• ドライバーレス・カーに不可欠となる透明ウィンドウ・ディスプレイ

    現在は、ドライバーは他のドライバーや歩行者に、ライトを使って合図したり手振りをしたりするなどのさまざまな方法で意図を伝えています。しかし、車からドライバーがいなくなったらどうなるのでしょうか。

    自動運転車が現実化しつつあるということは、車に関する大事な情報を他のドライバーや歩行者に伝えるために使っている合図を、車と人間がやり取りしやすいように拡張する必要があることを意味します。ドライバーレス・カーには情報や意図を伝えるためのより効果的な方法が必要となり、ディスプレイ・テクノロジーが車とその周辺との間に不可欠なインターフェイスとなっていきます。

    現在の車には多種多様なディスプレイがありますが、車の周辺の世界とやり取りをする目的で設計されている、またはその機能があるものはほとんどありません。しかし、透明なウィンドウ・ディスプレイならその課題に対応できるでしょう。 自動運転車と同じ道路を走るドライバーならびに歩行者や自転車に乗った人がその意図を理解できるようにするために…

  • 車載ヘッドライトのLEDドライバを柔軟に設定する方法

    電子技術の進化により、車載フルLEDヘッドライトの機能を制御するための電子制御ユニット(ECU)が必須となっています。ECUは、ハイビーム、ロービーム、昼間走行灯、車幅灯、方向指示器、フォグ・ライトといったヘッドライト機能のためのLEDドライバで主に構成されます。この技術記事では、柔軟な設定が可能なLEDドライバを使用する利点について説明します。

    LEDが初めに車載ヘッドライトに使われるようになったときは、LEDドライバに接続されたハイサイド・スイッチが、それぞれのヘッドライト機能の該当のLEDを駆動していました...

  • 半導体技術が変える車載照明のロードマップ

    Other Parts Discussed in Post: TPS92520-Q1, TCAN1044-Q1

    アダプティブ・ヘッドライト・システム | リア・ライトのアニメーション | パーソナライズされた車内照明 | カスタマイズされた明るいパドル・ライト | 透明ウィンドウ・ディスプレイ

    車載照明は、驚くべき速さで進化し続けています。LED光源により、効率の改善と独自な車体デザインが可能になってきており、OEMは斬新かつ有用なライティング用途の実現に取り組んでいます。この技術記事では、ヘッドライト、リア・ライト、車内照明システムのロードマップに影響を与えている半導体技術のいくつかに注目したいと思います。

    アダプティブ・ヘッドライト・システム

    アダプティブ・フロント・ライト・システム(AFS)とアダプティブ・ドライビング・ビーム・ヘッドライト・システム(ADB)は、それぞれロービームとハイビームの形状を調整する技術です…

  • 車載ライティング・ソリューションの機能を高める新しいLEDドライバ

    Other Parts Discussed in Post: TPS929120-Q1

    車のリア・ライト・システムは、単なる減速の合図から、自動車ブランドの象徴を表すものへと、進化を続けています。 自動車メーカーの独自設計に対応しながらも、合図としての機能は保っていなければなりません。この記事では、リア・ライト・システムのトレンドと、トレンドにより生まれた課題、そしてこのような課題に対処できるTIの新しいLEDドライバを詳しく解説します。

    トレンドの1つ目は、ブランド・アイデンティティを象徴的に見せる...

  • TIのミリ波テクノロジーを用いた車内用センシング

    以前の記事では、幼児置き去り検知、乗員検出、侵入者検出などの車内用センシング・アプリケーションにおける、TIの77GHzミリ波(mmWave)センサの使用についてご紹介しました。

    幼児置き去り検知の必要性はEURO NCAPのロードマップ上に規定されており、各車両メーカーにこの機能の提供を促しています。幼児置き去り検知機能が加われば、車内に残された子供を検出してドライバーに警告するという問題の解決に役立ち、車両の全体的な安全性評価が高まります。車両メーカーは、TIのミリ波テクノロジーを使用することで、幼児置き去り検知システムに加え、乗員のバイタル・サイン検出によるドライバーの健康状態監視、車両衝突時のエアバッグの展開、乗員へのシートベルト着用警告などの付加機能を設計できます。これらは存在の検出をカメラに頼らないため、乗員のプライバシーを保護できます。

    TIの各種ミリ波デバイスは、高性能を提供しつつ、低コスト、低価格でこのようなアプリケーションに対応するために有効です…

  • コネクテッド・カーに関するよくある3つの質問

    コネクテッド・カーによる走行は、試験的には行われているものの、実用化にはまだ時間がかかると思われます。将来、自動車は運転者、他の車、道路などの周辺インフラ、歩行者、クラウドなどと常時接続された状態で通信を行うようになります。このような接続環境の向上にともない、車は車内および外部との間でデータの受信、解釈、送信ができるようになります。また、運転の判断に役立つ情報が提供されたり、車の運転が楽になったりするだけでなく、自動運転の性能も向上します。ここでは、コネクテッド・カーに関する一般的な質問を3つ取...
  • コネクテッド・カーにおけるテレマティクス・ハードウェアの設計上の4つの検討事項

    20年近く使われているテクノロジーがコネクテッド・カーへの道を切り開いたことには、驚かされるかもしれません。eCall(車両緊急通報)は、ハイテクの標準としては古いものですが、今年3月、EUは全新車にeCallの搭載を義務付けました。この法律はテクノロジーと法令が交差した一例にすぎません。この両者のデリケートな関係により、100%コネクテッド・カーの実現までに要する時間が決まるかもしれません。

    eCallは、最も基本的な定義によれば、緊急時に救援を求めるために自動発信できるベーシックな車載携帯電話で、市場には1990年代から存在するテクノロジーです。消費者は将来に向けて、より高度な統合を望んでいますが、TCU(テレマティクス制御ユニット)はそこで役立ちます。

    TCUは、eCallの全機能に加え、位置情報、無線経由でのアップデート、音声通話といった各種データの送受信を含む追加機能をコネクテッド・カーに提供します。TCUがなければ、eCallは通報しか行えません…

  • コネクテッド・カーの進化

    20191月更新

    シリコンバレーのスタートアップ企業からドイツの定評あるOEM企業まで、全世界のドライバーや自動車ファンは、コネクテッド・カーの将来がどうなるのだろうかと考えています。毎日の通勤がどう変わるのか?いつ路上で5G機能が提供されるのか?自律車両ではコネクティビティはどのように動作するのか?これらはどれも良い質問ですが、未来にならないと答えは出ません。

    ヒントの1つは、テレマティクスの進化にあります。それを今日の市場についてわかっている事柄と関連付ければ、さまざまな可能性に思いを巡らせて楽しむことができます。それでは見ていきましょう。

    テレマティクスの進化

    2000年代の初めに、eCallが突如として現れ、安全性と緊急時の援助を提供する一方、パーソナル・ナビゲーション・システムが運転手に行先を案内するようになりました。このテクノロジーは主にヨーロッパでは欧州委員会E112、ロシアではERA-GLONASS、米国ではE911として推進されました…

  • カー・アクセス・システムの進化を切り拓くPEPS技術

    他の用途で幅広く使用されている技術を設計エンジニアが活用することにより、カー・アクセスはさらに利便性の高いものとなっています。自動車業界は、車両のロックを解除する機械的なカギを提供するところから、ボタンで車両のロックを解除できるキー・フォブを提供するまでに進化してきました。現在、最も普及しているカー・アクセスの形態は、パッシブ・エントリー/パッシブ・スタート(PEPS)システムを中心とするものです。このシステムでは、カギを物理的に使用することなく、自動車に乗り込み、さらにエンジンを始動することも...
  • パッシブ・エントリ/パッシブ・スタート(PEPS)車載システムに通信バス・アーキテクチャを追加する

    Other Parts Discussed in Post: TCAN4550-Q1

    BLE(Bluetooth® Low Energy)を使用するパッシブ・エントリ-パッシブ・スタート(PEPS)車載システムでは、ドライバーが車の鍵の代わりに、車のアクセス・システムと通信を行うリモコン・キーを使って車に乗り、電気モーター(内燃エンジンの場合はエンジン)を始動します。ここでは、車載PEPSシステムに利用される通信バス・アーキテクチャの選択から実装例までをご紹介します。

    図1は、車に搭載されるBLE PEPSの一般的なアーキテクチャです。このアーキテクチャは、中心になるスマートキー・モジュール1個と、サテライト・モジュール9個で構成されています。ここでは1つの例としてサテライト・モジュールを9個としていますが、実際に搭載されるサテライト・モジュールの数は異なります。図1からは、これらのモジュールが通信バスを利用して通信を行うこともわかります…

  • EVの未来を現実にするテクノロジー

    近年、食品スーパーやホテル、ショッピングセンターに数台まとまった形で、公共の電気自動車(EV)充電ステーションが設置されてきています。世界の主要都市に、駐車しながら充電ができるスポットがインフラとしてパッチワークのように存在します。しかし、今後10年でEVを運転する人口が世界中で増加すると、もっともっと多くの充電ステーションが必要になります。

     ある予測では、2030年までには路上を走る1.2億台のEVに対応するために、米国、ヨーロッパ、および中国で充電機器が4千万台、設備投資額にして500億ドルが必要になると予想されています1。米国のみでは、現在は公共および民間のEV充電ステーションは56,000台以下しかありませんが、2030年までには1,300万台必要になる予想です2

     内燃エンジンが支配する時代がもう長くはないとしたら、現在でももっと多くのEVが路上を走っているのを見かけるはずです。しかし、グローバル・マーケットは簡単にはスイッチが入りません…

  • イメージング・レーダー:自動運転の広範なニーズを単独で満たすセンサ

    自動車には主として3タイプのセンサ(カメラ、レーダー、LIDAR)が搭載されており、それぞれ役割が異なっています。各センサの役割について、また先進運転支援システム(ADAS)および自動運転のセンシング・ニーズを各センサがどのように解決できるかについては、業界内で今も混乱があるようです。

    筆者は友人マットと興味深い会話をしました。彼は、私がADASシステムや自動運転車で使用されるTIのミリ波(mmWave)センサの仕事をしていることを知っているため、さまざまな運転状況において自動運転車がどのような性能を見せたかという記事を読むと必ず私にちょっかいを出してきます。今回は、障害物の検出性能が話題になりました。彼との会話の一部を紹介します。

    マット:「その車がLIDARを搭載していたら、車線の真ん中にあった物体を簡単に検出できたと思うんだが」

    筆者:「僕はそう思わないよ」

    マット:「えっ、どうして。その車にはカメラ・センサとレーダー・センサが搭載されていたにもかかわらず…

  • ADAS設計で高度な安全性を実現する診断機能の役割

     自動車業界がより高度な自動運転機能を推進するにつれて、高度な安全性要求レベル(ASIL)に対応した先進運転支援システム(ADAS)の必要性も高まっています。最近までのADAS機器は、視認性を向上させたり、危険な状況に陥りそうな際、ドライバーへ警告したりするために使われることがほとんどでした。しかし、今では最新の車の多くが、停止している車に後ろから衝突することを防いだり、意図せず走行車線からはみ出すことを防止したり、前を走る車と安全な車間距離を維持したりできるようになっています。このようなADAS機能は、緊急ブレーキ、車線維持支援、車間距離制御として認識されています。

    車載機器の設計では、さまざまなシステム障害への対処は目新しい問題ではありません。しかし、車が障害を検知して特定し障害にも耐える能力となると、ADASの中でもかなり新しい課題です。自動運転レベル0からレベル1やそれ以上へと車が進化するにつれて、自動運転におけるシステム全体の安全目標を達成するために…

  • ASILの機能安全目標を達成するために電圧リファレンスとスーパーバイザが果たす役割

    安全性に関連する多数の車載システムは、ISO(国際標準化機構)26262で規定された安全性要求レベル(ASIL)に適合することが求められます。よくある誤解が、ISO 26262規格に則って開発されたものではないICは、機能安全目標を達成するのに使用することができないというものです。実際には、多くの自動車OEMが、ASILに非準拠の半導体デバイスの機能や信頼性を利用して、ASIL要件を目指すシステムを開発することができています。この記事を読めば、電圧リファレンスとスーパーバイザの両方が、車載システムのASIL準拠の達成にどのような役割を果たすかがわかるでしょう。

    電圧リファレンスとスーパーバイザ

    電圧リファレンスやスーパーバイザ(リセットIC)などのデバイスは、車載システム・インテグレータが機能安全システムを開発する際に、よく利用する半導体デバイスです。車載用アプリケーションでは、これらのデバイスは診断や二重化監視の機能を果たします…

  • ハイブリッド車と電気自動車の監視と保護に関する8つの疑問

    CO2排出量の削減には電化がもっとも有効な方法であるとわかっていますが、図1に示すように、車内の電圧が高くなるにつれ、監視および保護のサブシステムの重要性も増していきます。このシステムの進歩により、ハイブリッド電気自動車/電気自動車(HEV/EV)を短期間に開発できるようになるとともに、走行時間を最大限に延ばし、利用者の安全を維持できるようになってきました。バッテリ管理システムトラクション・インバータ・システムの監視と保護について、8つのよく寄せられる疑問を見ていきましょう。 

     図1:ハイブリッド車から電気自動車への段階

    1. HEV/EVの走行距離や走行時間を延ばすために、どうすればエネルギー密度とシステム効率を高めることができますか?
    サイズを変えずに電力出力を2倍にすると、大幅なコスト削減になり、高速充電にも効果があります。これを実現するには、パワー・コンバータ(OBCまたは高速DCチャージャーのPFC段とDCDC)を高速なスイッチング周波数で動作させます…

  • ドライバー監視システムで衝突防止を支援する方法:パート2

    ドライバー監視システム(DMS)は、自動車のステアリング・システムと制御システムへのリアルタイム・フィードバックを強化します。詳細は、ブログ記事「ドライバー監視システムで衝突防止を支援する方法:パート1」で説明しています。しかし、設計者がこの技術を自動車に取り込もうとする場合には、複数の重要な設計に関する検討事項があります。

    一般的に、最適な画像品質のために光源が調整されているような管理された環境向けにシステムを設計する場合は、設計の問題は簡単になります。DMSプラットフォームのサイズやフォームファクターは重要な制約条件ではありません。また、電力消費や放熱にも厳密な制限はありません。DMSで設計する場合、最初に検討すべき事項は、堅牢性とシステムで使用されるアルゴリズムの精度です。

    自動車の室内は合理的に定義されている環境であると考えられそうですが、現実はまったく違います。実際には、自動車の室内は予測ができない環境です。一般的な制約条件として…

  • ドライバー監視システムで衝突防止を支援する方法:パート1

    ドライバーは、長距離の運転の際に、配偶者に休憩が必要かどうかを訊かれたり、友人に運転を代わらなくても大丈夫か尋ねられたり、仲間から前方の危険について警告されたりするなど、何らかの形でモニタリングを体験しています。仲間が障害物や危険性について警告してくれることは非常に便利ですが、車内の他の人によるドライバー監視は現実的ではありません。しかし、重大な失敗を冒しそうな注意散漫なときには、事故につながる恐れがあります。

    欧州新車評価プログラム(NCAP)2025ロードマップ・レポートによると、年間交通事故の推計90パーセントは人的ミスが原因でした。このレポートは次のように続いています。「通例、2種類の人的ミスが見られ、1つは、速度や、飲酒などの交通違反、もう1つは、不注意、疲労、注意散漫というドライバーの状態や経験不足によるものです。高齢化社会では、病気による突発的な運転不能も事故の原因として増えています。」

    機械ではなく、ドライバーのミスが自動車関連の事故の主な原因であり…

  • CHMSL:第3のブレーキ・ライト

    CHMSLとは、センター・ハイマウント・ストップ・ランプ(center high-mounted stop lamp)の略称です。自動車の場合、CHMSLは左右のブレーキ・ランプの上に取り付けられています。米国国家道路交通安全局(NHTSA)によると、CHMSLは、ブレーキが踏まれたときに、後続のドライバーに対して速度を落とす必要があることを、視認性の高いメッセージとして伝えます。CHMSLは左右のブレーキ・ランプに加えて取り付けられているため、「第3のブレーキ・ランプ」とも呼ばれています。ピックアップ・トラックなどの一部の自動車では、ブレーキ・ランプの機能に加えて、バック・ランプの機能もCHMSLに統合されています。

     ディスクリート部品を使用したCHMSLの実装

    近年の自動車では、CHMSL内の光源の大部分は発光ダイオード(LED)ストリングがベースになっています。トラジスタベースの回路によってCHMSLのLEDストリングが動作します…

  • 車載照明のディスクリート・ソリューションに別れを告げる時

    自動車メーカーは、従来のフロントおよびリア・ライト、昼間点灯ライト、ストップ・ランプおよび方向指示灯にとどまらず、市場において自社の車の差別化を図るために発光ダイオード(LED)を使用しています。LEDは今や、サイド・マーカー、ナンバー・プレート、ブランドのロゴ、ウェルカム・ライト、アンビエント・ライトにも使われています。

    これらのLEDを駆動するには、次の点を考慮します。

    • 電流の精度:LEDの均質性が向上
    • LEDの輝度の変化:ある種の調光機能が必要
    • LEDの開放/短絡の診断と保護・過熱保護:自動車の安全性が常に最重要
    • エネルギー効率を向上させる方法

    従来、LEDはディスクリート・ソリューションにより、駆動されてきました。図1に代表的なオプションを3つ示します。オペアンプ(オプション1)、自動車用バッテリに直接接続して電力供給されるバイポーラ構成(オプション2)、ある種のシャント・レギュレーション(オプション3)です。

     図1…

  • DLPテクノロジを用いた高解像度アダプティブ・ヘッドライトの開発

    ヘッドランプでまぶしさを抑えたハイビームを実現するために、設計者は、ピクセル・レベルのデジタル制御を使用できるようになりました。

    従来では、一般的な自動車のヘッドライトは、暗い状況や悪天候でのドライバーの視認性を高めるため、自動車の前にある物体のみを照射していました。ハイビームは長距離で幅広いアングルに照射し、ロービームは車両前面の近距離の道路を照射します。しばらくはそのような方法でしたが、ヘッドライト・システムには新しい技術進歩による大きな変革がもたらされています。

    1950年代の米国では、自動車メーカーは車両前面に2つのシールドビームを採用し始め、最終的にハイビームとロービームの両方を備えた自動車に進化しました。そして2018年には、さらに複雑なヘッドライト・システムが自動車に採用されています。発光ダイオード(LED)の光源が従来のハロゲンやキセノンの電球に取って代わっています。自動車メーカーが、進歩のない白熱電球からダイナミックでスタイリッシュなLED照明に移行したように…

  • 自動車産業を牽引する2019年のトップ・トレンド

    100年以上も前に車が登場して以来、最も急激な変革期であるこの10年について考えてみるのは非常に面白いことです。自動運転車と電気自動車は勢いを増し続けていますが、2020年代の自動車は、2010年代のとはまったく異なるものになるかもしれません。

    2019年に自動車産業でイノベーションを推進する高度なテーマは4つあります。

    デジタル・コックピット


     

    車両の電化


     

    コネクテッド・カー


    自動運転


     

    デジタル・コックピット
    ドライブ体験の向上は運転席から始まります。ドライバーは運転席に座り、中央コマンド・センターであるデジタル・コックピットを統括します。 

    • Harvard Health Watchによると、ドライバーが一生のうちでハンドルを握っている時間は38,000時間にものぼることがあります。車に乗っている人は、近い将来では運転していたり、遠い未来では自動運転車の中でくつろいでいたりするでしょうが…
  • EMI性能の向上に有効なマルチチャネル降圧コンバータ・レイアウトはどれか

    設計者は、多数の電源レールをサポートする車載機器システムに複数のDC/DC降圧コンバータをよく使用します。しかし、そのようなタイプの降圧コンバータを選ぶときには考慮すべき点があります。例えば、AMラジオ帯域との干渉を避けるために、車載インフォテインメント/ヘッド・ユニット用に(2MHz以上で動作する)高スイッチング周波数のDC/DCコンバータを選ばなければなりません。また、比較的小型のインダクタを選んで、ソリューション・サイズも小さくする必要があります。それに加えて、高スイッチング周波数DC/DC降圧コンバータは入力電流リップルの低減にも役立ち、入力電磁干渉(EMI)フィルタのサイズが最適化されます。

    しかし、自動車に最新システムを組み込もうと試みる主要な車載機器ODM(Original Design Manufacturer)にとって、決められたEMI規格に準拠することが絶対に必要です。この要件は非常に厳しく、製造業者はCISPR…

  • DC/DCコンバータのパッケージおよびピン配置設計により車載EMI性能を強化する方法

    DC/DC降圧コンバータや昇圧コンバータの電磁干渉(EMI)の削減を図る上で、プリント基板(PCB)のレイアウトが鍵となることはよく知られていますが、非常に低いEMIが求められる車載用ゲートウェイ・モジュールレーダ・センシング・システムなどの車載用アプリケーションでは特に重要です。

    図1の回路図は、同期整流降圧コンバータ回路の2つの重要なループを示しています。レイアウトの電源ループ領域の大きさは寄生インダクタンスとそれに関連する磁界の伝播に比例するため、最小限に抑えることが必須となります。

     図1:同期整流降圧コンバータの簡易回路図と、EMIに関連する重要なループおよびパターン

    同じく重要なのは、図1に示すブート・コンデンサのループです。オプションの直列昇圧抵抗RBOOTがハイサイドMOSFETのターンオン速度を制御しています。昇圧抵抗によってゲート駆動電流プロファイルの速度が遅くなるため、MOSFETのターンオン時のSW電圧および電流スルー…

  • AR HUDにおける太陽光負荷モデリングの重要性

    現在、拡張現実(AR)ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)の応用例として、パイロットの視線上に重要な情報が豊富に映し出されるジェット戦闘機があげられますが、自動車についても、運転する上で重要な情報を現実世界に重ね合わせるARディスプレイは、運転体験をまったく変えてしまうものです。自動車を取り巻く環境では、基本的な警告音やマークを出す代わりに、運転手の視線上に直接グラフィック表示を映して情報を伝えたり視野内の危険性を特定したりすることで、運転者が速やかに行動を起こせるようになるでしょう。このグラフィック表示は、周りに合わせて自然に現実世界を拡張したように表現されます。これは、現在のHUDに見られるような、単に情報を映す二次的ディスプレイとは異なります。

    以前のブログ記事でも紹介したように、太陽放射照度はAR HUDを設計する上で大きな課題です。従来のHUDとは異なり、AR HUDの視野は広く、仮想イメージ距離が長くなり、さらに車体センサのデータをHUDディスプレイにリアルタイムで統合することが求められます…

  • コネクテッド・カーとのテレマティクスの進化

    未来の自動車を想像した場合、おそらくみなさんは自律走行を思い浮かべるでしょう。しかし、私たちの運転の習慣が変わったときに、乗員としてはどのような変化があるでしょうか。両手が自由になり、両足もリラックスさせることができるでしょう。毎日の通勤は、単調で退屈なものから、罪悪感を抱かずに仕事をしたりビデオ・チャットやコンテンツのストリーミングを楽しんだりできする時間に変わるでしょう。

    これはコネクテッド・カーにおけるテレマティクスの1つの未来像にすぎず、可能性は無限です。テレマティクスの将来の姿を知るためにも、現在のテレマティクスについて見ていきましょう。

    テレマティクスの進化

    2000年代初頭に、eCall(自動緊急通報システム)が登場しました。eCallは、安全性と緊急時の支援およびナビゲーション機能を提供するシステムで、ドライバーや同乗者をサポートする次世代テレマティクス・サービスとして大いに期待されています。この技術は主に、欧州のEuropean…