Recent Technical Articles
  • 組込みプロセッシング: 超低消費電力MCUによるスマート・センシング – 第1部:ガラス破損検出器

    今日の生活環境においては、検出および測定したい事象について、超低消費電力でより正確なデータを提供できる、スマートなセンサが必要となります。

    このシリーズでは、いくつかのスマート・センシング・アプリケーションと、それらの実装用プラットフォームとしてTIのMSP 430™マイクロコントローラ(MCU)を使用する方法について説明します。最初に紹介するスマート・センサは、ガラス破損検出器です。

    ガラス破損検出器は、ビルディング・オートメーションのセキュリティ・システムに使用されるセンサです。このセンサは、窓ガラスが砕けたり割れたりした場合にアラームを発します。一般的にはガラス製のドアや店先のガラス窓の近くに設置されます。

    ガラス破損検出器は、長年にわたって利用されているセンサです。このセンサでは、ガラスから発生するノイズや振動を監視するために、通常はマイクが使用されます。これよりシンプルな検出器では、単にガラスの破損に特有の周波数を持つ音を監視して…

  • 産業機器: TIエンジニアが生んだ、世界が注目するレゴ作品”BB-8”

    TIのエンジニア、マーク・スマイリー(Mark Smiley)の趣味は、映画『スターウォーズ』の鑑賞や、レゴ・ブロックで遊ぶことです。彼の勤務するDMOS5のデスクにはレゴで作った宇宙船が飾られ、自宅の部屋には数千のレゴ・ブロックを含む、たくさんのおもちゃで溢れています。このように遊び心を忘れない彼が映画『スターウォーズ フォースの覚醒』に登場したロボット、BB-8をレゴで作ろうと思い立ったのは自然なことでした。全てレゴでできたBB-8は頭部を常に上部に維持しながら、ボールのように転がることができます。このBB-8が動いている動画は、こちらのYouTubeでご覧いただけます。

    頭部が胴体と離れながら転がるロボットは子ども達には手品のように見えるかもしれません。その仕掛けは、頭部をバランスよく保つために埋め込まれた磁石にあります。マークは「アイデアのカギは重みのあるボールと磁石だったけれど、これを実際にレゴで作るとなると、なかなか大変だったよ…

  • アナログ: 完全統合型の信号・電源アイソレータを用いた低放射の実現

    Anand Reghunathan , Koteshwar Rao & Anant Kamath -2017年3月22日

    絶縁は、システムの2つの部分の間で信号・電力の伝達を許しながら、直流(DC)と不要な交流(AC)を阻止します。絶縁は、作業者や低電圧回路を高電圧から保護するほか、ノイズ耐性の向上、通信サブシステム間のグランド電位差の処理のため、ファクトリー・オートメーション、グリッド・インフラストラクチャなど広範なアプリケーションで使用されています。

    ほとんどの場合には、信号の絶縁とともに、絶縁型の電源が必要になります。このような電源は、フライバック、Fly-Buck、プッシュプルDC/DCコンバータを使用して絶縁トランスを駆動した後、2次側での整流によって作ることができます。しかし、現在では信号と電源両方の絶縁をワンチップ内に集約したコンパクトで効率の良い完全統合型ソリューションが提供されています。そのようなデバイスの概念ブ…

  • 電源 IC: 電力密度を向上するGaN半導体

    GaNデバイスは、MOSFETと比較して、より高速、より発熱が少なく、より小型のソリューションを提供する、高密度電力回路向けの新世代の半導体です。

    パワー・エレクトロニクスの世界は、1959年にベル研究所のダーロン・カーング(Dawon Kahng) とマーティン・アタラ(Martin Atalla)がMOSFET(金属酸化物電界効果トランジスタ)を発明したことで、その画期的発展の第一歩をしるしました。その5年後に、最初の商用MOSFETの量産が開始され、その後、数々の世代のMOSFETトランジスタによって、それまでのバイポーラ・トランジスタでは実現できない性能レベルと密度レベルを達成できるようになりました。

    しかし近年、これらの進歩は先細りになりつつあり、次の飛躍的なテクノロジが求められるようになりました。その中でGaN(窒化ガリウム)半導体が登場しました。

    ワイド・バンドギャップ・トランジスタ・テクノロジの一つであるGaNは…

  • 産業機器: ワイヤレス・コントローラの開発方法

    デジタルシステム教育研究(DSTR)ロボット・コントローラ・チュートリアル

    Texas A&M大学のMobile Integrated Solutions Laboratoryでは、学生が小型フォーム・ファクタのロボティック・プラットフォームであるDSTR Robotを開発しました。1年ほど前に、DSTR(Digital Systems and Research)は、月面からサンプルを採取する、将来の月面車になりうるとしてNASAの科学者の注目を集めました。NASAの科学者とTexas A&Mのチームは協力して、月面の砂や土を採取できる回転スコップを備えた制御可能なアームをDSTR向けに開発しました。この小型ロボットは、小質量、小型フォーム・ファクタ、月着陸船から離れたところでサンプルを採取できる点で注目を集めました。

    Texas A&Mチームは、DSTRで使用するための独自のコントローラを開発しました。このコントローラは…

  • アナログ: TINA- TI によるオペアンプ回路設計入門(第13回) - 入力/出力制限、レール・ツー・レール・オペアンプ

    このブログはアナログシグナルチェーンの基本素子とも言うべきオペアンプの基本理論と応用回路技術の習得を目的とします。本格的な電子回路シミュレーション・ツールである TINA-TI を自分の手で実際に動かすことで直感的な理解が得られるよう工夫しています。 今回は実践編として入出力制限とレール・ツー・レール・オペアンプを取り上げます。

    e2e.ti.com/.../TINA_2D00_TI_5F00_OPA_5F00_13_5F00_20170619.pdf← クリックしてダウンロードして下さい...

  • DLP®︎ テクノロジ: テレビの未来を見据えたレーザ技術

    技術革新とともに、テレビも技術的に進化を遂げてきました。次にはどのようなテレビが登場するのでしょう?誰もが大画面でテレビを見たいと考えますが、テレビ画面が大きくなりすぎたら、扱いづらく、動かすのも大変です。この2つの課題を解決するのが「レーザTV」です。

    レーザTVは、その柔軟性と移動性から人気が高まっています。このコンパクトなポータブル・デバイスは、100インチ以上のスクリーンを投影できる一方、部屋から部屋への移動も容易で、不要な時はしまっておくこともできます。

    レーザTVとは
    レーザTVは最先端のレーザ蛍光体技術を用いることで、明るく、色彩豊かな映像を投影し、最大2万時間以上使用することができます。レーザは低消費力性、低コスト性、広い色域を備えることから、映画産業では照明光源として急速に採用されています。家庭でレーザTVを使用することで、まるで映画館にいるかのような体験を得ることができます。

    レーザTVのもう一つの重要な利点は…

  • 組込みプロセッシング: 少ない電力と配線で環境データを収集

    ビル・オートメーション・アルゴリズムに起因する環境要因の変化を把握し、その建物のセキュリティに関連するセンサから多くのデータを集めたい場合、周辺環境からデータを収集することが有益でしょう。ただ、ビルに多くのセンサを追加すると、一つ問題が生じます。それは、各デバイスに電力を供給し、通信するために膨大な配線が必要になるということです。ワイヤレス・センサを備えたIoTデバイスは、この配線問題を軽減します。また、以前、英語ブログ「IoTデバイスのバッテリ寿命を延ばす方法」で紹介したように、IoTデバイスのバッテリ寿命問題を解決する方法もあります。従来の有線システムをワイヤレスにする方法はいくつかあり、思っているほど煩雑なことではないのです。

    商業ビルで使用される環境光センサは、ある特定のエリアの光量を検知し、特定の仕事場の環境光全体のバランスを取ります。ワイヤレス・コネクティビティを備えたスマート・コネクタを光源に繋ぎ、窓際にワイヤレス光センサを設置することで…

  • 組込みプロセッシング: コネクティビティの壁を打ち破るBluetooth 5

    日々の生活で多くのものに利用されているBluetooth®に大きな変化が見られます。もはやBluetoothはワイヤレスで音楽を聴くためや、携帯電話から少し離れたところで電話をするために使用するような、単なるパーソナル・ネットワークではなくなっています。

    インターネット検索で「Bluetooth 5」と入力してみてください。TIも参加する国際機関が策定した標準であるこの技術は、ビル・オートメーションから産業用制御まで、広範なアプリケーションでのワイヤレス接続性を劇的に向上させます。

    TIは完全認証されたBluetooth 5ソフトウェアを提供する最初の企業で、メーカーはTIのSimpleLink™ワイヤレス・マイクロコントローラ技術と統合することで、Bluetooth 5対応製品を迅速に市場投入することができます。この強力なワイヤレス・システムは、4倍の通信距離、2倍の通信速度、8倍のデータ通信容量を提供します。これによって…

  • 組込みプロセッシング: 産業用通信機能を容易に実現するAMIC 110 SoC

    産業用イーサネット・プロトコルはFA(ファクトリ・オートメーション)の重要な要素になっています。現在、EtherCAT、Profinet、Powerlink、Ethernet/Industrial Protocol(IP)、Sercos IIIなどの多くのプロトコル標準が存在します。非常に多くの異なるプロトコルが存在することから、複数の異なるネットワークに対応可能なソリューションの開発が、技術的に困難な課題となっています。その1つのソリューションが、シングル・デバイスを採用し、異なるプロトコルに対する再プログラムを可能にすることです。その代表的な例が、TIが最近発表したAMIC 110システム・オン・チップ(SoC)です。

    TI Sitara™ ARM®プロセッサはプログラム可能なリアルタイム・ユニット産業用通信サブシステム(PRU-ICSS)を通じて、10種類超の産業用通信標準への対応を可能にします。すでに設計で既存のアプリケーション…

  • アナログ: PGA 460-Q1: PGA 460-Q1 小型フォーム・ファクタ超音波モジュールの回路図とプリント基板パターン

    PGA 460-Q1 SFF(小型フォーム・ファクタ)超音波モジュールの回路図とプリント基板パターン

    PGA 460Q1SFF は、PGA 460-Q1超音波センサ・シグナル・コンディショナと必要な周辺部品の片面プリント基板への実装を例示する、小型フォーム・ファクタのソリューションです。この小型フォーム・ファクタ・ソリューションには、トランス駆動とハーフブリッジ駆動という二種類の基板モジュールがあります。これらは両方とも、モノスタティック・モードとバイスタティック・モードの動作をサポートしています。モノスティック・モードでは1個のトランスデューサを使って超音波の発射とエコーの受信を行います。バイスタティック・モードでは、送信専用のトランスデューサから超音波を発射し、受信専用のトランスデューサで反射してきたエコーを受信します。

      

    PGA 460Q1SFF-XF

    PGA 460Q1SFF-HB

    Note:…

  • 組込みプロセッシング: CMOS技術により実現するミリ波センサの小型化

    多くの商用レーダ・システム、特にADAS向けレーダ・システムは、シリコンゲルマニウム(SiGe)技術を用いて開発されており、今日の高級車は、マルチチップSiGeレーダ・システムを搭載しています。SiGeレーダ・システムは車間距離適応走行制御向け77GHz車載レーダに求められる高速要件を満たしている一方、サイズが大きくかさばり、基盤面積を多く占有しています。車載レーダ・センサの数が少なくとも10個(前方、後方、中央)に増えれば、スペースの制約から各センサを小型化、低消費電力化し、コスト効率を高める必要があります。現在開発中のいくつかのレーダ・システムでは、トランスミッタ、レシーバ、クロック、ベースバンド機能をシングル・チップに統合し、フロントエンド・チップの数を4個から1個に削減することが可能になります。しかし、これはレーダ・フロント・エンドに限られます。TIは、この統合をさらに進め、CMOS技術を活用して、MCUとDSP機能にインテリジェント…

  • オートモーティブ: TI ミリ波センサを通じて自動車に先進ビジョンを導入

    先進運転支援システム(ADAS)は、この5年で、適応型クルーズ・コントロール(ACC)などの快適化機能から緊急ブレーキなどの安全性を実現する機能、歩行者検知や360度センシングのような最新アプリケーションまで、急速な進化を遂げています。これらのアプリケーションを実現していた以前のミリ波センサはすべてがディスクリート・センサであり、トランスミッタ、レシーバ、処理部品が個別のユニットとして使用されていました。このため、ミリ波センサの設計プロセスが複雑化した結果、大型でかさばるものとなっていました。

    従来型のシリコン・ゲルマニウム(SiGe)ベースのセンサ・テクノロジというトレンドを断ち切ったTIのRFCMOSベースのレーダ・センサは、デジタルとアナログを高いレベルで融合することにより、高出力電力、低消費電力(市販されている既存のソリューションに比べて50%低い)、低位相ノイズを実現しています。この結果、高精度かつ超高分解能のセンシングが可能になり…

  • オートモーティブ: 車載インフォテイメント・プロセッサ向けsub-20W CISPR25 Class 5パワー・デザインを開発

    ネットワークに常時接続している環境では、自動車のドライバーや同乗者は従来のラジオやヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)を介して、道路の混雑状況や潜在的な危険性に関するリアルタイムな情報にアクセスしたいと思っています。同時に、GPSやスマートフォン、タブレットPCのようなコネクテッド・デバイスを何にも干渉されず使用したいとも思っています。そのため、電気および電子システムを閉鎖された空間に設置する際に起こる電磁干渉(EMI)がこれらのデバイスに影響を及ぼさないことが重要になります。

    EMI準拠は、最新の車載システムの開発に取り組んでいる多くの大手自動車メーカーにとって重要なテーマです。その要件は厳しく、CISPR 25 Class 5のような規格に準拠する必要があり、準拠していないシステムの多くは販売できないのが現状です。

    システムのEMI測定の水準に開発者の注意が向くのは多くの場合、設計と評価の後期段階であることから、EMI問題が発覚するのは全ての部品を選定し…

  • 産業機器: ミリ波センサによって産業用アプリケーションに新たなインテリジェンスを導入

    位置センサや近接センサからレベル・センサ、光センサに至るまで、センシング・ソリューションは私たちの周りの世界を検知し、デジタル化して処理するための手段として役立ちます。アプリケーション固有の問題によって数多くの異なるセンシング・テクノロジが生み出されており、システムではさまざまなレベルの精度と多様な条件で周囲の状況を検知できるようになっています。最近のスマート・インフラストラクチャや、ビル/ファクトリ・オートメーション製品におけるインダストリー4.0、自律ドローンのような最新アプリケーションの急増に伴い、センサには、新たな水準のシステム性能と効率性を実現するための原動力として、開発者から期待が寄せられるようになっています。

    ミリ波レーダ・テクノロジは、短距離(5cm)から長距離(150m以上)までの検出に対応できる固有の機能を備えており、高速で移動している物体(最高300km/時)の距離、速度、方向を、周囲光や霧、雨、ほこりの影響を受けずに高い精度で検出できるという本来的な性質があります…

  • アナログ: ゼロ・ドリフト、ゼロ・クロスオーバーからの解放により、システム・エラーを削減

    位置センサ、データ取得システム、抵抗温度検出器(RTD)のような応用例では、高精度な設計が極めて重要です。高精度ICを用いて設計することで、多くの場合、シグナル・チェーンの複雑さを軽減し、外部部品の数を減らし、基板面積とBOM(部品構成表)コストを最小限に抑えることができます。一つのデバイスで誤りが生じれば、それが他のデバイスに伝搬し、予期せぬ好ましくない結果を引き起こす可能性があります。特にDAコンバータ(デジタル-アナログ変換回路、DAC)の出力で用いられるバッファー向けオペアンプの場合、正確な出力を得るために高精度なDACとオペアンプを使用することが不可欠です。

    従来のレール・トゥ・レールCMOSアンプ・アーキテクチャには、図1に示されるようにPMOS(青)とNMOS(赤)という2つの異なる一対のトランジスタが含まれます。これらの2つのトランジスタ・ペアにより、コモンモード入力電圧範囲全般に対応しています。しかし、一方のトランジスタから他方のトランジスタに引き継がれる時…

  • DLP®︎ テクノロジ: アフターマーケット用ヘッド・アップ・ディスプレイ(HUD)を開発する場合の留意点

    ヘッド・アップ・ディスプレイ(HUD)の技術革新がコンセプトの実証段階から現実の商用段階へと加速化するにつれ、従来のダッシュボード、計器クラスタ、センター・クラスタを超えるような車載用ディスプレイの需要は、ますます高まっています。

    OEM(相手先ブランド製造)が提供する、集積化されたHUDソリューションが新車に続々登場しています。道路を走行する既存のクルマに対するHUDソリューションのアフターマーケットも、魅力的な商機になる可能性があります。実際、市場調査会社のhis社はHUDなどの車載用ディスプレイ・ソリューション全体の世界売上額が2021年までに11%増の186億ドルに達すると予測しています。

    拡張現実感ディスプレイデバイス製品は、ドライバーにアフターマーケット用HUDの未来を垣間見させてくれます。 これらのソリューションはスマートフォンに接続されて、ドライバーの視界に運転方向を表示し、ハンズフリーの通信とエンターテインメント機能の制御を可能にします…

  • アナログ: 絶縁バリアを超えて電力供給およびデータ送信を可能にする新しい統合デバイス

    夏の暑さを乗り切るためにサーモスタットを調整することは、エアコンのコンプレッサを駆動させたり、家の中を冷やして、より快適にするモータを駆動させたりする多くの高電圧回路の長期駆動を可能にします。

    これらの駆動・制御回路に使えるスペースは狭く、騒音や振動にさらされ、屋内での使用よりも多くの汚染にさらされます。設計者は、その限られたスペースでは、サーモスタットから人を守りながら、高電圧のモータに対する絶縁バリアを超えた信号発信を安全に制御するための電力とデータの両方を確保する方法を工夫しなければなりません。

    「絶縁バリアは、工業と家庭のオートメーションが急成長し、世界中の高効率・高電圧ドライブとアクチュエータを駆動する製品と、人々が安全にやり取りできるようにするためにますます欠かせなくなりました。絶縁バリア(アイソレータ)は、高電圧回路と低電圧回路をつなぐことによって、マシン間でお互いを壊すことなく通信できるようになります」とTIの絶縁製品担当マネージャのカナン…

  • 組込みプロセッシング: 進化するファクトリ・オートメーション

    以前、ロボット工学に関する記事で、ロボットの種類とそれぞれの特長について論じました。以下はその要約です。

    • 産業用ロボット:通常、位置が固定され、同じ作業を正確に繰り返せるように設計されています。ロボット・アームの基礎部分かその隣に設置されたロボット・コントローラで制御されています。
    • 協調型ロボット:人間とやり取りするように設計された産業用ロボットの一つのサブ・グループです。安全に人と協調できるよう、多数のセンサを搭載しており、人間やモノとの衝突を避けるために自動的に動作を止めるようにできています。
    • 物流ロボット:倉庫や工場の限られた場所の中で使われることが多く、その中で一つの場所から別の場所へモノを運びます。これを行うために、ロボットは位置検出やマッピング作成のためのセンサや周囲を検出するためのセンサなどを備えています。物流ロボットは、バッテリを電源とするので、使用可能な電力バジェットの適切な管理が必要です。
    • サービス・ロボッ…
  • 電源 IC: カーバッテリをより長く安定駆動させるための方法

    自動車システムは、広い温度範囲、入力の超高過渡電圧やその他のなどの干渉にも耐えられるように設計されています。クルマの中のほとんど全ての電子回路は厳しくテストされ、高品質システムの基準を満たし、AEC(Automotive Electronics Council)で規定された部品の品質基準を満たす必要があります。ほとんどのクルマは12Vの鉛蓄電池を電源にしていて、バッテリ電圧は周囲温度や負荷条件、駆動年数など想定されるあらゆる条件によって変動します。

    通常の動作状態では、電圧は9V~16Vの範囲で変動しますが、ある動作条件ではこの電圧はさらに変動します。内燃エンジンに点火するとき、この12Vの鉛酸蓄電池は、十分なエネルギーを与え、始動モータを回転させ、短い時間で十分な電流を供給するため、バッテリ電圧は急速に低下します。極端に低い温度では、バッテリ電圧はさらに低下し、この現象は、コールド・クランクと呼ばれています。典型的なテスト電圧波形を図1に示しますが…

  • DLP®︎ テクノロジ: DMDを使った革新的な産業用技術の登場

    1月末にサンフランシスコで開催された「SPIE Photonics West 2017」には、2万人以上が参加し、4,800の論文が発表された、大規模なカンファレンスでした。展示会も併催され、1,300社が出展し、3つのカンファレンス・グループ(BIOS、LASE、OPTO)が参加しました。今回は、TIのDLP®製品が「Photonics West」でDMDカンファレンス・トラックのスポンサーを務めて9回目になりました。最新の製造技術と3Dメトロロジ、分光器、バイオメディカル画像処理技術、コンピュータ画像処理技術やビーム加工技術などを網羅した計24の論文がDMDカンファレンスで発表されました。加えて、「Photonics West」を通じて、バイオメディカル画像処理技術やレーザーのアプリケーション、オプト・エレクトロニクスのトラックからの論文にもDMDに関する情報が含まれていました。この展示会では、DMDの多様性と柔軟性を示す…

  • 電源 IC: GaN半導体で電力密度を再検討

    ローレンス・バークレイ国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)が2016年に発表したレポートによると、全米中のデータセンタは2014年に700億kWhものエネルギーを消費していました。驚くことではありませんが、この産業は電力効率と密度を上げる方法を絶えず探しています。電力効率を上げることは、電気料金と冷却のような運用コストの両方の節約になります。運用するユーザにとっても高効率化は、ラック密度を高め、コンピュータを設置するスペースを広げ、コスト効率向上の要求にも合致します。

    窒化ガリウム(GaN)のようなワイドバンド・ギャップ・デバイスの登場は、これまでのシリコンのMOSFET(金属-酸化膜-半導体構造の電界効果トランジスタ)ではできなかった新世代の電力変換設計が可能になります。これらのワイドバンド・ギャップ・デバイスで設計するとシステムは、より高い水準の電力密度と電力効率を達成できます…

  • 組込みプロセッシング: センサの通信方式を革新するデュアルバンド・ワイヤレス・コネクティビティ

    ベン・ギルボア (Ben Gilboa), Texas Instruments

    ここ数カ月の間に、Sub-1 GHzとBluetooth® low energyの両テクノロジを同時にサポートするデュアルバンド動作機能を搭載したワイヤレスSoC(System-on-Chip)が発表されました。これによりスマート・ワイヤレス・ネットワーク構築への新しい道が開けました。これまで、センサは中央の制御装置等や他のセンサと直接通信を行っていましたが、Bluetooth low energyが加わることによって、センサは、これまでの通信のみならず、スマートフォンやタブレットと直接通信できるようになります。

    ワイヤレス・センサ製品はよく知られている様に住宅やビル管理に広く用いられています。ここ数年、RF機器の性能の向上や消費電力の削減のみならず、集積化によるコストの削減などの技術的な改善によって、ワイヤレス通信はセンサの接続に推奨される方式となりました…

  • 電源 IC: Power Tips: システムの安定性評価のためのナイキスト線図の使い方

    ボード線図は、動的システムの安定性を判断する方法としてよく用いられますが、ボード線図が安定性を直接的に示さない場合もあります。

    図1に、TIのTPS 40425同期降圧型コンバータのボード線図を示します。このアプリケーションでは、降圧型コンバータの出力段にπ型フィルタが使用されています。

    図1: 出力段にπ型フィルタがある降圧型コンバータのボード線図

    π型フィルタで使用されるフェライト・ビーズは負荷電流によってインダクタンスが変化するため、異なる負荷条件で測定されたボード線図は大きく変化します。アイドル時に測定されたボード線図は、ゲイン0dbを複数回通過します。この場合、位相余裕とゲイン余裕の基準を適用することは困難です。その代わりに、ナイキスト安定判別法を使用しました。

    ナイキスト安定判別法では、s = jωとし、直交座標系で開ループ・システムのナイキスト線図に注目します。開ループ・システムの伝達関数をF(s…

  • 電源 IC: Power Tips: USB Type-C™アプリケーション用のPWM制御による出力電圧調整

    コンシューマ・アプリケーションでは、USB Type-C™などのさまざまな動作条件に対して、出力電圧の調整に対応した電源が必要になることがよくあります。そのために、出力電圧を簡単かつ効率的に調整できる方法が求められています。必要な出力電圧を設定するために、集積回路(IC)のフィードバック(FB)ピンをさまざまな方法で利用できます。たとえば、FBピンにトリム抵抗を付加し、電流を追加でソースまたはシンクするための電圧をFBピンの分圧抵抗回路に印加します。または、I2Cバスを使用して、FBピンを制御する信号をプログラミングする方法もあります。では、可変電圧源やI2Cバスが利用できない場合はどうすればよいでしょうか。このブログでは、簡単な抵抗コンデンサ(RC)ローパス・フィルタ、トリム抵抗、およびマイコン・ユニット(MCU)からのパルス幅変調(PWM)信号を利用して、出力電圧を調整する方法を紹介します。

    この方法による回路を図1に示します…