自動車業界がハイブリッド電気自動車(HEV)に48Vシステムを引き続き採用する中で、車内ネットワークでの信号絶縁の必要性がさらに重要になっています。低電圧回路に対して効果的で信頼性の高い保護を適用しなければ、高電圧の特長や利点は大きく損なわれてしまいます。
ただし、48V車両内での高電圧事象から信号を絶縁する必要性について理解することは、対策の半分にすぎません。完全な電気自動車(EV)とは異なり、HEVはバッテリ...
自動車業界がハイブリッド電気自動車(HEV)に48Vシステムを引き続き採用する中で、車内ネットワークでの信号絶縁の必要性がさらに重要になっています。低電圧回路に対して効果的で信頼性の高い保護を適用しなければ、高電圧の特長や利点は大きく損なわれてしまいます。
ただし、48V車両内での高電圧事象から信号を絶縁する必要性について理解することは、対策の半分にすぎません。完全な電気自動車(EV)とは異なり、HEVはバッテリ...
これまで「信号の分解」シリーズでは、A/Dコンバータ(ADC)の外付けあるいは内蔵のアナログ部品から生じるノイズに注目してきましたが、このシリーズの最後のトピックでは電源に起因するノイズを分析します。このノイズは、ADCの外側で発生します。ノイズの多い電源をクリーンにする低ドロップアウト(LDO)レギュレータや、入力電圧範囲を拡張するチャージ・ポンプといった、電源管理機能を内蔵するADCもありますが、これらの機能だけでなくADC自体にも、外部の電源からの給電が必要です。そして、ミクスト・シグナル・データ収集システムの他の部品と同様に、電源もノイズの原因となります。
幸いにも、電源ノイズの解析は、このシリーズで述べてきた他のノイズ源と同じように行うことができます。電源がある程度ノイズに寄与することは想���できるでしょうが、システム性能にどれくらい影響するかは…
信号の分解の第9部でも述べたように、データ収集(DAQ)システムにはすべて基準点が必要です。第9部でのその基準点は、出力コードの生成のためにアナログ入力信号と比較される電圧レベルでした。しかし、DAQシステムには別の種類の基準点も必要であり、それは必ずしも電圧に関連したものではありません。
DAQシステム内では、すべてのコンポーネントが同期して動作できるようにする時間的基準としてクロックが使用されます。A/Dコンバータ(ADC)に関して言えば、クロックが正確で安定していることによって、ホストがADCにコマンドを送り、ADCがホストからコマンドを受け取る際に、それらが正しい順序で、データの破損なしで行われることが保証されます。さらに重要なのは、システムのクロック信号により、ユーザーがいつでも必要なときに入力をサンプリングし、データを送信できることで…
多くの教科書や参考書では、オペアンプは、増幅、加算、減算など、さまざまな機能や動作を行うICとして定義されています。この定義に同意はしますが、デバイスの入力ピン電圧の重要性にも着目する必要があります。
入力電圧が等しい場合、オペアンプは通常、線形動作をしています。オペアンプが前述の機能を正確に実行しているのは、この線形動作の間です。しかしながら、入力電圧を等しくするためにオペアンプができるのは、出力電圧を変えることだけです。従って、オペアンプ回路の出力は通常、何らかの形で入力に接続されています。これは一般的には電圧帰還と呼ばれています...
意欲的な電子工学の学生が何を専攻しようかと迷っているとき、私はパワー・エレクトロニクスを検討するよう強く勧めています。どんな新しい電気製品や電子機器にも電源は必要なので、仕事に困ることはありません。デバイスの小型化や高効率化への要求に伴い、この分野は手ごたえのある仕事や革新の機会に満ちあふれています。
デジタル設計者のように格好良くはないかもしれません。しかし、進む人が少ない分野を選べば、手ごたえのある革新的な仕事に恵まれ、最終的には、デジタルから離れた人々の緊密なコミュニティに身を置くことになるでしょう...
一見、難しすぎる作業に思えても、いざ実行してみると思っていたよりずっと簡単だったことに驚いたことはありませんか?最近、このような話を車載オーディオ設計のエンジニアから聞きました。カー・ラジオ・ソリューションのアンプを従来のクラスABからクラスDに変更したのです。
この記事では、主な2つの懸念点となる、プリント基板(PCB)のサイズへの影響と電磁干渉(EMI)について取り上げます。
懸念1:クラスDアンプではPCBの...
ハイブリッド型電気自動車(HEV)と電気自動車(EV)は、低またはゼロ排出、メンテナンス対象部品の少なさ、高効率、運転時の高パフォーマンスなどから、大きな注目を集めています。新しいHEV/EVメーカーが登場する一方で、既存の自動車会社もHEV/EVへの投資を増やして市場シェアを高めようとしています。
HEV/EVのパワートレインで最も重要な部分は、配電網から電気エネルギーを取り出してバッテリに蓄え、バッテリからエネルギーを取り出してモータを回転させ、車を動かすというシステムです。このシステムは...
コンパレータは、例えば、過電圧状態では論理レベルのHigh(5V)、通常動作ではLow(0V)を出力するといったように、システムの2つの状態を比較するのによく使われます。専用のコンパレータもありますが、オペアンプをコンパレータとして機能するよう構成することも可能です。
オペアンプの場合、専用のコンパレータと比べて低コストで、必要なプリント基板(PCB)面積が最小限で済むなど、いくつかの利点があります。ただし、オペアンプをコンパレータとして構成するには、オペアンプのいくつかの仕様や特性を事前に検討しなければなりません。この記事では、このような考慮事項について説明し、設計手順を紹介していきます。
設計上の考慮事項
オペアンプをコンパレータとして構成する場合には、差動入力クランプ・ダイオード(背面結合ダイオード)の有無、入力同相モード電圧、スルー・レート…
「信号の分解」シリーズの第8部では、A/Dコンバータ(ADC)のノイズとリファレンス・ノイズの関係を説明し、リファレンス・ノイズを求める計算式を導き、システムのリファレンス・ノイズのレベルに与えるゲインの影響を確認しました。
今回、第9部では、システム全体でこの影響を低減するための方法をいくつか分析し、リファレンス・ノイズについての説明をまとめていきます。低分解能ADCと高分解能ADCに対するリファレンス・ノイズの影響の違いも考察します。
リファレンス・ノイズの影響の低減
第8部で述べたように、データ収集システムに入るリファレンス・ノイズの量は、リファレンス電源のノイズ特性と、フルスケール範囲(FSR)の使用率に依存します。この使用率への依存を示すために、リファレンスが2.5Vと仮定し…
業務用オーブンの温度を管理する高精度温度測定ユニットのような高分解能センサ測定システムを設計することになったと想定してみてください。このようなシステムを作成するためには、温度計測用の熱電対をオーブンに取り付け、熱電対のリード線を測定システムに接続します。すると、A/Dコンバータ(ADC)からデジタル・コードが出力されます。では、このコードに対応する実際の温度をどうやって判断するのでしょうか。
アナログ回���設計ではベースラインとして電圧リファレンスを使用し、このベースライ���を基準にアナログ測定が行われます。この例では、リファレンスの公称電圧により出力コードが確定し、このコードは決まった温度に対応しています。リファレンスの電圧を変更すると、出力コードも同様に上下することになりますが、測定温度は変わりません。
出力コードは電圧リファレンスの値に直接関連しているので…
「信号の分解」シリーズの第6部では、出力換算ノイズと入力換算ノイズを定義し、それぞれに対する計算式を導き、単一段および複数段のアンプ構成を詳しく掘り下げ、ゲインの増加が低分解能および高分解能のA/Dコンバータ(ADC)に与える影響について検討しました。高分解能ADCに高ゲインの外部アンプを組み合わせるときは、アンプのノイズ特性を慎重に検討する必要があることも第6部でわかりました。
この説を実証するために、第7部では、アンプが異なると同じ高分解能ADCのノイズにどう影響するのか、設計例を用いて分析します。ベースラインのADCとして、TIの32ビットADC『ADS1262』を使用します。このADCを選択したのは、ノイズ・レベルが非常に低く、プログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)が内蔵されているためです。内蔵PGAのノイズは解析する上での基準点となり…
多くのデータ収集(DAQ)システムで、低レベル入力信号の正確な測定が設計上の課題になることがよくあります。例えば、ファクトリ・オートメーションのアプリケーションの多くは、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)を使用し、温度センサや負荷セルの値を基に決定を下します。同様に、石油掘削施設では産業用差圧流量計を使用し、ミリリットルの精度で、油田から取り出した石油の量を判断します。
このような工程内の変化を測定するために、さまざまな種類の最終製品で、測温抵抗体(RTD)や、熱電対、抵抗性ブリッジなどのアナログ・センサが用いられています。通常これらのセンサからの信号レベルは非常に低いため、信号をDAQシステムのノイズ・フロア以上に増幅する必要があります。さらにエンジニアは、アナログ/デジタル・コンバータ(ADC)のフルスケール範囲…
電気自動車の主要部分であるモーター制御には、通常、永久磁石型ACモーター(PMAC)か誘導モーターが使われます。どちらのタイプにも利点があると同時にトレードオフが存在します。
PMACモーターには、リゾルバかエンコーダを使用します。リゾルバは、メカニカルな動きを、回転角度の絶対位置に関する電子情報に変換します。リゾルバは、1次巻線と2つの2次巻線で構成されます。固定子側の2次巻線は互いに90°の角度になるように配置され、1次巻線は回転子側に配置されています。可変磁気抵抗などの別のタイプでは、3つの巻線がすべて固定子側に配置されます...
ノイズのせいでシステムが予想もしない動きをしたり、ひどければシステム障害も起こしたりしますが、原因を突き止めるのは非常に困難です。従来の高速CMOS(相補型金属酸化膜半導体)ロジックでは、ノイズにより信号に発振が生じることがあり、そのため電流消費量が増加したり、ときには信号エラーにつながったりします。これらのエラーは最終的にシステムの誤動作につながるため、より慎重な設計、場合によっては設計変更も求められます。この記事では、シュミット・トリガの利点およびシュミット・トリガを内蔵した新しい HCSロジック・ファミリの有用性について解説します。
設計エンジニアの多くは、外付けのシュミット・トリガ入力を用いたロジック・バッファを使って信号ノイズに取り組んでいます。シュミット・トリガは、信号遷移に対する閾値を2つ設けることで、発振を除去します。なだらかな信号エッジとノイズが多いエッジのどちらの場合でも、きれいな信号に変換し、シグナル・チェーンの下流にノイズを伝播させず信号エラーを防ぎます…
システムの小型化がますます加速するなか、プリント基板(PCB)のわずかな面積も無駄にできなくなっています。それと同時に、データの需要の高まりから、モニタリングが必要なセンサの数も増えています。
この記事では、TIの小型データ・コンバータを使って、PCBのフットプリントを大幅に削減し、チャネル密度を高め、他の部品や機能をより高度に統合することで、小型ながら高い価値を提供する方法を説明します。
メリットその1:PCBフットプリントの削減
設計やパッケージの技術の進歩に伴い、電子部品のサイズは縮小し続けています。図1のように、TIの最新のシングルチャネルADC『ADS7042』のフットプリントは2.25mm2と、10年前の同等のADCと比べてサイズがほぼ半分にまでなっています。同じく、TIの最新のシングルチャネルDAC…
ガソリンエンジン車とハイブリッド電気自動車(HEV)あるいは電気自動車(EV)が大きく違うところは、1つにはバッテリや電圧レベルが複数あるということです。内燃エンジンは12Vか24Vのバッテリ1つで動作し、通常は鉛蓄電池を使用します。しかし、HEVとEVは、高電圧の充電型バッテリを使用し、その電圧はHEVで48V、EVならそれよりずっと高い400Vから800Vにも及びます。
電圧レベルが複数ある場合、低電圧回路を高電圧から保護するために絶縁が必要になります。400V以上のバッテリに絶縁が必要なのは当然のように思えますが、48Vのマイルド・ハイブリッド・システムにも絶縁が必要なのでしょうか。確認してみましょう。
48V HEVでの絶縁
400Vや800Vほど高電圧ではないとしても、48Vのハイブリッド車でも絶縁が重要な考慮事項となり、その理由はノイズ耐性や障害保護を含めていくつかあります。
次世代車に搭載されるインフォテインメント・システムやクラスタ・システムは、ますます複雑さを増しています。しかし、最近の車は、電化された部分が増えたことで、消費するエネルギーも増大し、発生する熱も大きくなっています。それでなくても車のダッシュボードは、太陽光の熱や車内の熱による高温にさらされています。
インフォテインメント・システムやクラスタ・システムによる発熱量が増加していることで、自動車メーカーは新たな熱管理の課題に対処する必要に迫られています。顧客を惹きつけるために機能豊富で快適な運転体験を提供しながら...
自動車メーカーが差別化を図る方法の1つに、最新インフォテインメント・システムの搭載があります。いくつかの高級モデルにはディスプレイ・パネルが10から15もあり、複雑な処理や機能が備わっています。その対極としてエントリーモデルでは、運転手用にベーシックなCID(センター・インフォメーション・ディスプレイ)とデジタル計器クラスタを用意した、最小限のデジタル・インフォテインメント・システムがあります...
今日における自動車の設計は綱渡り的な作業です。
現在の自動車では、ますます厳しくなる排出規格への対応と、増��続けるオンボード・システムや機器への電力供給のために、高電力と同様に高い効率性も求められます。効率と電力をうまく融合させるため、エンジニアは、ハイブリッド電気自動車(HEV)のような、従来のガソリン・エンジンと48V電力動作を結合したシステムをこれまで以上に頼りにするようになっています。この手法により、厳しい二酸化炭素(CO2)排出要件を満たしながら、性能や運転の質を向上させることもできます。
デュアル・バッテリ車載システムについてはこれまでもいろいろ取り上げてきましたが、ここでは、12Vと48Vのシステムを結合した場合に不可欠でありながら、見落とされがちな部分であるガルバニック絶縁に注目したいと思います。ガルバニック絶縁は、グランド・ノイズに対する耐性に活用されると共に、12Vシステムが接続する48Vシステムでグランド…
「信号の分解」シリーズの第4部では、ENBWとは何か、なぜ必要なのか、ENBWの要因は何かといった、有効ノイズ帯域幅(ENBW)についての基礎的なトピックを扱いました。
第5部でも引き続き2段フィルタを使用したシンプルな例を説明しながら、以下の項目が理解できるように、デルタ-シグマA/Dコンバータ(ADC)やシステム・レベルの設計と絡めてENBWを考察していきます。
ミドルクラス車やエントリーモデル車を買い求める消費者が増えている中で、現在の車の内部でナビゲーション、音楽やラジオ、ストリーミング・サービスを制御する新しいインフォテインメント・システム(図1)は、大型液晶ディスプレイ(LCD)タッチスクリーンの搭載やBluetooth®やWi-Fi®への対応が期待されています。本記事では、新しいタイプの車載インフォテインメント・システムのオーディオ・アンプで考慮すべき主な設計課題について述べます。
昨今の車に組み込まれている最新技術はどれも優れたものですが...
自動車の技術は、絶え間ない顧客ニーズの高まりに対応することで形成されてきました。自動車メーカーは、長年にわたり、新しい設計方法を導入し、搭載する機能を次々と追加していくことで、顧客ニーズに応えようとしてきました。今日の自動車メーカーは、消費者の要求を満たすために、インフォテインメントとクラスタの先進的な表示機能に多大な投資を行っています。ここでは、デジタル・コックピットが実現するインフォテインメントについて解説します。
表示対象の増加に対応する一方で、ドライバーの安全を守る必要があるため、自動車メーカーはデジタル・コックピットの導入を進めています。デジタル・コックピットは、デジタル化、車内での多様な表示、カスタマイズ性、対話型操作を促進することによって、ドライバーが運転に集中できるようにする効果があります。
表示のデジタル化
その名が示すように、デジタル・コックピットは、コネクテッド・カーのコックピット(運転席)全体のデジタル化を目指しています…