなければならず…

  • 容量性絶縁を選ぶ理由:スマート・シティ向けのセンサに不可欠な構成要素

    世界中のあらゆる地域で都市化が進む中、そうした世界的発展の先にあるのがスマート・シティです。スマート・シティを構築するには、地域密着型の送電網、公共事業、気象観測などの主な構成要素間をつなぐ高度なネットワークと通信制御により、インフラのパラダイム・シフトを実現することが必要になります。

    インフラをネットワーク化するうえで基盤となるのはセンサ技術です。センサとは、周囲の環境内に生じる事象や変化を検出し、その情報をコンピュータやプロセッサなどの他の電子機器に送信するデバイス、モジュール、またはサブシステムです。このようなセンサが、たとえば地域密着型の送電網を構成する屋上太陽光発電機のインバータや、HVAC(暖房、換気、空調)システム、住宅や商業用ビル向けのオートメーション・システム、自動化されたコインランドリーや洗車システムといった実際のシステムに接続されていることは、容易に想像できます。

    これらのシステムに共通する要素は何なのでしょう…

  • 様々なドローン機能を支援する超音波センサ

    最近、商用ドローンの人気が高まりつつあり、目を見張るような映像の撮影や、救援物資の輸送、レースにも使用されています。ほとんどのドローンでは、自動飛行、衝突検知など様々な機能を実現するために多様なセンシング技術が用いられています。その中でも超音波センシングはドローンの着陸、ホバリング、地上追跡の支援に利用されています。

    ドローンに備わる着陸支援は、ドローンの最下面から地上までの距離を検知し、その場所が着陸できる安全な場所であるかを確認し、ゆっくりとドローンを下降させる機能です。GPSモニタリングや気圧検知向けのセンシング技術が着陸プロセスを支援する一方、超音波センシングはこのプロセスにおける最も重要で正確な情報源となります。また多くのドローンにはビデオ撮影や地上ナビゲーション向けにホバーや地上追跡モードが搭載されていますが、その際に超音波センシングはドローンを地上から一定の高さに保つために用いられています。このブログでは、ドローン…

  • ナノパワーの電力バジェットで高精度の計測を実現する方法:ナノパワー・オペアンプにおけるDCゲイン

    オペアンプの高精度と高速性能は、消費電力に直接関係します。電流消費を削減することでゲイン(利得)帯域幅が減少する一方、オフセット電圧の減少により電流消費は増加します。

    オペアンプの電気特性間に生じるこのような作用の多くは、互いに影響します。ワイヤレス・センシング・ノードやIoTビル・オートメーションなどのアプリケーションで低消費電力化のニーズが高まる中、消費電力を極力抑えたエンド機器で最適な性能を確実に引き出すために、これらのトレードオフを理解することは不可欠です。今回は、高精度なナノパワー・オペアンプのDCゲインにおける電力対性能のトレードオフについて解説します。

    DCゲイン
    まずはオペアンプの典型的な反転ゲイン構成(図1)と非反転ゲイン構成(図2)についてから見ていきましょう。

     

     

     

     

     

     

    図1:反転オペアンプ

    図2:非反転オペアンプ

    これらの構成はそれぞれ、反転と非反転のオペアンプ・クローズドループ・ゲインの方程式…

  • ベンチトップ試験機器で高精度のデータ収集を実現する方法

     デジタル・マルチメーター(DMM)は、あらゆるエレクトロニクス・ラボで中心的な役割を担う機器ですが、電子機器の精度が向上し続ける中で、電流、電圧、抵抗などのパラメータをすばやく正確に測定できるDMMの必要性も高まっています。そのため、DMM内のデータ収集システムを改良して、より高精度の測定を実現しようというニーズが常に存在します。データ収集システムの中核となるのが、入力信号をデジタル化してホスト・プロセッサに送信するアナログ/デジタル・コンバータ(ADC)です。

    この記事では、ADCの中でDMMに関連して重要性の高い各機能の概要を示します。ここでは特に、ハンドヘルド機器ではなくベンチトップ・システムに着目しています。図1に、一般的なDMMのデータ収集システムのブロック図を示します。

     図1:DMMの入力信号調整のブロック図

    DMMでは多くの異なる種類のADCアーキテクチャを使用できますが、最も一般的なものの1つが逐次比較型(SAR…

  • スマート・ファクトリを支えるIO-Link

    IoTは、単にインターネットに対応したデバイスを互いに接続するだけではなく、データをやり取りし、共有することで私たちの生活の質を高めてくれます。次世代の産業革命を意味する用語「インダストリ4.0」は、工場の自動化を表し、データが容易にやり取りされるファクトリ・オートメーションとスマート・ファクトリの構築を体言し、工場が最大限の効率で稼働し続けるよう環境を整えます。IO-Linkは、スマート・ファクトリ化の実現の上で重要なインターフェイスとなります。

    最近の工場は、製造されている製品の品質向上や購入しやすい価格からみて、すでに効率的に稼働しているように思えるかもしれません。しかし、実際、工場にはまだ非効性が残り、IO-Linkのようなインターフェイスによって削減できる多くのポイントがあります。 IO-Linkコンソーシアムおよび国際電気標準会議(IEC)61131-9規格は、特定のメーカーに依存しない双方向のセンサおよびアクチュエータ用通信プロトコルを確立しました…

  • TIのIO-Linkトランシーバ、業界で最も低い残留電圧、低消費電力、低温度を実現

    TIのIO-Linkトランシーバ『TIOL 111』は、コンパクト・サイズでIEC、ESD、EFT、サージなど、すべての保護回路を搭載し、業界で最も低い残留電圧、低消費電力、低温度を実現しさらに、SIO デバイスであるデジタル出力スイッチ『TIOS 101』との互換性もあります。『TIOL 111』および『TIOS 101』は業界最小のボディーサイズかつ優れた熱特性のパッケージをラインアップしています。

    IO-Linkは、スマート・ファクトリ化の実現の上で重要なインターフェイスとなります。メーカーに依存しない双方向の通信プロトコルであるIO-Linkを使用することで、効率性と拡張性に優れたスマート・ファクトリを開発することができます。

    TIの『TIOL 111』IO-Linkトランシーバと『TIOS 101』デジタル出力スイッチを組み合わせることで、製品提供を最適化し、部品数を削減しながら、次世代の工場向けセンサ/アクチュエータを開発することができます…

  • 新型マルチスイッチ検出インターフェイス製品『TIC 12400』と『TIC 12400-Q1』:より小型かつ効率的な設計のための内蔵機能

    ボディ・コントロール・モジュール(BCM)は、ドアロック、ウィンドウ、チャイム、閉センサ、車内外の照明、ワイパー、方向指示器など、車両の快適性、利便性、照明に関連する多数の機能を管理する電子制御ユニットです。具体的には図1に示すように、BCMは各種のドライバ・スイッチを監視し、車両内の対応する負荷への電力供給を制御しています。

     

     

     

     

     

     

     

     図1BCMのブロック図

    代表的なBCMは、車載用12Vバッテリ・レベル・ドライバ・スイッチの状態を処理するマイコンで構成されています。従来、インターフェイス回路を介してマイコンに接続される信号は、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどのディスクリート受動部品を使用して実装されてきました。そのため、バッテリ・レベル電圧、静電放電(ESD)、過渡事象、バッテリ逆接続といった条件からマイコンを保護するよう注意しなければなりません。また、ウェット電流を供給することによりスイッチ入力をバイアスし、スイッチの接点を適切な状態に保つことも必要です…

  • BCM設計をサポートする車載用製品『TIC 10024-Q1』『TIC 12400-Q1』の登場

    安全性、運転支援、ドライバ情報など、車載電子機器の機能が増え続ける一方で、車両全体でさらにきめ細かい電子制御を求める傾向も加速し続けています。快適性、安全性、装備、カスタム化された乗車体験に関連する機能は日々その数を増し、車載電子システムへの要求も同様に増加しています。

    ボディ・コントロール・モジュール(BCM)は、信号を利用して、車内のさまざまな機能を連携して動かします。ドアロック、チャイム制御、車内/車外灯、セキュリティ機能、ワイパー、方向指示器、電源管理をはじめ、数多くの機能を管理しています。BCMは、車両の電子アーキテクチャと結び付けられ、信頼性と経済性を最大限に高めながら、必要なプラグイン接続数やケーブル・ハーネス数を減少させます。

    BCMに求められる機能が増えるにしたがって、ケーブル・ハーネスの総量も増加しました。『次世代自動車用ワイヤ・ハーネス』(大庭清嗣 著)によれば、現在、通常の電線を使用するワイヤ・ハーネスの総重量は小型車1台あたり約30kgです…

  • Cバンドでの直接変換を実現する高速コンバータ

    8GHzの3dB帯域幅および10GHzの使用可能帯域幅で直接デジタル化を可能にする高速ADC製品ファミリ

    Tommy Neu | 2017年8月17日

    高速デジタイザでアナログ入力信号をデジタル領域へと変換することにより、高度なデジタル信号処理(DSP)技術が適用できるようになり、高速システムを大幅に改良することが可能になりました。レシーバ内部では、アナログ/デジタル・コンバータ(ADC)が中間周波数(IF)アンプの出力に配置され、1~2GHzのLバンド周波数でIF信号を直接サンプリングできるようになっています。これらの高速データ・コンバータは、従来のIFサンプリング・アーキテクチャに比べてAC性能が少し劣ります。

    しかし現在は、テキサス・インスツルメンツADC 12DJ3200ファミリのような高速コンバータの利用により、8GHz以上の周波数でRF入力信号の直接変換が可能になりました。12ビットのADC 12DJ3200デジタイザは…

  • 革新的な電動工具ソリューションの開発を促進する高電力密度の需要

    近年、電動工具向けのDCモータは、ブラシ付きモータから、より信頼性の高い、効率的なブラシレスDC(BLDC)に大きくシフトしています。チョッパ構造のような従来のブラシ付きDC技術は、双方向スイッチを使用するか否かにより、1つか2つのパワーMOSFETを実装する傾向にあります。一方、3相BLDC構造では3つのハーフ・ブリッジまたは最小でも6つのFETを必要とするため、ブラシ付きからブラシレスにシフトすることで、世界の電動工具向けFETの全市場におけるFETの出荷量は3倍から6倍に増えることを意味します(図1)。NexFET™パワーMOSFET製品を有するTIにとって、この市場トレンドは喜ばしいことです。

    1:ブラシ付きからブラシレス技術へのシフトは、FETの数が6倍に増えることを意味する

    しかし、BLDCデザインは、これらのFETに新しい技術要件を突きつけます。例えば、ボード上のFETの数が6倍に増えることで、モータを駆動するにあたりプリント基板の占有面積を6倍まで拡大する必要があるなら…

  • 高速、高電圧絶縁のための絶縁LVDSバッファ

    TI システムおよびアプリケーション・マネージャ アナン・カマス(Anant Kamath)         

    絶縁は、システムの2つの部分の間で信号と電力の伝達をゆるし行いながら、直流(DC)と不要な交流(AC)を阻止します。絶縁は、作業者や低電圧回路を高電圧から保護する他、ノイズ耐性の向上、通信サブシステム間におけるグランド電位差を処理するため、さまざまなアプリケーションで使用されています。

    CMOSあるいはTTLレベルの入出力を持ったアイソレータは、デジタル・アイソレータと呼ばれます。デジタル・アイソレータを使用すると、アイソレータとの通信速度が遅い場合や、配線距離が数インチに制限されている場合に、同じPCB上の2つの異なる電圧ドメイン間を絶縁できます。

    長い基板配線やケーブルおよびコネクタを介した高速データ通信には、CMOS信号よりも低電圧差動信号(LVDS)の方が適しています。LVDSには、CMOSに比べて低い消費電力や電磁放射…

  • 小型アプリケーション向けの高性能なUSB Type-C保護

    最近は、ノートブックPCやセットトップ・ボックス(STB)でもUSB Type-C™コネクタを見かけるようになってきました。しかし、USB Type-Cが携帯電話やウェアラブル端末、その他のポータブル電子機器のような小型フォームファクタのアプリケーションに採用されるようになるにつれ、システム設計者は設計する際にこれまでとは異なる点に考慮する必要が出てきました。最大の課題は、自社システムのフォームファクタと電力消費を引き続き最小化しながら、高い電源供給率、リバーシブルなコネクタ形状、高いデータ転送率、HDMIやDisplayPort、Thunderboltなどの代替規格のサポートなど、様々な新機能の領域をどのように活用するかという点にあります。

     また、新しいUSB Type-Cコネクタは、USB Type AやMicro-USBコネクタ向けの標準的なESD保護よりも困難な保護要件を考慮しなければなりません。ピン間隔が非常に狭いUSB…

  • 評価モジュールを使用してオペアンプ容量性負荷を安定させる3つの方法

    容量性負荷は、オペアンプ回路を不安定化させる原因となり、結果として大きなオーバーシュートや、リンギング、設定時間の遅延を引き起こす可能性があります。ひどい場合には、持続的振動を引き起こします。これらの問題が生じる原因は、容量性負荷がオペアンプ出力インピーダンスに相互作用し、オープン・ループ・ゲイン(Aol)応答で新たなポールを形成し、ループゲイン(Aol*β)位相マージンを許容範囲以下に低下させるためです。

    ビデオ「TI プレシジョン・ラボのオペアンプ安定性について」など、多くのリソースで、安定性に関する基本理論が詳細に解説されています。現在、容量性負荷を駆動中にオペアンプを安定化させる様々な補償回路が提供されています。今回は、自分で行うアンプ評価モジュール『DIYAMP- EVM』を使用して設計し、テスト可能な3つの一般的な補償回路についてお話しします。

    絶縁レジスタRISO
    最も一般的で容易な設計手法は、絶縁レジスタ…