シグナルチェーン・ノイズやアナログ/デジタル変換に対する影響、およびその影響を最小限に抑える方法についての理解は、すべてのアナログ設計者にとって基本的な知識と言えます。
この「信号の分解」シリーズは、デルタ-シグマADCのノイズに関し、包括的な理解を提供することを目的としています。代表的なシグナル・チェーンの一般的なノイズ源を調べ、ノイズを低減して高精度の測定を維持する手法を、全12部にわたり解説します。
<デルタ-シグマADC内のノイズの概要>
・第1部
ADCノイズの基本を重点的に見ていきながら、以下のようなトピックに関する疑問に答えて、詳しく説明していきます。
- ノイズとは何なのか?
- 代表的なシグナルチェーンにおいてノイズはどこから発生するのか?
- ADC内の固有ノイズの把握
- 高分解能ADCと低分解能ADCではノイズにどのような違いがあるか?
・第2部
ADCノイズの測定、ADCのデータシートにおけるノイズ仕様、絶対ノイズパラメータ-と相対ノイズパラメータ-の比較といったトピックを取り上げて、基本的なADCノイズを説明していきます。
・第3部
第1部と第2部で得られた理論的な理解を現実の設計例に当てはめていきます。「自分の設計に本当に必要なノイズ特性は何か?」といった問いの答えに必要な知識をつけてもらい、次のアプリケーションでは自信を持ってADCを選択できるようになることが目標です。
<高精度デルタ-シグマADCの 有効ノイズ帯域幅(ENBW)の理解>
・第4部
アナログ/デジタル・コンバータ(ADC)のノイズを把握するのは、経験豊富なアナログ設計者であっても難しいものですが、シグナル・チェーンの有効ノイズ帯域幅(ENBW)を用いれば、この作業が簡単になります。第4部では以下のような基本的なトピックを主に扱います。
- ENBWとは
- ENBWが必要な理由
- システムのENBWの要因
・第5部
第5部でも引き続き2段フィルタを使用したシンプルな例を説明しながら、ENBWの算出方法やシステム変更がENBWに与える影響について理解できるように、デルタ-シグマA/Dコンバータ(ADC)やシステム・レベルの設計と絡めてENBWを考察していきます。
<デルタ-シグマADCでのアンプ・ノイズの影響>
・第6部
出力換算ノイズと入力換算ノイズ、ADCの入力にアンプを追加、低分解能ADCと高分解能ADCの比較といったアンプ・ノイズに関連したトピックを中心に説明していきます。
・第7部
高分解能ADCに高ゲインの外部アンプを組み合わせるときは、アンプのノイズ特性を慎重に検討する必要があることが第6部でわかりました。この説を実証するために、第7部では、アンプが異なると同じ高分解能ADCのノイズにどう影響するのか、設計例を用いて分析します。
・第8部 デルタ-シグマADCでの電圧リファレンス・ノイズの影響
さまざまなノイズ源が高精度デルタ-シグマADCに与える影響をより深く理解するために、電圧リファレンス・ノイズに関連する次のトピックを取り上げます。
- リファレンス・ノイズとADCノイズ
- ゲインがリファレンス・ノイズに与える影響
・第9部 デルタ-シグマADCでの電圧リファレンス・ノイズの影響
システム全体でこの影響を低減するための方法をいくつか分析し、リファレンス・ノイズについての説明をまとめていきます。低分解能ADCと高分解能ADCに対するリファレンス・ノイズの影響の違いも考察します。
クロックが高精度ADCにどう影響するかを深く理解するために、クロック信号に関連する以下のトピックを取り上げます。
- クロック・ジッタ
- クロック相互変調
- クロックに関するプリント基板(PCB)レイアウトのベスト・プラクティス
・第11部 電源ノイズがデルタ-シグマADCに与える影響の理解
これまでA/Dコンバータ(ADC)の外付けあるいは内蔵のアナログ部品から生じるノイズに注目してきましたが、11部では電源に起因するノイズについて以下の点を分析していきます。
- 電源ノイズの種類と発生源
- 電源ノイズ除去の測定と定量化
- ADCの電源それぞれのノイズがシステム性能に与える影響
・第12部 デルタ-シグマADCを使用するときの電源ノイズの影響の低減
高精度ADCの評価モジュール(EVM)を用い、第11部で述べた理論を実際例に当てはめると共に、電源ノイズを軽減する手法について説明していきます。
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