• 次世代ADAS用カメラ・モジュールの電源回路構築法

    最近、新世代の自動運転車の開発やテストへの取り組みに関するニュースが大きく取り上げられています。先進運転支援システム(ADAS)の開発は、運転の安全性を高め、自動運転の可能性を切り拓く上で、自動車業界の重要なトレンドになっています。運転支援と自動化の進展のカギを握るのは、未来のクルマに設計段階で組み込まれるカメラ、レーダー、ライダー(LIDAR)などのさまざまなセンサです。

    特にカメラ・モジュールは道路標識の読み取りなどの自律的な意思決定に重要なデータを提供することから、車載ビジョン・システムに対する要件が急速に進化し...

  • 車載LEDライティングのサイズ、EMI、熱に関する技術的課題の解消法

    車載ライティング市場は大幅な成長が予測されています。成長をけん引しているのは、自動車生産台数の増加、車載ライティング分野の技術的進化、夜間走行時の安全対策ニーズの増大です。LEDは白熱球に比べ柔軟性と効率が高く、コンパクトなソリューションを提供します。

    TIの車載LEDライティング・システム向けCISPR 25 Class 5定格7.5Wテールランプのリファレンス・デザインは、最新のLEDアレイ向け電源の設計をサポートする車載テールランプ、方向指示器、ヘッドライトのためのリファレンス・デザインです(図1参照)。このリファレンス・デザインは最適化された電磁妨害(EMI)フィルタの後段でバッテリに接続されたメイン・レギュレータとしてLM 53601-Q1を使用しています。LM 53601-Q1 DC/DCコンバータの出力はその後、方向指示器のスイッチングやアンビエント照明などの効果のためのLEDライティング・ストリングの構築に使用さ…

  • 自律走行およびEV分野に貢献するTIの車載ボディ・モータ

     スマートフォンのアプリでタクシーを呼ぶと、数分後には無人のタクシーが到着し、ドアは自動に開き、すでにあなたの好みに合わせて設定されたシートに乗り込みます。混雑する朝の道路を難なく進む車内で、スクリーンに映し出されたニュースを横目に、メールをチェックしながら到着時間をタクシーに尋ねると、「午前8時30分に到着予定で、予測される遅延はありません」と返事が返ってきます。

    こんな場面が10 年以内に現実になる可能性があります。自律走行車がよりユビキタスになるにつれ、乗客はまた、他の機能が自律的に動作することを期待するようになります。

    現在の最新自動車には、30個以上のボディ系のモータが搭載されており、ウインドウ・レギュレータ、ミラー、電動シートから、サンルーフ、照明、エアコン・システムまで、さまざまな用途で使われています。快適性のために必要とされるこれらのシステムは、乗客の好みに合わせてプログラミングされ、自動化されるようになっています…

  • 車載ゲートウェイ:通信ドメイン間のブリッジ

    クルマはController Area Network(CAN)、Local Interconnect Network(LIN)、FlexRay、Media Oriented Systems Transport(MOST)、イーサネットなどの通信プロトコルを使用して、さまざまな電子制御ユニット(ECU)間の通信を行っています。例えば、ボディ・コントロール・モジュール(BCM)はLINを使用して雨センサと通信しています。同様に、オンボード診断スキャン・ツールはCANまたはイーサネットを使用して車内の複数のECUと通信しています。

    こうしたECUは、通信やデータ交換のために異なるドメイン間やプロトコル間でブリッジを行う方法を必要とします。ここで役割を果たすのがゲートウェイです。図1が示すように、ゲートウェイはさまざまなECUを接続し、意図した受信者にデータを転送する前に、そのデータをあるプロトコルから別のプロトコルに変換します。

  • 温度センサを利用して自動車のトランスミッションを保護する方法

    自動車メーカーが、利便性と快適性に優れ、高い性能と燃費を誇る車両を消費者に提供することを目指しているなかで、自動車業界は次々に新たな技術を導入しています。技術革新として目立つものは、車内環境、およびインフォテインメント・システムの一部にありますが、自動車パワートレインにも、車両の操作性や性能、燃費を改善する大きな改良点があります。

    現在、消費者にとっての一般的なパワートレインの選択肢は、マニュアル・トランスミッション(MT)かオートマチック・トランスミッション(AT)のどちらのクルマを買うかという点にあります。運転そのものを楽しみたい人は、MTを選ぶ傾向にありますが、ATの方が便利なため、一般的となっています。ATは、車載処理機能を要する大型で複雑なシステムであり、あらゆる運転条件下で作動しつづける必要があります。

    ATは、車両のエンジンが生成した動力を受け取り、運転の要求に基づいて異なるギア比に配分することで作動します。それぞれのギアの目的は…

  • ドライバーの視野を拡大する最新カメラ・モニタリング・システム

    ミラーに映った像は、実物よりわずかに歪んで見える性質があります。そのため、バックミラーに映る物体は見た目よりも近いところにある、という事実はドライバーに対して長年言われている安全警告です。このような制約があるものの、ミラーはドライバーがバックしたり、車線変更をしたりする際に不可欠なクルマの装備品です。しかし、現在の先進運転支援システム(ADAS)は車載カメラを利用し、運転席からさらに広い視野をドライバーに提供することで、ミラー以上の機能性を備えています。

    Eミラー、あるいはスマートミラーとも呼ばれるカメラ・モニタリング・システム(CMS)は、ミラーの機能をカメラとディスプレイを用いて提供するよう設計されています。バックミラーを覗き込んだら、車両の後ろ側がパノラマ表示されているイメージです。サイドミラーには、隣の車両が高解像度で表示されます。このほか、死角の検出や駐車支援などの機能も現実になりつつあります。

    ミラーからCMSへの移行の現状を理解することは重要です…

  • 自動運転におけるAI、実用的なディープ・ラーニング

    近い将来、私たちは人工知能(AI)によって安全に目的地に到着できるようになり、生活はより快適になるでしょう。このような日がいつ到来するのかを正確に予測するのは難しいですが、AIは現在の表層的なものから、より現実のものに近づくと予想されます。

    一方で、ディープ・ラーニング技術を利用したAIの実用化は、一般消費者が利用しやすい自動車の安全システムの進歩において重要な役割を担います。

    ディープ・ラーニングは、数十年前に提唱された概念ですが、現在は汎用コンピューティング・プラットフォームでも利用できる、より現実的な技術となりました。ディープ・ラーニングの「ディープ」つまり「深層」とは、最終結果を得るために各レイヤ間のデータを数学的に処理、フィルタリング、畳み込み、入出力間に適用される隠れたレイヤの数に由来します。視覚システムでは、ワイド・ネットワークよりも、ディープ・ネットワークのほうが、ある事象に何層ものレイヤを適用することで、より一般化した認識が可能になり…

  • 自動外観検査を容易にするウェッタブル・フランク・パッケージ

    車載アプリケーションの設計は、複数の機能分野を含む非常に複雑な作業であり、相反する要件の優先順位があると、意志決定プロセスが困難になることがあります。その一つがパッケージ型式であり、製品設計のいくつかの側面で多大な影響を与えます。デバイスの電気的特性と放熱特性を確保するほかに、生産性、品質管理や信頼性にも熟慮が必要です。電源管理ICの選択では、リード付きスモール・アウトライン・トランジスタ(SOT)パッケージか、リードなしのクワド・フラット・ノーリード(QFN)パッケージを選ぶ必要が出てくるでしょう。図1 に、各パッケージ型式の例を示します。

     図1. SOT(左)とQFN(右)のパッケージ例

    SOTパッケージは、リードがモールド材料の側面から突き出ていることから、簡素で使いやすく、製造工程での検査も容易です。しかし、長いリードによってリード・インダクタンスが増加し電気的特性が悪化するほか、放熱パッドが無いことで放熱特性の悪化、ソリューション…

  • DLP技術が照らす自動車ヘッドライトの未来

    今日の自動車には、革新的な技術が詰め込まれています。先進的なヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)から電動クローザ・システム、映画館と同品質のリア・エンターテイメント・システムにいたるまで、電子機器がもたらす快適さは質と量の両面で、著しく向上しています。

    重要な車載システムの一つであるヘッドライトは、急速な技術的変化の真っ只中にあります。従来のハロゲンやキセノン電球はLED光源に置き換えられ、さらにAFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)やADB(配光可変ヘッドランプ)技術の登場により、ヘッドライトはさらに大きな飛躍を遂げるでしょう。

     プログラム可能で高解像度の新しい自動車ヘッドライト・システムは、ハイエンドのセンサとプログラマブル・コントローラを備え、ヘッドランプを水平にしたり、旋回したりすることができ、車両の前方に明るい光を投射する以上のことが可能になります。AFSとADB技術により、ヘッドランプはより明るくシャープになるだけでなく…

  • HEV/EVアプリケーションでの電圧および電流センシング

    車載システムにおける半導体部品の急速な増加により、各サブシステムの主要な電圧や電流を管理する必要性が高まっています。電源電圧、負荷電流、または他の重要なシステム機能を監視することは、障害状態を示し、致命的な障害を防止し、エンド・ユーザーを被害から守るために役立ちます。

    ハイブリッド自動車(HEV)および電気自動車(EV)には、内燃機関によって駆動される従来の自動車と比較して、いくつかの明確な課題があります。HEVおよびEVには、電圧や電流の監視を必要とするシステムが多く搭載され、これにはオンボード・チャージャ(OBC)、バッテリ・マネジメント・システム(BMS)、DC/DCコンバータおよびインバータが含まれます。この記事では、HEV/EVシステム内の電流および電圧を監視するための3つの基本的な回路について説明します。差動アンプ(DA)によるローサイド電流センシング、インラインの絶縁型電流センシング、および減衰DAを使用した高電圧センシングです…

  • CMOS技術によって車載アプリケーション用ミリ波センサの消費電力を最小化

    利用するドライバーが増え続けている先進運転支援システム(ADAS)は、より正確なセンシングのニーズを満たすために車載レーダ・センサを利用していますが、これらのセンサの消費電力と放熱は極めて重要な考慮事項となっています。放熱は、センサに必要なヒートシンクや筐体のコスト、および無線周波数(RF)の性能に直接関係します。一般に、消費電力が低いほど、高価な筐体の必要性は減ります。RF性能(雑音指数や位相ノイズによって示される)が優れているほど、より遠距離の物体を適切に検出できます。

    既存のレーダ・ソリューションのほとんどが、2つのチップで構成されています。1枚のプリント基板(PCB)にはRF送受信器チップが搭載され、もう1枚のPCBにはマイコン(MCU)が搭載されて、ベースバンド処理を実行します。設計によっては、各PCB用に電源管理ソリューションも必要であるため、ソリューションのサイズや設計の複雑度が大きくなります。図1に、標準的な2チップのミリ波センシング…

  • 車載レーダ・システムが24GHzから77GHzに移行している理由

    最近、新しいモデルの自動車を運転した方なら、自動緊急ブレーキ、クロス・トラフィック・アラート、車線変更支援などの先進運転支援システムをおそらく利用されたことがあるのではないでしょうか。しかし、自動車がどのようにして、正面衝突を避けるために停止するタイミングを知るのか、考えたことがあるでしょうか。または、どのようなシステムが、目的の車線がふさがっているときにドライバーが車線変更するのを防いでいるのでしょうか。さらには、駐車スペースからバックで出るときに、自動車はどのようにして、他の車が近づいていることを知るのでしょうか。

    これらすべての質問で、答えの一部として含まれるのが車載レーダです。レーダは単純に、無線電波を使用して物体の距離、角度、および相対速度を決定する手段です。今日の車両安全システムでは、レーダをカメラ、超音波、その他のセンサとともに使用することで、車両の周囲に関する情報を取得します。高度な処理技術を使用してこのセンサ・データを統合することで…

  • 静電容量式と超音波式キック・オープン機能・センシングの比較

    最近、足をかざすだけでトランクが開くキック・オープン機能や駐車支援アプリケーションを見かけるようになってきました。これらの機能を実現するために、車載機器メーカーは静電容量式と超音波式の両方のセンシング方式を使用しています。パッシブ・エントリ/パッシブ・スタート(PEPS)システムの一部として組み込まれるこれらのセンサにより、スライドドアやハッチバック、トランクをハンズフリーで開けられるようになり、利便性が向上します。

    自動車の周辺環境の変化を検知する、これらの静電容量式と超音波式センシングにはそれぞれ利点があるので、それらを比較して見ていきましょう。

     類似性

      まずは類似性について見ていきます。接触せずに対象の有無を認識(非接触型検知)したい場合は、どちらの方式にも利点があります。静電容量式と超音波式は両方とも、隣接する対象を検知するために、発振(振動)波形を利用しています。振動は、静電容量式センシングにとっては隣接する対象物の影響を受ける電磁場の一形態である一方…

  • HEV/EV用バッテリでの電流センシングについて

    ハイブリッド車(HEV)やEVの主なエネルギー源はバッテリ(電池)ですが、バッテリの効率的な制御には、効率的なバッテリ監視システムが必要になります。バッテリ監視システムは主に、健全性(SOH:State of Health)と充電状態(SOC:State of Charge)を評価するために使用されます。SOHおよびSOCに関する詳細情報を得るためには、バッテリ監視システムに高精度のセンサを内蔵することが重要です。

    一般的なバッテリでは、電流、電圧、および温度センサによって以下のパラメータを測定しながら、バッテリを損傷から保護します。

    • (充電時に)バッテリへと流れる電流、または(放電時に)バッテリから流れる電流
    • パック電圧
    • 個々のセル電圧
    • セルの温度

    図1は、バッテリ制御ユニットのブロック図における電流センサの位置を示しています。

    1:バッテリ制御ユニットにおける電流センサの位置

    HEV/EV内のシステムの主なエネルギー源がバッテリであるとき…

  • ブラシ付 DC モータのリップル・カウンタが革新的なシート・ポジション・メモリ機能を実現

    家族や友人など、複数で1台のクルマを共有する場合、ドライバーはその都度、運転席のシートやハンドルの高さ、ハンドルやアクセルペダルからの距離、シートの背もたれの角度、バックミラーとサイドミラーの角度などを調整する必要があります。

    多くの高級車には、メモリ機能付きのシートおよびミラーが搭載されており、好みの角度や高さに調整した自分だけのシート・ポジションを記憶することができます。この機能があれば、ドライバーが変わるたびにシートやミラーを再調整する必要がなくなり、時間の節約ができます。

    過去のブログ記事「ドライバー・シートに革新をもたらす」(英語)では、小型のブラシ付DCモータが多くのシート調整軸を制御していることについて取り上げています。従来の技術では、シートの位置を計測するためにDCモータの筐体に取り付けられた磁気ホール効果センサを使用していました。まずモータ・シャフト内で磁気ポールを回転させ、センサが感知するための磁場を作り出します…

  • 大音量を楽しめるインフォテインメント・システム向け700W車載オーディオ・アンプ

    クルマの運転中に大音量で音楽を楽しみたい、というドライバーは数多くいることでしょう。図1の『700W車載用Class-Dオーディオ・アンプ』リファレンス・デザインは、最大700WのRMS電圧をサポートし、車内で大音量で音楽を聴きたい人のニーズを満たせる十分な電力を提供します。

    1:テスト済みの車載オーディオ・アンプ・システム

    このデザインの主電源は、マスタ・スレーブ方式の2つの『LM 25122-Q1』昇圧コントローラを備えた二相交互同期昇圧コンバータで構成されています。この回路は、2つの『TPA 3251』350W高性能Class-Dアンプを提供します。この昇圧コンバータは9Vから12Vの入力電圧範囲を持ち、最大20Aの負荷電流で36Vの出力電圧を生成します。最小6Vの入力電圧でも動作しますが、その際の出力電圧は約半分に抑えられます。

    TPA 3251』アンプ段の一つは、車内の左右に搭載されたスピーカーに信号を送り、チャネルあたりの最大出力は175W…

  • デジタル・コックピットへの道のり

    ナビゲーションやインフォテインメント・システムが導入される前の自動車は、A地点からB地点に行くのに自分の記憶を頼りにせざるを得ず、車内のエンターテインメントといえばAM/FMラジオしかありませんでした。ダッシュボードには、走行速度を示す速度計と、ガソリンの残量を示す燃料計ぐらいしか計器類は備わっていませんでした。

    過去から今日まで話を進めると、私たちのライフスタイルにおいてインターネット接続がますます進み、クルマのエンジンをかけたらすぐにネットに接続できるようなシステムを完備できるよう、自動車メーカーも昼夜取り組んでいます。

    1:典型的なデジタル・コックピット応用例

    最新の自動車のデジタル・コックピットではすでに、この技術の影響の大きさを垣間見ることができます。(図1)

    中央の高精細ディスプレイに表示される、3Dナビゲーション及びマルチメディア・システムを備えたインフォテインメント・システム

    統合周辺ビューおよびドライバー…

  • TI ミリ波センサを通じて自動車に先進ビジョンを導入

    先進運転支援システム(ADAS)は、この5年で、適応型クルーズ・コントロール(ACC)などの快適化機能から緊急ブレーキなどの安全性を実現する機能、歩行者検知や360度センシングのような最新アプリケーションまで、急速な進化を遂げています。これらのアプリケーションを実現していた以前のミリ波センサはすべてがディスクリート・センサであり、トランスミッタ、レシーバ、処理部品が個別のユニットとして使用されていました。このため、ミリ波センサの設計プロセスが複雑化した結果、大型でかさばるものとなっていました。

    従来型のシリコン・ゲルマニウム(SiGe)ベースのセンサ・テクノロジというトレンドを断ち切ったTIのRFCMOSベースのレーダ・センサは、デジタルとアナログを高いレベルで融合することにより、高出力電力、低消費電力(市販されている既存のソリューションに比べて50%低い)、低位相ノイズを実現しています。この結果、高精度かつ超高分解能のセンシングが可能になり…

  • 車載インフォテイメント・プロセッサ向けsub-20W CISPR25 Class 5パワー・デザインを開発

    ネットワークに常時接続している環境では、自動車のドライバーや同乗者は従来のラジオやヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)を介して、道路の混雑状況や潜在的な危険性に関するリアルタイムな情報にアクセスしたいと思っています。同時に、GPSやスマートフォン、タブレットPCのようなコネクテッド・デバイスを何にも干渉されず使用したいとも思っています。そのため、電気および電子システムを閉鎖された空間に設置する際に起こる電磁干渉(EMI)がこれらのデバイスに影響を及ぼさないことが重要になります。

    EMI準拠は、最新の車載システムの開発に取り組んでいる多くの大手自動車メーカーにとって重要なテーマです。その要件は厳しく、CISPR 25 Class 5のような規格に準拠する必要があり、準拠していないシステムの多くは販売できないのが現状です。

    システムのEMI測定の水準に開発者の注意が向くのは多くの場合、設計と評価の後期段階であることから、EMI問題が発覚するのは全ての部品を選定し…

  • 双方向コンバータによる制御手法の選択

    最近、マイルド・ハイブリッド電気自動車では、48Vと12Vのデュアル・バッテリ電源システムが一般的になってきました。自動車のダイナミックな動作条件では、これら2本のバッテリ・レール間で最大10kWの電力交換が必要になることもあります。走行中の自動車のあらゆる種類の動作シナリオに対応し、電力フローを双方向にリアルタイムで制御しなければならないため、動作はやや複雑になり、デジタル制御手法による知的な機能が必要です。このため、48V-12V双方向電力コンバータの開発を開始した主要な自動車メーカやTier 1サプライヤ各社の多くは、完全デジタル制御手法を採用しています。

    完全デジタル・ソリューションには、電流センス・アンプ、パワーMOSFETのゲート・ドライバ、モニタや保護のための回路など数多くのディスクリートのアナログ回路が必要であるため、高価になってしまいます。また、ディスクリート・ソリューションはプリント基板に多くの構成部品が実装されるため体積も大きくなり…

  • 車載デュアル・バッテリ・システムの48V レールと12Vレールを相互接続

    主としてCO2(二酸化炭素)排出削減に関する政府の規制によって、自動車業界の電子化がこれまでになく急速に進んでいます。欧州連合は、2020年には新型車両のCO2排出を95g/kmまで削減する目標を掲げており、中国ほかの国々も、同様の規制を制定しつつあります。自動車メーカ各社は、これらの標準規格に適合するため、通常の12V車載バッテリに、二次の高電圧バッテリを追加したマイルド・ハイブリッド電気自動車 に移行しつつあります。

    既に、ドイツの複数の自動車メーカは48Vバッテリを中心としたシステムの定義や構築を開始しています。48Vバッテリは、普通の12Vバッテリよりも低い電流で高電力を供給でき、性能を低下させずに配線ハーネスを軽量化できます。この開発から、車載デュアル・バッテリ・システムの優勢な開始点としてLV 148標準規格が制定されました。デュアル・バッテリ・システムの最上位レベルのブロックの例を図1に示します。 

    図1: 車載デュアル…

  • ADAS/自動運転向けにスマート・センサの動作状態を監視するIC

    増加している車載用カメラ、レーダ、およびその他の高速センサ・モジュールのネットワークの動作状態を監視することは、ますます複雑になってきています。プロセッサを内蔵しているスマート・センサが自らの動作状態を管理できますが、ローデータ・センサはこの作業を実行するためのマイコンを内蔵していない場合が多いです。このため、中央電子制御ユニット(ECU)のプロセッサがすべてのセンサを個々に監視しなければならなくなります。

    しかし、ローデータ・センサをよりスマートにすることができます。スマート・ヘルス・モニタリング機能をSerDes(シリアライザとデシリアライザ)リンク・チップセットに集積すると、CPUが動作状態を知るためにセンサを常にポーリングする必要がなくなります。この記事では、その実装方法について紹介していきます。

    マルチセンサのADAS(先進運転支援システム)
     次世代のクルマは、ローデータを収集する10数個のリモート・センサを搭載すると思われます…

  • 電気自動車システムに搭載される補助モータ製品 パート3

    三相インバータのスイッチングは、最小限の電流で必要トルクを得て最大限の効率を達成すると同時に、モータのトルクや速度の安定化のためにデジタル・ロジックで制御する必要があります。通常、これにはマイコンを使用します。限られたデジタル資源(非常に小型のプログラマブル・マイコンやハード・コードASIC)を使った6ステップ(台形波形)の通信制御手法を使った BLDCモータ の制御では、モータにホール・センサを使うことは、合理的で率直なやり方です。

    この6ステップの手法には、トルクの非効率性に関連する、いくつかの制限があります。

    • 6ステップの台形スイッチングでは、ステータ(固定子)の磁界を、6方向のうち1方向にしか発生しないが、一方、一定速度で移動するロータの磁界に同期して、特定の方向でステータの磁界を発生できれば、モータ効率は最大化できる
    • これらの6種類の状態の間でスイッチングすることで、瞬間的に減少し、その後補正されるトルク…
  • 電気自動車システムに搭載される補助モータ製品 パート2

    このブログ記事のパート1 では、EVの補助モータ・システムについて説明しました。これらのほとんどは低電圧で、低レベルから中レベルの消費電流のブラシレス三相DCモータであり、正しい専門知識があれば、機械的なロータ位置を磁気センサなし(センサレス)で制御可能です。これらの三相モータは、DC電源とGNDを3個の並列のレグ(ハーフブリッジ)により切り換える機能を持つ三相インバータで駆動します。モータの各相は各レグの中点につなぎ、直流電源Vdcとグラウンドの間で、相に電流を流せるようにします。

    インバータ・システム内で三相モータの各相を駆動する部品は、複数のMOSFETです。図1に示すように、6個のMOSFETをトーテムポール接続し、3個のハーフブリッジ回路で、各相のコイルをDC電圧とグラウンドに切り換えます。 

    1: 統合型三相ゲート・ドライバ(DRV 8305) と外付けFET 

    低電圧MOSFETと異なり、高電圧/高電流のFETはマイコンで直接駆動できません…

  • 電気自動車システムに搭載される補助モータ製品 パート1

    EV(電気自動車)は、膨大な種類の製品で構成されています。EVは駆動システムに電気モータを使う輸送手段であり(ハイブリッド車は電気と内部燃焼システムを使います)、より広い定義では、電気推進システムと非電気推進システムにおいて、油圧やエンジンからのベルト駆動のシステムを電気モータに置き換えた、「電化」という言葉に拡張できます。この電化は、しばしば、バッテリ管理、バッテリ充電(車内または、車外の充電ステーション)、再生/回復充電、DC/DCコンバータやDC/ACインバータなどの、電力変換サブシステムの需要を生み出します。

    このブログ記事では、モータ制御サブシステムに注目します。EVに対する最初のイメージは、大型車、バスや自動車隊向けの、数kWのAC(非同期誘導、または永久磁石同期モータ)による驚異的な駆動(牽引)モータが、内部燃焼の代替えまたは補助となる動力の源でした。これらの牽引モータは、小さな電気カートに使われる小型の製品も含めて…